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魔天創記 (四)  作者: ちゃすけ丸
第2章
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~ 8 ~

「病についてもう少しだけ聞いても良いかしら?」



「もちろんです」



「今、病にかかっているの男は何人いるの? それと一番最初に目が覚めなくなった人は解るかしら?」



「ギルドで把握している限りで四十三名です。 そしてほぼ毎日一人か二人ずつの割合で増えています。 一番最初に目が覚めなくなった方ですが、町の西部にある三番区域、八番通り近くのランスターさんと聞いています」



 今度はしっかりとこちらを見て話す彼にフィーネは笑みを見せる。



「石の鑑定も素晴らしいけど受け答えもしっかりしているのね」



 褒められた彼は照れ笑いを浮かべながら謙遜の言葉を返した。



「でもひとつ欲を言わせてもらうと、ハンターには町を渡り歩く者も多いの。 ましてや今は近隣に応援を要請しているのでしょう? 町に疎い人も多いはずよ」



 フィーネに指摘され何かに気がついた彼はすぐに紙とペンを取り出し、彼女の目の前で地図を書き始めた。



 大雑把ではあるが線で道を表し、丸で目的地を描き記す。



「良くできました」



 フィーネは描き終えたばかりの地図を摘み取ると踵を返した。



「二人とも、早速この家に行ってみましょう」



 彼女の提案にマリアンとリルは大きく頷いた。



 歩き始めると、鑑定士の彼が慌てて声をかけてくる。



 呼び止められたフィーネは不思議そうに振り返った。



「何か伝え忘れたことでもあるのかしら?」



「いえ…… そういう訳では無いのですが……」


「悪いけど、私たち時間がないの」



 フィーネが一蹴すると、まごついていた彼は意を決して続きの言葉を紡いだ。



「……また、お会いできますでしょうか?」



 一瞬呆気に取られたフィーネだったが、直ぐに相手の発言の意味を理解すると不適な笑みを浮かべた。



「もう来ないかも知れないわ」



「そう、ですか…… なら、せめてお名前を」



「名前? 私の名前はフィーネよ。 覚えておいてね、若い鑑定士さん」



 フィーネはわざとらしく彼に向かって片目を瞑ってからギルドを出た。

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