占屍術師の模擬試験
この冊子は、占屍術師(ネクロマンサー)国家試験筆記、模擬試験の問題冊子です。受験者は、以下の問全てに解答しなさい。問題は全部で百問あります。
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第一問、占屍術(ネクロマンシー)とは何か?
第二問、占屍術(ネクロマンシー)は慎重に扱うべき魔術である。なぜか?
第三問、占屍術(ネクロマンシー)において、器とする屍の鮮度について最適なものは何か? また、適さないものは何か?
第四問、占屍術(ネクロマンシー)によって作り出されたものをなんと呼ぶか?
第五問、死者の助言に価値があるのはなぜか?
第六問、占屍術(ネクロマンシー)を弾劾した著名な人物を二人以上答えよ。
第七問、器となる屍を用意せず、その霊魂のみを呼び寄せる魔術に関して、名称、利点、弊害についてそれぞれ答えよ。
第八問、問七の魔術を「悪用する」とはどのような意味か?
第九問、死者の霊魂ではなく、幽冥界の存在のうちでも特に邪悪とされる悪魔や悪霊を呼び寄せる魔術をなんと呼ぶか?
── 中略 ──
第四十七問、有史最大の占屍術師(ネクロマンサー)に関して、その人物の名を答えよ。
第四十八問、問四十七の人物に関して、彼が最も美しい姿であったときに成した事を、幽冥学の観点から述べよ。
第四十九問、幽冥学における「堕落」とは何を意味するか?
第五十問、幽冥学における「奴隷」とは何を指すか?
第五十一問、幽鬼(ナズグル)とは何か?
第五十二問、幽鬼(ナズグル)はどのようにして作り出されるか? 方法を二通り述べよ。
第五十三問、幽鬼(ナズグル)に対抗できる一番身近なものは何か?
第五十四問、幽鬼(ナズグル)の呪魔の進行を遅らせることのできる薬草は何か?
第五十五問、幽鬼(ナズグル)と幽霊(ゴースト)の違いを述べよ。
── 中略 ──
第八十七問、問四十七の人物に関連する出来事について、A~Gを年代順に並べよ。
A、人間に指を切り落とされる。
B、人間へ投降する。
C、人間の世界(地球)が海に没する。
D、万物の父が人間の世界(地球)を丸く作り変える。
E、人間の王を騙し、寵愛を得、神官となる。
F、人間を万物の父のいる地へ進軍させる。
G、占屍術師(ネクロマンサー)となる。
第八十八問、問四十七の人物に関して、その人物の「主人」がかつて追い求めたが手に入れられなかった二つのものを答えよ。
第八十九問、幽冥学において「万物の父」と呼ばれた、万物を生み出したとされる人物の名を答えよ。
第九十問、問八十九の人物よりこの世界(地球)の創造を任された人々を、幽冥学用語でなんと呼ぶか?
第九十一問、幽冥学において、この世界(地球)の創造者のうち、治世を担った最高位者であり、問八十九の人物の代理人である人物の名前を答えよ。
問九十二、シルマリルとは何か?
第九十三問、幽冥学において、この世界(地球)に有史最大の損害をもたらし、問九十としての名を剥奪されたとされる人物の、もとの名とのちの名を答えよ。
第九十四問、問九十三の人物に関連する出来事について、A~Gを年代順に並べよ。
A、問九十の軍勢に攻め滅ぼされる。
B、この世の外側へ追放される。
C、人間の一部を味方に引き入れる。
D、問九十一の人物との戦いに敗北する。
E、シルマリルを奪い、この世の王を僭称する。
F、問四十七の人物が後を引き継ぐ。
G、地下へ引きこもる。
第九十五問、幽冥学において、問九十三の人物が生み出した代表的なものを四つ答えよ。
第九十六問、問九十五の解答のうち地名に関して、これと対となる地の呼び名を二つ以上答えよ。
第九十七問、幽冥界の存在にとって脅威とされているものは何か?
第九十八問、占屍術師(ネクロマンサー)にとっての禁忌事項を五つ全て答えよ。
第九十九問、禁忌を犯した占屍術師(ネクロマンサー)に科される罰を、その程度の軽い順に挙げよ。
第百問、解答者は占屍術師(ネクロマンサー)を志望する動機を述べよ。
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問題は以上です。
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この冊子は、占屍術師(ネクロマンサー)国家試験筆記、模擬試験の解答冊子です。
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第一問、占屍術(ネクロマンシー)とは何か?
