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悪役令嬢は死にたくない。〜目指せ、完全無欠のハッピーエンド〜  作者: さびねこ。
第一章 悪役令嬢マリア(5)
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悪役令嬢、驚愕する

あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願い致します。

 マリアのなんとも言えない返答に追求を諦めたのか、ルークはその容姿らしからぬ雰囲気でマリアを諭すように見つめた。


「あのね、マリア。このことはあまり他の人に喋っちゃダメだよ。君を利用しようとする悪い大人は絶対にいる。僕が許可を出した人だけにして」


 わかった? と上目遣いをするルークに、マリアは頷く以外の選択肢を持っていなかった。


 だってだって! 可愛いんだよ! 僕が許可した人だけって! なんて子供らしい独占欲!本当可愛い!


 私の回答に満足したのか、ルークがにっこりと笑って自身の小指を差し出した。

 その意図を察してマリアも小指を差し出し、小さな小指同士がきゅっと結ばれた。


「ゆーびきーりげーんまーん」

「うーそつーいたーら」

「はーりせーんぼんのーます!」


 ゆーびきった! と声を揃え、ぱっと指を離す。お互いに顔を見合わせくすくすと笑った。


「ねぇ、マリア。ジャッジさんのステータスが見れたってことは、僕のも見える?」

「たぶん見れると思う……見ていいの?」

「うん、お願い。自分の能力は把握しておきたいんだ」

「わかった……〈ステータスチェック:ルーク〉」


 そう言うと、ルークの目前にタッチパネルが表示された。ルークも見えるようで、私と一緒に画面をのぞき込む。


「…………」

「…………ルーク」

「な、なに?マリア」

「っあ、あなた人のこと言えないじゃない!?」


 マリアはルークの肩を掴みがくがくと揺さぶりながら声を上げた。



 ルーク=アラベスタ(5)

 種族:人間 性別:男


 職業:

 賢者Lv.13

 魔術師Lv.1

 錬金術師Lv.1

 司祭Lv.1

 薬剤師Lv.10


 スキル:

 鑑定スキル

 調合スキル

 諜報スキル


 特殊魔法:

 伝達魔法〈テレパシー〉


 特殊スキル:

 〈知恵の樹の実〉

 ※条件を満たすことにより進化が可能

 〈賢者の目〉


 アビリティ:

 念写

 索敵

 速読・速記・暗算

 推理

 視覚・情報共有

 五感強化

 魔力付与

 魔力強化

 情報高速処理

 調合時効果増大

 完全記憶

 完全再現


 称号:

 〈賢者の卵〉



 これが、ルークのステータスである。



 いやおかしくない!? 私は前世からの引き継ぎでこのチートだけどルークは元々この世界の住人だよ!? 一般人だよ!? それでこのステータスなの!?


「なにを、なにをしたのルーク!? なんでこんな魔王みたいなステータスなの!?」

「マリアには言われたくないよ!? それに! そんなこと聞かれたって、心当たりなん、て……」


 途中まで全力で反論していたルークだが、後半にかけてどんどん声が小さくなる。最後には押し黙り、すすす……とマリアから目を背けた。

 あるんだね、心当たり。


「ルーク、正直に話して? 一緒に謝ってあげるから」

「悪いことはしてないから! 誤解だよ!」

「じゃあ何したらこんなことになるの?」

「う……」


 自分のことは棚に上げ問い詰める私に、ルークは気まずそうに目を泳がせぼそぼそと呟いた。


「僕、この容姿だからあまり外に出るのが好きじゃなくて……うちの家系みんな読書家で古書の収集が趣味だから、そういうの、部屋に篭って読み漁ってた……」


 その中に光る本とかあったから、そのどれかに組み込まれていた術式が発動したのではないか。


 ルークの見解にマリアもほとんど同意見だった。

 恐らくルークが読んだ本の中に「ユグドラシル」でも登場する『覚醒の書』のようなものが紛れ込んでいたのだろう。ゲームでよくある能力解放の魔法陣が描かれた馬鹿高い値段の本型アイテム。マリアのステータスにもそれによって追加されたものがいくつかあるはずだ。


