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なっぴの昆虫王国  作者: 黒瀬新吉
18/112

由美子に続け

挿絵(By みてみん)

 「フローラ国の思いとともに、お前を倒す。『ガマギュラス』、覚悟しなさい」

「ほう、お前はフローラのものか」

彼はカマをまたぺろりとなめると勢いよく振り降ろした。

(今度はしとめた……)

由美子は跳ばなかった。『ガマギュラス』がそう思ったのも当然だった。

「カン」

由美子は左のホルダーから短剣を取り出し、その一撃を防いだ。

「うぬ、そんなもので俺様に勝てるかな」

「あーら、あまくみないでね。セットアップ・インディゴ・ソード」

短剣が空色に輝き、すらりと伸びた。

「それが、伝説のインディゴ・ソードか。丁度いい、俺がいただこう」

彼はひるむどころか、にやりと笑った。さすがに百戦錬磨の『ガマギュラス』は次第にアゲハを追いつめていった。何度かそのカマは由美子の戦闘用の『コマンド・スーツ』をかすめる。

 それは『やままゆ』の糸で織られていた。それだけではない、アオカナブンの『ハガネ』の技で、鍛えられている。しなやかで強靭な王国一の『コマンドスーツ』だ。

「なかなか丈夫だな、その『コマンドスーツ』は」

彼は由美子の足を取り、床に転がした。そしてすかさず、左のカマで彼女の巻く薄い空色のストールを床に止めた。

「首は鍛えているのかなぁ?お嬢さん、ゲフフフッ」

右手のカマが最上段に振りかざされた時、なっぴが叫んだ。

「いくわよ、カマキリ!」

その声に気をとられた『ガマギュラス』の顔面をけり跳ばし、由美子はなっぴを見た。


 「『テンテン』、目覚めなさい。『テンテン』召還!」

虹色に輝く『テンテン』がなっぴの肩に止まった。

(大丈夫かしら、不安……)

「『テンテン』、着装」

『テンテン』が覚醒したシナプスに書き込んでいた通り、『テンテン』は左右のコマンダーに変形し、ヘルメットに固定された。それに連動し、『コマンドスーツ』が起動する。素材はアゲハと同じものだ。だが、なぜかだぶだぶだった……」

「なっぴ、メタモルフォーゼも同時にしなきゃぁだめ。メタモルフォーゼ・レインボー、さあ叫んで」

由美子の言葉に、なっぴは慌てて叫んだ。

「メタモル……、メタモルフォーゼ・レインボー」

虹色の霧の中から現れたのは、生まれたての虹色の戦士だった。しかし『ガマギュラス』は動じないどころかこう言って挑発した。

「おやおや、やっとメタモルフォーゼしたのか。そう来なくっちゃ、つまらんからな。さあ、二人一緒にかかってこい」


 「虹のしずくの意志のもと、お前を倒す。『ガマギュラス』、覚悟しなさい」

なっぴは、しかし由美子とちがって武器らしきものは持っていなかった。

「『テンテン』、何か無いの、由美子みたいな伝説の武器は?」

「うーん、デリート・ガンは、武器じゃないからね……」

「何かひとつくらいあるでしょう」

「なっぴに使えるかなぁ」

「早くしてよぉ」

なっぴの左肩の『カプセル』が輝きを増した。紫色の輝きが増し、なっぴの手に手応えがあった。なっぴはそれを強く握った。それは紫の『棒』だった。

 「なんなの、この棒は……」

「それは『ヴァイオレット・キュー』、ビリヤードに使うものよ、長さはいくらでも調節できるの、堅くてしなやかよ」

「よし、これでいいわ。いくわよっ」

なっぴはその『ヴァイオレット・キュー』を体の長さ程度に縮めて、頭の上でくるくる回転させながら『ガマギュラス』に向かった。


 「ほう、なかなか面白いオモチャだな、ゲフフフッ」

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