──解答。過去の出来事、未来への助言などの情報を得るために、死者の霊魂を屍の中へ呼び寄せ、一時的な生命を与える魔術であり、幽冥学の一項目のこと。
第二問、占屍術(ネクロマンシー)は慎重に扱うべき魔術である。なぜか?
──解答、生命と死を弄ぶ可能性を秘めるため。
第三問、占屍術(ネクロマンシー)において、器とする屍の鮮度について最適なものは何か? また、適さないものは何か?
──解答(最適なもの)、ほどほどに鮮度のよいもの。
──解答(適さないもの)。白骨化したもの、枯骸(ミイラ)や死蝋などの永久死体。
第四問、占屍術(ネクロマンシー)によって作り出されたものをなんと呼ぶか?
──解答、ゾンビ。
第五問、死者の助言に価値があるのはなぜか?
──解答。彼らが生あるうちに得ていた知識に、死後に得た知識を統合したものであるから。
第六問、占屍術(ネクロマンシー)を弾劾した著名な人物を二人以上答えよ。
──解答。イアンブリコス、ポルピュリオスなど。
第七問、器となる屍を用意せず、その霊魂のみを呼び寄せる魔術に関して、名称、利点、弊害についてそれぞれ答えよ。
──解答(名称)、影占い(サイオマンシー)。
──解答(利点)。占屍術には、死者の遺族にとって故人の遺体を器として使用される心配がつきものであるが、影占いでは屍を用意する必要がないため、器となり得る遺体を保有する世帯にとっての脅威とならないこと。
──解答(弊害)。霊魂を器に閉じ込められず、暴走させる危険性があること。
第八問、問七の魔術を「悪用する」とはどのような意味か?
──解答。死者の霊魂を自らの内に呼び寄せ、死者と一時的に一体化し、自力では手に入れ得ない力を意のままに操ること。
第九問、死者の霊魂ではなく、幽冥界の存在のうちでも特に邪悪とされる悪魔や悪霊を呼び寄せる魔術をなんと呼ぶか?
──解答、黒魔術(ニグロマンシー)。
── 中略 ──
第四十七問、有史最大の占屍術師(ネクロマンサー)に関して、その人物の名を答えよ。
──解答、サウロン。
第四十八問、問四十七の人物に関して、彼が最も美しい姿であったときに成した事を、幽冥学の観点から述べよ。
──解答。モルゴスの追放により荒廃した地球を再建するため、地球に暮らす人間をはじめとする各種族の民を動員しようとしたが、やがて彼らを支配することのほうに重きをおくようになり、人間のうち最も力のあった者たちを味方に引き入れ、彼らを幽鬼へと変えた。
第四十九問、幽冥学における「堕落」とは何を意味するか?
──解答。生者がその生あるうちから幽冥界の魔力に魅了され、この世界に生きる者にとっての害悪となること。
第五十問、幽冥学における「奴隷」とは何を指すか?
──解答。堕落し、術者に従属するようになった者。
第五十一問、幽鬼(ナズグル)とは何か?
──解答。占屍術師(ネクロマンサー)の奴隷のうち、生身の肉体と自由な意志を奪われ、生と死の狭間をさまようようになった、不死身だが実体のない幽冥界の存在。
第五十二問、幽鬼(ナズグル)はどのようにして作り出されるか? 方法を二通り述べよ。
──解答一。幽冥界由来の物質で、生者の心臓または体を刺す方法。
──解答二。対象となる生者が欲するもの(永遠の命、栄華、大いなる富、幽冥界を見る目、不可視の体など)を与え、代償と称してその者の生身の肉体と自由な意志を奪う方法。
第五十三問、幽鬼(ナズグル)に対抗できる一番身近なものは何か?
──解答、太陽と水。
第五十四問、幽鬼(ナズグル)の呪魔の進行を遅らせることのできる薬草は何か?
──解答、アセラスまたは王の葉。
第五十五問、幽鬼(ナズグル)と幽霊(ゴースト)の違いを述べよ。
──解答。どちらも幽冥界の存在であるが、幽霊には自身の意志でなり、幽鬼には他者(占屍術師)によって変えられる点。
── 中略 ──
第八十七問、問四十七の人物に関連する出来事について、A~Gを年代順に並べよ。
A、人間に指を切り落とされる。
B、人間へ投降する。
C、人間の世界(地球)が海に没する。
D、万物の父が人間の世界(地球)を丸く作り変える。
E、人間の王を騙し、寵愛を得、神官となる。
F、人間を万物の父のいる地へ進軍させる。
G、占屍術師(ネクロマンサー)となる。
──解答、B→E→F→D→C→A→G。
第八十八問、問四十七の人物に関して、その人物の「主人」がかつて追い求めたが手に入れられなかった二つのものを答えよ。
──解答、光と世界(地球)。
第八十九問、幽冥学において「万物の父」と呼ばれた、万物を生み出したとされる人物の名を答えよ。
──解答、エル・イルーヴァタール。
第九十問、問八十九の人物よりこの世界(地球)の創造を任された人々を、幽冥学用語でなんと呼ぶか?
