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パトリシア・チェラストラ  作者: 蒼井 涼
3/3

見返り

 今現在、ステラは13歳。小等校を卒業したばかりである。3月に舞う桜などの葉が、また悲しみや虚しさを増したように教える。ステラの国は小等校を卒業した後は、さらにエリート目指して進学するか、職に就くか。いわゆる就職だ。小等校最後の年、ステラはファガンに訊かれたことがあった。


「なぁ。ステラ、お前、卒業したらどうするか決めてるのか?」

「もちろん。僕はお父さんみたいに戦人になりたい。」 

「な・・・おまえ、そんなこと言っても知ってるのか?軍隊に入ってだな」

「知ってるよ。でもそうしないとお父さんの仇が取れないじゃん。」


 この年で仇を言うか。正直ファガンはやめてほしかった。なぜなら、


「ステラ、お前のお母さんはな、お前がしっかりしてほしくて無事にいてもらいたい。って言ってたぞ。お前が軍隊とかに入って、お父さんみたいになってほしくはないんだよ・・・。」


 それは母のミーシャの意志であり。

 そしてそれを引き継ぐ彼、ファガンもまた危ないことはしてほしくないのだ。

 

・・お前まで死んだら俺は、パトリシア家のみんなの最期に関係しているじゃないか。

彼との関係は最初父の死亡通知であり。母の死も見届けた。これ以上誰かが死ぬ姿は見たくない。見させない。


「だからな、ステラ。お前の人生だから止めはしないが、就職のことが気になったならいつでも俺に言って来いよ。」

「うん。ありがとうファガン。もしもついていけなかったら、戻ってくるから。」


とてもそこらの13歳とは思えない言葉を口にしつつ、彼は―――。


 卒業の3月から2ヶ月後にして軍隊入隊をした。


 彼は故郷を離れ、誰も知り合いがいない基地へと赴く。

 朝は早朝からトレーニング、夜は少ない食事の中上の方々の雑用。

 ましてや夏は走りっぱなし、冬は実演練習。手がかじかんで動かないというのは理由にならず、自らの背後にいる教官の気配を感じては、プレッシャーに追われる日々。

 はや2年の歳月がたち、彼は以前とは別人のような体格になった。成長期だからだと思うが、肉が付き、軍隊の同期の中でも五本の指には入るくらい成長していた。

 

 そして15の夏に、彼の人生の分岐点が訪れる。


「いいか!これから我がβ隊は紛争地である国内西部に向かう!β隊の者はただちに出発準備を!そして心を落ち着かせるように!初陣を飾る者もいると思うが、これから見る風景は現実である。決して目を逸らすな!受け入れろ!そして敵は撃つのだ!相手に情を入れる暇はないぞ!」


彼の所属する部隊に招集がかかり、戦地へ赴くことになった。

彼は人を撃てるのだろうかと心に迷いがあった。彼の顔は暗く、誰が見ても分かるうつな感じだ。それを見かねた先輩たちは、


「なぁに、心配することねえさ。まだ新人にそんな危ないコトさせるわけねえだろ。お前は後ろからバックアップしてくれよ。援護射撃とかな。狙わなくていいから、威嚇役頼むよ。」

「間違えて俺ら撃つなよー?」


と、荷を軽くしてくれた。先輩たちの笑う姿を見て、

ステラにだんだんと明るい表情が戻ってきたのであった。

  ◆

「「「突入―――――――ッッ!!!!」」」

 先駆隊の号令のもと作戦は開始される。

 何百という足音と怒号が先程まで平和だった町に鳴り響く。

「続け!!続けェェェェェェ!!」

 β隊は訓練通り、正確に、かつ迅速に、人いう人を、老若男女構わず殺した。

 同僚たちは町の住民を撃ち、斬り、燃やし、嬲り殺した。

 ただ平和に住んでいた、あの頃の自分と同じ立場の人々が。敵国だからという理由のみで、罪も何もない人が殺されていく。それはあまりに無残で、残酷で、無意味なことだった。住民は泣き喚き、訴えながらもそれを聞いてもらえずに散っていく。「助けて!!!」「お母さん!お父さん!」そう叫んでいた少年少女もつい一瞬前に心の臓を撃ち抜かれて倒れた。2分間という短い時間の中で一体いくつの時間が犠牲になったのだろうか。

 ステラは動けていない。ただ立ち尽くすのみだ。今自分は何をしているんだろう。果たしてこれが自分のやりたいことだったのか?果たしてこれが親の復讐になるのか?と。

 目の前で繰り広げられる地獄絵図にステラは耐えられなくなり、なんで自分がこんなことをしているか分からないまま、記憶と混乱の渦に巻き込まれ、意識がシャットダウンされた。

こんにちは、蒼井です。

おひさしぶりです(笑)落ち着いた頃に書こうとしたらここまで伸びましたすいません。

なんていうんでしょうか、好きで軍人やったりしてる人ってあまりいないと思うんですよ。戦闘狂でもない限り。(笑)義務だからやらないといけないとか、命令だから殺す。殺さないと死ぬから。理由は様々だとは思いますが、争いの無い時代の日本に生まれた私はそういう話がうまく表せません。なんで俺は殺さなきゃいけないのか?そんな葛藤だって世界の誰かが毎日のように繰り返してるはずなんです。少年兵だって、敵地を探るためとか、まだ死を理解していない子が駆り出させれたり、生々しくは書けないけど、命の大切さとか、なんかそういうものを少しでも見て下さる方に伝えれられればいいなぁ、そう思う所存であります(笑)


果たして人の死を取り合う場所を十二分に味わったステラ君はどうなるのでしょうか。

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