表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なっぴの昆虫王国  作者: 黒瀬新吉
40/112

勇者「ドルク」

 「お前に続いて、私たちも城をすぐ脱出しました。案の定、『ラクレス』配下の『チスイ』と言うタイコウチがこの国を治める様に派遣されてきました」

「サキ」の話しを今度は「ゲンゴ」が続けた。

「『チスイ』は早速あなたを『兄殺しの凶悪犯』として、王国中に手配書しました。女王は、共謀者として国内だけのお尋ね者としてですが」


 「『イト』のことを他国に知れてはならなかったのでしょう。『ゲンゴ』のおかげで、城の水牢に入り、以前から服役している老婆に成り済ましていたのです」

彼女はそういい『ゲンゴ』を褒めた。

「いえ、私は全速力でこの城の水牢に女王を運んだだけですから、水中では私のスピードにかなうものはいませんから」

「そして『サギリ』には、私の『イト』の力を少し吸い取ってもらって、『イト』が外へ漏れないよう用心して今日までここに入っていたのです」

「『チスイ』は私が倒したのだが『ギラファ』が次にこの国に来た時、この城の堀の水を止めてしまった。そのため女王に苦労をさせてしまった」


 「何をいうのです、『ドルク』。あなたの計画通りに動いたから、『スタッグ』に会えたのです」

「あのう、わたしのことも……」

「もちろん。『ケンザ』は毎日この城を訪れて、『ドルク』の連絡を私に伝えてくれました。その中には、哀しいこともありましたが」

「哀しい知らせ?」

『スタッグ』は女王に尋ねた。

「カブト国であなたが捕まり、『ギラファ』の指図で死刑を宣告されたことや、その後脱獄し、『ラクレス』の配下になったことも知っていました」

「だが、『イト』の力は異国の呪術など、恐るるに足らぬ、やがて解き放つはずだ、と女王は笑っていらっしゃったのだよ。それよりも女王……」


 『ドルク』は沈んだ面持ちでこう伝えた。

「カブト国の王キングがヤツらに殺されました。それもだまし討ちで、キングを殺したのは『B・ソルジャー』の仕業です」

「ギリーバ……か」

『スタッグ』が『ドルク』より先にその名をつぶやいた。

「ギリーバのことをお前は知っているの?」

「ええ、一度キングに捕まった凶暴なヤツです。死刑の前に脱獄したのですが、『ギラファ』に黒葡萄酒を飲まされ、『ラクレス』の配下に加わったのです」

「というと、他にもいるのですね」

「オオスズメバチの『ピッカー』、オオカマキリの『ガマギュラス』、シロスジカミキリの『ギリーバ』私と一緒に黒葡萄酒を飲まされたのはこれだけです。『ラクレス』は、もう一人つれてこいと『ギラファ』に命じていました。そいつがどうしても必要だと、それが誰でどこにいるのかまでは分かりません」


 「この国に現れたのは、タイコウチの『チスイ』、フローラ国では『ピッカー』の弟『キール』が黒の森の『ダゴス』によって倒された。しかしまだまだ増えるかも知れない……」

そのあと『ドルク』は『ギリーバ』が『チスイ』の代わりにこの国に着任することを告げた。そして『イト』を地上に引き上げる計画についても聞き出していた。ただ黙って聞いている『スタッグ』は少し妙な気がした。強いだけの印象だった『ドルク』が、頭の切れる、策士のようにも思える。なおも彼は話しを続けた。

「良い知らせがあります、カブト国の女王は幽閉されていますが、ご無事です。フローラ国の女王は『ハガネ』に守られて、黒の森に入られました」


(違う、この男は『ドルク』では決してない。じゃあいったい何者なんだ?)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