~ 7 ~
「ギルドは精霊石の換金の他にもハンターに情報を提供するのも仕事でしょ? 何より、人と話をする時は相手の目を見て話さないとダメじゃない?」
「す、すみません! 余りにも良い石だったもので、つい夢中に…… 気をつけますので、どうぞ元の姿勢に」
「どうしようかしら。 あなた、余程鑑定が好きみたいだし、折角だから次は私の胸を鑑定してもらおうかしら?」
「む、胸!?」
「今凝視していたじゃない」
「あの、その…… それは不可抗力と言いますか、自然と視界に……」
「フィーネ! 話が逸れてるです! 今はフィーネの胸なんてどうでも良いです。 早く病の話の続きを聞くです!」
「うるさいわね、そんなこと解っているわよ! ちょっと彼をからかっているだけなんだから、ツルペタ娘は黙っていなさい!」
「誰がツルペタですか! リルはこれから大きくなるです!」
窓口の前で取っ組み合いの喧嘩になる勢いの二人だったが、再びマリアンに一喝されると大人しくなった。
苦笑いを浮かべた彼は一つ息を吐くと話題を戻して話し始める。
「今し方、若い男性が目を覚まさなくなる病とお伝えしたのですが、ここにきて状況が変わって来ているのです」
「どういうことかしら?」
「実は最近、夜中に町を飛び交う悪魔の姿が目撃されたと情報が入りました。 ギルドでは病と関係している悪魔として警戒しています」
「それで女のハンターを集めたのね?」
「おっしゃるとおりです。 若い男性が被害にあっていることから近隣のギルドには女性ハンターの応援を要請しました」
「賢明な策ね」
「ただ、未だ成果が出ていないのが残念なところでして…… 今回の事件について、今は病と悪魔両方の可能性がある旨をハンターの皆様に情報として提供しています」
話を終えた彼は、数えた硬貨を小さな袋に入れてフィーネに手渡した。
「全部で金貨十一枚と銀貨二十五枚になります」
「ありがとう」
フィーネは受け取った袋をすぐ後ろに居るリルに渡す。
「金額に問題は?」
「無いです」
満足そうに頷いた彼女を見て、フィーネは再度鑑定士の彼を見た。