ボク、野良猫
ボクは野良猫。オスの2歳。
今日も人間の暮らす都会の片隅で、細々と生きている。
お父さんもお母さんも、誰かは知らない。ボクが生まれてすぐに
どこかへ行ってしまったからだ。
でも、寂しくなんかないよ。
ボクは人間が大好き!お腹が空いたら、いつも肉屋のおばあちゃんがお肉を分けてくれる。
………あれ?なんだかお腹が空いたなぁ。
よーし!また肉屋のおばあちゃん家に行って、お肉食べよっと!
「あーら、ノラちゃん!また来たの?もーーー、しょうがないねぇ。ほーれ!この肉持ってきな!」
一応言っとくけど、ノラって名前はボクの名前ではない。
よく見る隣町の猫もノラって呼ばれてる。
まぁ、人間から見ればボクも隣町の猫も一緒なんだろうね…
でも、今日もおばあちゃんは優しいなぁ。いつもいつも売れ残りのお肉をくれる。
これがあるから2年間生きてこれたようなもんだしね。
それに引き換え、魚屋のおっちゃんはいつもボクを敵対視している。
「まーたおめーか!うちの売り物勝手に食いやがって!今度やったら撃ち殺すからな!!」
趣味で射撃をやってるらしい、魚屋のおっちゃん。
あの人にはボクは到底かなわない。
このおっちゃんのせいで、なかなか美味しいお魚にありつけない。
おっちゃん家の魚、美味しいのになー…
ボクには好きな猫がいる。
三丁目の家に住んでる、く~にゃんだ。
く~にゃんは白い毛で目元も凛々しいヨークシャーテリア。
すごく上品で、この辺の猫はみんなく~にゃんを狙ってる。
でもく~にゃんはボクには見向きもしてくれないし、ましてやボクはく~にゃんに話したことすらない。
く~にゃんは飼い猫、ボクは野良猫。ボクにはく~にゃんみたいな高嶺の花みたいな子とは一生付き合えないのかなー?
愛しのく~にゃんのことが頭から離れない…
く~にゃんに思いきって声掛けたいなぁ。