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フィーネは休むことなく疾走し自分たちが借りた宿へと戻ってきた。
そして予想したとおり、騒がしい小娘のリルと口うるさい修道女のマリアンが部屋に居ないことを確認した。
もちろんレイヴァンとブライトの部屋にも居ない。
「何処にも行くなって言っておいたのに! あのバカ娘!」
日が暮れて結構な時間が経っているのに、二人が戻ってきていないのは明らかに異常だ。
誰もいない部屋で大いに叫んだフィーネは直ぐに部屋を飛び出した。
部屋で止まって考える時間が惜しい。
フィーネは駆けながら考えを巡らせる。
……部屋を出たいと言い出したのは間違いなく小娘の方だろう。
マリアンは恐ろしいほど従僕だ。
小娘が好きなのは買い食いと衝動買い。
先日立ち寄った小さな町でも常に買い物に行きたいとレイヴァンにせがんでいた。
そうなれば商業区に行った可能性が高いが、如何せんその商業区は非常に広い。
自分も昼間見て回ったが、それは極めて一部の地域だけだ。
時間を忘れて買い物を楽しんでいるだけなら良い。
だが、彼女らがそれなりに愛らしく戦闘能力を持ち合わせていないので不安になる。
特にマリアンは世間に疎い生娘で、馬鹿がつくほど簡単に人を信じようとする。
男に騙されて強姦されたり、賊に誘拐された可能性を否定できない。
レイヴァンとの約束をいきなり破っていては、彼が眠りを醒ました時に顔を向けられない。
それだけは御免だとフィーネは更に走る速度を上げる。
迷っていても仕方がない。
今は思いつく限りのことを実行するのみ。