──解答、天使またはヴァラール。
第九十一問、幽冥学において、この世界(地球)の創造者のうち、治世を担った最高位者であり、問八十九の人物の代理人である人物の名前を答えよ。
──解答、マンウェ・スーリモ。
問九十二、シルマリルとは何か?
──解答。万物の父のいる地に住むエルフによって作り出された、「月と太陽の前身である光」の収まった宝玉。
第九十三問、幽冥学において、この世界(地球)に有史最大の損害をもたらし、問九十としての名を剥奪されたとされる人物の、もとの名とのちの名を答えよ。
──解答(もとの名)、メルコール。
──解答(のちの名)、モルゴス。
第九十四問、問九十三の人物に関連する出来事について、A~Gを年代順に並べよ。
A、問九十の軍勢に攻め滅ぼされる。
B、この世の外側へ追放される。
C、人間の一部を味方に引き入れる。
D、問九十一の人物との戦いに敗北する。
E、シルマリルを奪い、この世の王を僭称する。
F、問四十七の人物が後を引き継ぐ。
G、地下へ引きこもる。
──解答、D→E→G→C→A→B→F。
第九十五問、幽冥学において、問九十三の人物が生み出した代表的なものを四つ答えよ。
──解答。酷寒、灼熱、暗闇、幽冥界または闇のあの世。
第九十六問、問九十五の解答のうち地名に関して、これと対となる地の呼び名を二つ以上答えよ。
──解答。光のあの世、安息の地、万物の父のいる地など。
第九十七問、幽冥界の存在にとって脅威とされているものは何か?
──解答、この世と光のあの世の二つの世界に同時に生きる者。
第九十八問、占屍術師(ネクロマンサー)にとっての禁忌事項を五つ全て答えよ。
──解答一、ゾンビを必要以上に使役すること。
──解答二、幽鬼を作り出すこと。
──解答三。他者(乙)に幽鬼を作り出す術を仕込み、他者(丙)を幽鬼に変えさせること、また使役させること。
──解答四。他者を貶める目的でゾンビを作り出すこと、またそのような依頼を受けること。
──解答五、自らの死後の復活に悪用すること。
第九十九問、禁忌を犯した占屍術師(ネクロマンサー)に科される罰を、その程度の軽い順に挙げよ。
──解答。刑務所へ送られる、占屍術師免許の剥奪、杖の剥奪、魔力の剥奪、魔力の剥奪ののち非魔法族の体の中に魂を閉じ込められる、死刑、魂を抜かれ収容所へ送られる。
第百問、解答者は占屍術師(ネクロマンサー)を志望する動機を述べよ。
──解答例。私が占屍術師を志望する理由は、自身の生き方について懐疑の念を忘れず、研磨を重ね、よりよい生き方を模索する努力を続ける人間でありたいからである。占屍術とは、その夢を叶えるに最も適した道であると考える。未来への不安や過去への疑問を解消するために、「知りたい」という率直な感情と誠実に向き合う。そのように知識を高めていくことは、世界の本質へ近づくことであり、人が抱きがちな邪な思いに打ち克つための強い心を保つ助けとなるはずである。そして私は、占屍術で得たものを自分一人のものとすることなく、他者へも惜しみなく分け与え、世の役に立ちたい。また、占屍術を生涯の業とすることは、最も優れた魔法使いであることの証明となるとも考えている。最高位の魔術を取得することは、人生を生きるにおいて、自分が自分自身へ最大の選択肢を与えるに等しい。選択肢とは可能性である。あらゆる物事において、取り得る選択肢の数がより多いとは、絶望や自棄を遠ざけることを可能にするのである。物事を最後まで諦めないことは、人生をより豊かに過ごすことへ繋がる。私は何より、自身が健全であってこそ、他者を助けるために砕身できると考える。以上の理由から、私は占屍術師を志望するのである。
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解答は以上です。




