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なっぴの昆虫王国  作者: 黒瀬新吉
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引き裂かれた兄弟

 翌日、職務に復帰した副大臣はたまった仕事を手際よくこなしている。ヒラタ大臣はノコギリを一番信頼していたのだ。昨晩彼が自宅で預かっていた二つの卵から、王子と王女が生まれた。彼はこれを機に職を辞し、ノコギリに後を任せようと思っていた。二人の後見人として、これからを過ごすつもりだった。

「成長の遅い卵たちはどうだろう?」

王国では王子が二人以上誕生した場合、先に生まれた方を第一王子とする決まりだった。第二以下の王子はフローラ国・エビネ国の守備隊長を務める。キングはたった一人の王子だったため、フローラ国にはアオカナブンの「ハガネ」、エビネ国にはオオクワガタの「ドルク」が守備隊長として遣わされていた。武器らしいものを持たない、フローラ国のチョウ族が安心して暮らせるのは、王国の守備隊のおかげだった。フローラの花園を狙っていたのが、ハチ族とその族長「ピッカー」だ。エビネ国はタガメ族が統治しているのだが、陸上での行動が不慣れのため、主に周辺部の守備は王国が分担している。タガメ族の王が先日没し、「バッカス王子」が跡を継いだと大臣は聞いている。

 「両国へ王子と王女を届けよう。王国から、一刻も早く脱出していただき、この件が解決後に王国に戻っていただこう」

城を出た大臣をハンミョウが足音のひとつもたてずに尾行していた。王国の卵たちを預けているのは、アオハナムグリのところだ。そのことはもちろん誰にも話していない。


 玄関先で辺りを見回し、誰もいないのを確認すると大臣は言った。

「私だ、ヒラタだ」

大臣が中に消えると、ハンミョウは高くジャンプして羽を広げて飛び去った。

「どうだ、変わりないか?」

「はい、今日明日にはお誕生ですよ」

ハナムグリの夫婦はにっこり笑って、大臣に嬉しそうに報告した。

「一足先に、孵化された王子と王女は『ハガネ』と『ドルク』の所にお連れしておこうと思う。また明日来よう、くれぐれも用心するのだぞ」

そう言い終えると、「トビヤンマ」に王子と王女を乗せるため、彼は屋敷に急いで戻った。


 「よいか一刻を争う、直ちに発て。そしてしばらくは王国に帰るでない。『虹の村』に身を隠しておくのだ。わしが迎えに行くまではじっとな。お前たちの面倒は『ドルク』が見てくれるはずだ。なあにしばらくの辛抱だ」

二機の「高速トビヤンマ」はそれぞれ東と西に別れて飛び立った。

大臣はそれを見ると安心した。しかし次の瞬間二つの陰が飛び上がり、それぞれを追っていった。

「あれは……」

「トビヤンマ」を追うのは「B・ソルジャー」の「カラスヤンマ」だった。

 その姿を見て、大臣は胸騒ぎを覚えてしょうがなかった。

「まさか、ずっとわしを見張っていたのか……」

すぐに、アオハナムグリを警護するように、近衛隊長に命じると、大臣はあわててアオハナムグリの屋敷に向かった。

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