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なっぴの昆虫王国  作者: 黒瀬新吉
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ナノリアの王

 「やはり『コウカ』では『アギト』の寄り代になれないのか」

「『ラクレス』、もうお前の計画はおしまいだ。諦めろ」

『キュラウエラ』は身構えるとそう言った。だが『ラクレス』はせせら笑った。

「最初から『コウカ』が『アギト』を抑えられるとは思ってもいない。『アギト』になれるのは唯一、そこにいる『ドルク』だけなのさ」

『バイス』はそれを聞くとこう言った。

「『ラクレス』何を言う、すでに『オレンジ・バイス』は『虹の原石』に入った、今更この俺が『アギト』になれるはずもない。」

しかし「ラクレス」は何も言わなかった。


 「いくぞっ、ラクレス!」

三角とび蹴りを『キュラウエラ』が放つ。それをかわした彼は、長い前足の鋭いかぎ爪で『キュラウエラ』の顔を打った。

「『エレファス』お前だろ?こいつをかくまっていたのは。『ギリーバ』のだまし討ち程度で、国王が殺されるはずがあるものか。そうだろう?『ナノリア』の王『キング・ビートラ』」

「いかにもそうだ。だまし討ちを利用して、お前たちの悪だくみを明るみに出し、それを阻止する、そう考えて『エレファス』の元に身を隠していたのだ」

『キング』の登場に、一番喜んだのは『ギリーバ』だった。

「『キング』、よかった。私はずっと後悔しておりました」

「済まない、もっと早く伝えておいてやりたかったのだが、心を痛めていたであろうに」


 「まあいい、今度こそ確実に殺してやろう、来い。『キング』」

『ラクレス』はそう言うと、戦闘モードに変形し、両手のひらから光を放った。溶岩弾が続けざまに『キュラウエラ』に向かう、それをかいくぐった彼は念波を送り一瞬でそれ凍りつかせる。『ラクレス』は巨大なツノを開き『キュラウエラ』を挟み込んだ。

「いつまでもその姿のままか、それほど王の姿に戻りたくないのか?」

腹立ち紛れに彼は『キュラウエラ』を放り投げた。

「ムン」

投げ飛ばされた彼が回転し立ち上がった、そこには雄々しい『ナノリア』の王『キング・ビートラ』が立っていた。

「『カブト』……、レムリアの大王は偉大な武神だった。暴君となった二人の王子『イオ』と『アギト』、を自ら倒したのだ。国民のためにな」

そう言って近づく『ラクレス』はキングに引けを取らなかった。

「来いっ!『ラクレス』」

挿絵(By みてみん)


 『キング』は『ラクレス』と戦う決意をした。黄金色のマスクを装着した姿で低く構えた。

「『ナノリア』を守るために、『ラクレス』お前を倒す」

「お前が『ナノリア』を守るのと同じ、俺たちもそれぞれの国のために『イト』を目覚めさせる、それが約束だ!」

お互いのツノががっぷりとかち合い、組み合ったままで、『キング』は聞いた。

「誰と約束をしたと言うのだ、『ラクレス』」

『キング』を持ち上げ、床に投げ飛ばすと『ラクレス』は笑って答えた。

「『赤い翡翠』、その中に巣くっていた悪魔とさ……」

それを聞いた『ロゼ』、いや筆頭巫女の『ラベンデュラ』が叫んだ。

「マンジュリカーナ』のおっしゃっていた『赤い翡翠』!」


 「ー赤い翡翠ーその悪魔のかけらは、はるかかなたの空間から飛んで来たのです。そしてこの星に落ちたのです。そのかけらは四つに砕け、そのうちの二つが『イオ』と『アギト』の二人を狂わせたのです。残りの星のかけらは『レムリア』の周辺に散らばり、行方がわかりません」

四人の巫女は、『マンジュリカーナ』が人間界に発つ前に「赤い翡翠」について聞いた。

「二つの大きなかけらは『ナツメの石』となり、王子を狂わせた後、効力を無くしました。しかしまだ『赤い翡翠』はどこかに残っています。それに宿る悪魔の意志が、やがてこの国に災いを起こす時が来るでしょう。しかし、案ずることはありません。その時こそ『レムリアの子』とともに、あなたたち巫女の力を集めなさい」

「マンジュリカーナ」の言った通り、残った二つの『赤い翡翠』が『ラクレス』と『コウカ』を操っているのだった。


 「ドガッ」

今度は『キング』の蹴りが見事に決まる。『ラクレス』は数歩後ろに下がった。

「おのれっ『キング』め、今度はそのツノを砕いてくれるぞ!」

『ラクレス』は巨大なツノを震わせて突進してきた。『キング』は寸前で後ろに回転して避けるとその勢いを利用して背負い投げを決めて彼を投げ飛ばした。

「うぐっ」

すかさず、近づいた『キング』は左右の拳を腹に打ち、バックキックをする。

「うむううん?」

彼は不思議だった、王の中でも一番小柄な『キング』の蹴りが思いのほか重い。それに『コウカ』が、なっぴと言う小娘に倒されたのも納得がいかなかった。しかしそれこそ『虹のかけら』の力、『虹の村』の不思議な力に他ならない。『虹の村』には悪を浄化する気が満ちている。それを集める場所が『虹のほこら』だ。そしてその気を結晶したものが『虹の原石』だ。『テンテン』も『リンリン』も生まれながらにして身体に『虹のかけら』を取り入れる力を持っている。虹色テントウがいる限り、『虹の村』はどんな悪にも屈しないのだ。なっぴが人間界で『バイオレット・キュー』を使い『B・ソルジャー』のパワーを打突の度に少しずつ減らした様に、『ラクレス』も『コオカ』も『赤い翡翠』の闇の力をこのほこらの中で少しずつ減らしはじめていた。


 次第に二人の王には、過去の記憶が戻りはじめていた。

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