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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

彼女と私の記憶

作者: 無味

初心者で初投稿です。辻褄が合わない所があるかも知れませんが許して下さい。

誤字脱字や、アドバイス等あれば教えて頂けると嬉しいです。


私には2歳年下の幼なじみがいる。彼女は笑顔が眩しくて、月並みだけど、まるで太陽みたいな女の子だった。

学院での生活はとても厳しくて、偶に会える彼女との時間が何よりも癒やしであり、宝物だった。

彼女の16歳の誕生日に、最近教えて貰ったカフェへ行った。勿論、彼女の誕生日を祝いたいからだったけど、来年兄の婚約者になる予定の女性と偶然会ったから紹介したんだ。

将来はきっと私は彼女と結婚すると思っていたし、両親だって賛成していたから、彼女にとっては関係ない人物ではないからね。

でも彼女は何故が泣き出して、店を飛び出してしまった。

直ぐに追いかけたけど、私の言葉も聞こえていないのかどんどん路地に入っていってしまい、途中で見失った。幸い近くに彼女の好きな公園があったし、そこにいるはずだと思い、私はカフェへ一度戻った。

でも公園に彼女の姿はなくて、どんどん路地に入っていった後ろ姿が頭から離れず、嫌な予感ばかりが頭を駆け巡った。

彼女の家族や私達一家で捜し回ったが、結局彼女は見付からなかった。

彼女が行方知れずになってから1月後に、自警隊が尋ねてきて「この辺りに行方知れずになっている女性はいないか」と言ってきた。ある商人が隣国から麦を運んでいた際、魔物に襲われている町を見付け、自警隊が駆けつけた時には町は壊滅状態だったそうだ。被害者の大半は隣町の人で直ぐに身元が分かったが、一人だけ身元が分からない女性の遺体があり、損傷が酷く遺体は既に埋葬してあるが、何とか遺留品だけでも身内に返したいのだと言う。

そうであってくれるな、と思いながら木箱を開けると、そこにはいつか彼女にプレゼントした指輪と、うっすらと彼女の家紋が残ったハンカチーフが入っていた。

あの日、もしも、私がもっと彼女を追いかけていたならば。

あの日、もしも、魔物が出なければ。彼女はまだ、私の隣で眩しい位の笑顔でここに居たのだろうか。


あぁ、神様もしも叶うならば、来世こそ、きっと彼女と幸せに。




私には2歳年上の身分違いの幼なじみがいる。彼は伯爵家の次男でありながらも甘いルックスと柔らかな身のこなしからか、世の女性からとてもモテる人だった。

男爵家の、しかも三女という微妙過ぎる私には全く釣り合わない世界の人だったが彼は私を大切にしてくれたし、私も彼が大好きだった。

私たちの関係が変化し始めたのは、彼が全寮制の学院に入学してからだった。帰ってくるのは夏と冬に5日間だけ。

偶に会う彼はいつも甘い香りを纏っていて、彼女が出来たのか聞いても「私には君いるからね。それに女の子と仲良くする前に、しっかり学ばなければいけないから、そんな暇はないんだよ。」と笑って誤魔化していた。

私の16歳の誕生日に、偶然学院が休みだった彼が最近出来て、美味しいと噂のカフェに連れて行ってくれた。

キラキラしたショコラやケーキ達、それに大好きな彼と一緒にいられる嬉しさで私はすっかり舞い上がっていた。

けれど、楽しい時間はあっという間に終わりを告げる。彼が「知り合いがいたから、少し外して良いかな。すぐに戻るよ。」と席を立ち、とても美人な女性と戻ってきたのだ。

混乱している私に「ずっと、君に紹介しなきゃと思っていたんだけど、彼女が伯爵家での務めが大変みたいで。なかなか予定が合わなかったんだ。」と話し始めた。

「あぁ、遂に私は失恋したのか。彼女がいるのならそう言ってくれれば、こんな張り切ってお洒落もしなかったのに。」と急に涙が出てきてしまい、思わずカフェを飛び出してしまった。

彼が何か叫んでいたけれどもう何も聞きたくない、と耳を塞ぎ前も見ないでずっと走り続けた。

気が付けばカフェから離れた所にある、隣町の劇場まで来てしまっていた。広場から少し離れた待合所で、辻馬車を待ちながらボロボロになったワンピースと、いつか彼から貰った指輪を握りしめて子供みたいに泣いてしまった。

遠くから聞こえる悲鳴や怒声も、何かが近づいている音も、私には届かなかった。

覚えているのは自分の足元に落ちた大きな赤い水溜まりと、見上げた時に見えた青い空と大きな目だけだ。


どうか神様、今度生まれ変わるならきっと、彼と巡り会えますように。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

ご感想やご指摘等が御座いましたら教えて頂けると嬉しいです。

少しずつ頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願い致します。

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