「ルークは賢者と薬剤師が優勢ね。薬剤師ってことは薬草の勉強もしたの?」

「うん、そういう本も沢山あったから」

「すごいわルーク。本当に頭がいいのね」


 そう言うとルークが照れたように頬をかいた。どうやら癖らしいその仕草さえも愛おしく思い始めているマリアはこの恋が重症だと自覚している。だからといってこの恋心を止めるつもりもないし、止まることもないけれど。


「そういえば、この特殊スキル……〈知恵の樹の実〉って何かしら?」

「それはぼくが説明しよう!」

「リン!?」

「なんだろう。この登場の仕方、既視感がある」

「もうリンったら! いつも突然現れて! 昨日は一緒に眠ったのに朝になったらいないんだもの。まだお母様たちにだって紹介できてないのよ?」

「だって!」


 ツン、とそっぽを向くリンにルークと二人で首を傾げた。リンは拗ねたように続ける。


「一緒に来てって言ったパーティー会場じゃ婚約だなんだってみんなにスルーされるしそのあとだってバタバタしてて昨日やっと落ち着いたと思ったら「ルークが来るからお菓子作るの! 早く寝なくちゃ!」って言って何も話さず寝るし、絶対今日もぼくのお披露目とかないなーって思ったから隣人たちとお喋りしてたんだよ? ぼく妖精なのに……姿を現す妖精なんて珍しいし貴重だし場所によっては崇め奉られるほど尊い存在なのに……マリアはぼくの扱いが出会った時から雑すぎる!」

「ごめんなさい私が悪かったわ」


 素直にぺこりと頭を下げる。ルークも一緒になって謝ると、リンは少しだけ機嫌を直したらしかった。


「そのお菓子、ぼくにもくれたら許してあげる」

「もちろんよ! すぐお母様たちにも紹介するわ!行きましょう! ごめんルーク、〈知恵の樹の実〉のことはリンを両親に紹介してからでいい? このままだと私が良心の呵責に耐えられないわ」

