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偽物と本物の石か……。
誰かが真贋の話を始めれば次第に皆が興味を示し、これは偽物だ、いや本物だと話題になる。
そして、そのうち誰かが夢が叶ったと言い出せば、その話は尾ひれがついて噂として広まる。
「確かに話題には事欠かなさそうね」
「フィーネさんも、そういう話題好きですか?」
「宝石は好きだけど、願掛けや噂には一切興味ないわ」
「そうなんですか」
「私は欲しいものは物だろうと情報だろうと自分の力で手に入れるのが好きなの。 他人任せは大嫌いよ。でも、皆そう言うの好きそうね」
「老若男女問わずそうですが、特に若い方が好きだと思います。 今はその鉱脈から出土した石ならば夢が叶うばかりか、枕元に置いて寝れば、望んだ夢も自由に見られるといった噂もありますし。 ……ほら、この部屋にだって置かれています」
何気なく話し、近くにある卓上に置かれた鉱石を指差したマルコだったが、フィーネはその石の塊を見た瞬間心臓が大きく脈打った。
彼女は昨日までの記憶を一つずつ手繰り寄せ瞬時に結びつける。
すると、やはり全ての場所にこの鉱石と同じものがあったことに気がついた。
自分の借りた宿の部屋はもちろんレイヴァンたちの部屋にもあった。
一日中歩いて回った眠り続ける人たちの部屋にだって、どれも形は違えど……
思い起こせば、最初の家で小娘が見つけた指輪も黄緑色の宝石だった。
「マルコ、この石ってどれくらい広まっているの? 誰の家にでも普通にあるもの?」
「それはどうでしょうか。 石の噂に熱心なのは若者たちだけですし、 今まではヒュドラに阻まれて絶対量が少なかった。 置いてあるとしたら彼らと効力に肖りたい宿などの施設だけではないでしょうか。 良い夢が見られる宿って繁盛しそうですし」




