表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なっぴの昆虫王国  作者: 黒瀬新吉
29/112

第二の刺客

挿絵(By みてみん)

 「黒崎マイ、マイです。よろしく」

その転校生、マイは翌日クラスに紹介された。席はたいすけの隣だ。大喜びの彼は、さっそく教科書を開いてマイにみせてあげた。

「前に通っていた学校で、もっと先まで習ってるから、気にしないでいいわよ」

マイは斜め前の席のなっぴと由美子の背中をじっと見ていた。

「ジリリリリリリ」

火災報知器が騒々しく鳴りはじめた。

「今日は避難訓練だったかしら?」

なっぴは一度首を傾げたが、先生の指示通りにグランドに向かった。誤作動だったらしく、三時間目の途中から長い昼休みになった。給食センターから給食が届くまで、グランドでドッジ・ボールだ。あれほど運動神経がいいのに、由美子はすぐボールをぶつけられた。すばしっこく逃げ回るなっぴは、なかなか巧くボールを交わす。

「なっぴ、こっち、こっち」

たいすけがバスを要求した。相手のチームにいるマイを狙って二人で挟み撃ちだ。ボールが回されて、次第にマイを追いつめた。

「それっ!」

跳びあがって避けたはずのマイのかかとに、なっぴの投げたボールが当たった。


 チャイムがなった、みんな教室に戻る時間だ。勝負はまだついていなかった。

「続きはまた後で、給食を食べ終わったら、ここに集まろうね」

なっぴはみんなとそう話しながら教室に向かった。

「ボールを片付けてくるわね」

「ごめん、マイ。じゃ、おねがい」

ボールを抱えてマイは体育倉庫に向かって駆け出した。


 「遅かったわね。あなたは『ガマギュラス』よりは腕が立ちそうね」

辺りを軽く見回し、マイはボールに止まったスズメバチにそう言った。

「早く俺の本来の姿を召還してくれ『ブラック』」

「そうね、私も『あいつ』が死んじゃうところを早く見たいしね」

そう言うと、彼女は黒い霧を呼び寄せるとそれに向かって叫んだ、

「召還、『ピッカー』」

 黒い霧の中から、B・ソルジャー『ピッカー』の姿が現れ、その中へとスズメバチが吸い込まれていった。霧が晴れ『ガマギュラス』の仇討ちに人間界に立ったのは、ずる賢い、そして王国一の槍名人『ピッカー』だ。


 「『テンテン』、なっぴ、そしてフローラの王女。まとめて俺が串刺しにしてやる」

「給食が終わってからにして。騒ぎにならないよう、早く片付けてね」

「分っているさ。任しておけ」

彼は右手のリストに仕込まれた『イエロー・ピック』を伸ばすと、先端を丹念に磨いた。

「『テンテン』は本当に殺していいのか?お前の姉だと聞いているが」


 「構わないわ、あんな裏切り者。串刺しにしてやって」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