「当然だよ! 僕もこのまま説明されても頭に入ってこない」

「ありがとう。それじゃ行くわよリン、ルーク! まだ二人とも執務室にいると思うから」

「お菓子食べてからじゃダメ?」

「あとでね!」


 リンの名残惜しそうな視線を無視して二人を引っ張って連れていく。ノックをするとバタバタと慌ただしい音が聞こえ、その音が止んだ頃「どうぞ」という父の声が聞こえた。


「ご、ごほん! びっくりした……マリアか。どうしたんだい?」

「お父様! お母様! 紹介したい人がいます!」

「……ルーク。婚約は許したけど娘はまだあげないよ」

「えぇっ!? いや、それは時が来たらこちらから伺います……って違います!」

「あら、違うの? それじゃあマリアちゃんは誰を紹介したいのかしら?」

「この子ですわ!」


 そう言うと、マリアの後ろにいたリンがふよふよと飛んできた。


「初めまして……じゃないけれど。マリアと契約した植物の妖精、リンだよ」


 一瞬ぽかんとした二人だったが、リンのおじぎに反射的に挨拶を返す。しかしその顔はまだ驚愕に満ちており、ギギギ……とマリアに向き直った。


「……マリア」

「はい? お父様」

「この子は本物の妖精?」

「えぇ、本人がそう言ってますもの。なんでも私、〈妖精の愛し子〉らしいです」

「〈妖精の愛し子〉!? マリアが!?」

「ステータスに書いてありました」

「ステータス!? まさか、見れるのかい!?」

「お見せしますか?」

「ちょっ、マリア!? そう簡単にステータスのこと言っちゃダメだってさっき言ったばかりじゃないか!」

「あっ」


 ぱっと口元を手で覆うが、もう遅い。


「マリアちゃん? お母様にもステータス、見せてくれるわよね? ルークには見せたんだものね?」

「は、はいぃぃ!」


 うふふふふふ、と笑いながら近寄ってくるお母様と、慌てて「〈ステータスチェック〉!」と唱える私。


「ルークは知ってたんだね? 知ってて僕らに口止めしてたんだね?」

「あ、いえ、あの、僕も先程知りまして……マリアを守るにはあまり口外しない方がいいのではと思ったまででして……決して義父上や義母上に秘密にしろとは……」


 にこにこ笑いながらルークに詰め寄るお父様と、しどろもどろになりながら先程の失言をフォローするルーク。


「ねー、ぼくに対する反応ってそれだけー? おかしくない?」


 ねぇねぇ、とマリアの髪の毛を引っ張るリンというカオスな状況が出来上がっていた。


「まぁ……オーウェン様、見てくださいマリアのステータス! 素晴らしいです! さすが私たちの娘!」


 これを「私たちの娘」で済ませるお母様は本当に何者なんだろうか。


「どれどれ……これは、すごいな……確かにルークが言う通り、人に見せてしまえばマリアが悪人に利用されかねない」


 お父様までそれで済むのか。この異常なレベルの職業とか失われた古代魔法とか特殊スキルとか、どうやって手に入ったかは気にならないのか。


 だが聞かれたとして答えられるわけでもない。

 マリアは二人の調子に合わせて話題を自分からずらことにした。


「お父様、ルークも同じくらいすごいですよ」

「本当? ルークが良ければ見せて欲しいな」

「も、もちろんです!いくらでも見てください」


 ルークの許可が出たので、先程と同じようにステータスを表示する。父も母も大きく目を見開いた。


「ルーク! 素晴らしいステータスだ!! この〈知恵の樹の実〉とは、まさか……!!」

「それぼくが説明するから! そろそろ喋らせてくれない!?」

「あっ、ご、ごめんねリン! お願いできる?」


 また放置してしまい拗ねかけているリンに主導権を譲る。リンは呆れたように溜息をつきながら喋り始めた。


「まったく……いい? もうオーウェンやフィーリアが考えてる通りだと思うけど、そのスキルは歴史に名を残すような賢者たちは全員持ってたスキルなの!」

「そんなにすごいものだったの!?」


 ルークが驚いたように声を上げる。

 そりゃあそんな反応になるだろう。だってもしそのスキルが進化すれば、自分は歴史に残るような大賢者になれるかもしれないのだ。


「あれ、でも条件を満たすってあるわよね? 条件て何かしら?」

「その条件は人によるんだ。命の危機だとか野心を抱いた時だとか、スキルの所持者が強く願った時にだけその実が実る」


 首を傾げたマリアにリンが答える。続けるように父と母も会話に加わった。


「その実を食べるとこの世の全ての知識が書かれた〈賢者の書〉が開放される……だったかな?」

「そうね。一番有名な話だと、かつてこの王国を築いた勇者パーティの最強の賢者がその実を仲間と食べて、知識を共有したというのがあるわ」

「そう。その賢者が望んだ人にあげることができるけど、その人以外触れることすらできない」

「なるほど……」


 勉強になった、というように頷くルークがマリアは不思議だった。ルークは大量の本を読み漁ってたはずだ。その中にこういう話が書かれたものは無かったのだろうか。


「魔導書とか魔術書とかマリアの言う『覚醒の書』とか、あとは薬草とか……そういうのしか読んでなかったから」


 思ったことをそのまま口にすると、ルークが困ったように笑った。うん、安定して可愛い。

「そっか」と微笑で返して、両親にお辞儀をし、執務室をあとにした。

ルークのステータスです。


ルーク=アラベスタ(5)

種族:人間 性別:男


職業:

賢者Lv.13

魔術師Lv.1

錬金術師Lv.1

司祭Lv.1

薬剤師Lv.10


スキル:

鑑定スキル

調合スキル

諜報スキル


特殊魔法:

伝達魔法〈テレパシー〉


特殊スキル:

〈知恵の樹の実〉

※条件を満たすことにより進化が可能

〈賢者の目〉


アビリティ:

念写

索敵

速読・速記・暗算

推理

視覚・情報共有

五感強化

魔力付与

魔力強化

情報高速処理

調合時効果増大

完全記憶

完全再現


称号:

〈賢者の卵〉

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