異界からの助っ人
「あらたな敵が現れたのか?」
『バイス』も王子も身構えた。しかしその虹の光は敵などではない。明るい声だ。
「お土産届いた?」
「なっぴ、なっぴなの?」
『テンテン』と由美子が同時に声を上げた。虹の輝きの中からなっぴが現れた。
「遅くなってごめんね、だって遠いんだもん……。途中で見つけたこいつを懲らしめてたら逃げちゃったの、お土産に持ってこようとしてたのに、よかった一足先に届いたのね。えへへへっ」
「あなたがなっぴなの。ここまで来れたと言うことは『マンジュリカーナ』から何もかも聞いたのね…」
『ラベンデュラ』は『テンテン』のティアラを見てそうつぶやいた。
「ところで、一体何が起ってるの? あれっ見たような三人がいるわね」
『ピッカー』、『ガマギュラス』、『ギリーバ』は『シカバネカナブン』から巫女たちを守っていた。そして目の前には、やっと起き上がった巨大な『コオカ』が三本ヅノを振りかざした。
「せっかく来たのにな、お嬢ちゃん。逃げ帰るのなら今のうちだぜ」
「ははぁん、どうやらあなたたちが親分ね。由美子までひどい目に合わせて、絶対許さない!」
「なっぴ、気をつけてこいつら相当強いわよ」
由美子はそう言うと『スカーレット』の側に行った。なっぴはそれを確認すると虹のほこらの空気をいっぱい吸い込んだ。そしてあのコマンドを叫んだ。
「『テンテン』着装」
『テンテン』がコマンダーに変形した。銀のティアラから『マンジュリカーナ』の声がなっぴに届いた。
「なっぴ『リンリン』も着装しなさい」
「ようし、『リンリン』着装」
『リンリン』もコマンダーに変形した。
「セットアップ」
虹色テントウの姉妹は一対のコマンダーとして、なっぴの耳を覆った。なっぴのシナプスに新しいコマンドが一瞬で書き込まれていった。
「シンクロナイズ、完了」
コマンダーから二人の声が聞こえた。それを確認するとなっぴは片手を上げた。
「メタモルフォーゼ・レインボー!」
レインボーとなったなっぴは、以前とは違うコマンドスーツを着ていた。紫をベースとしているだけでなく、さらに動きやすくなっていた。『バイオレット・キュー』は七色に輝く『レインボー・ランス』になっていたが、それは握った瞬間に手になじみ、『テンテン』が王国で使った技のすべてが新しくコマンドに書き込まれた。なっぴはするりとランスを抜くと、『コオカ』に突きつけた。
「『マンジュリカーナ』の意志のもと、『コオカ』お前を倒す。覚悟しなさい」
「ほほう、久しく聞かなかった『マンジュリカーナ』の名、おまえは知っているのか?」
「よーく知ってるわ、さあ行くわよっ!」
なっぴはランスを片手で回転させながら、ジャンプをし、『コウカ』の上に思いっきり振り下ろした。堅いツノがそれをはじき、なっぴの手はかなりしびれた。
「堅いわね、ここはどうかしら?」
腹に向けてランスが伸びて打突した。しかしそれをつかみ『コオカ』は笑った。
「そんな突きじゃ効かないぜ、そらっ」
ランスを握ったまま身体を後ろに反らしてなっぴを上に持ち上げた。なっぴはそのままランスを伸ばした。実はこの瞬間を彼女は待っていたのだった。ランスは伸び続けてほこらの天井に届きそれでも、止まること無くなおも伸びていった。ランスの打突部が紫の翡翠のやじりに変わった。『マンジュリカーナの玉』だ、『コオカ』の腹をランスの先が貫き、床の岩盤をも砕いた。『コオカ』はまるで仰向けに虫ピンでとめられた標本のようだ。
「う、動けん」
なっぴは固定した『レインボーランス』を「滑り棒」のように使いスパイラルしながら落下してきた。なっぴはティアラを外して叫んだ。
「マンジュリカーナ・ラペ」
紫のラペは、なんなく『コオカ』の胸を貫いた。
「うぎぇあーっ」
『コオカ』の悲鳴を聞くと、なっぴはラぺをティアラに戻し、ランスを元の長さに縮めた。もう『コオカ』は戦えなかった。




