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「そういうことでしたら、リルが先に試すです」
「私が許す訳ないでしょ!」
「二人とも、良い加減にして下さい!」
リルとフィーネが再び口論に発展しそうになると、見かねたマリアンが声を張り上げた。
「今は争いをしている場合ではありません! ここまで騒いでいても、二人が目を覚まさないなんて明らかに変です! 早く原因を突き止めないと! ……手遅れになったらどうするのです!」
凛とした発言に取っ組み合いの喧嘩をしようとしていた二人は急に大人しくなった。
「ごめんです、マリーさん」
「それで、どうするのかしら?」
意気消沈したリルに代わりフィーネが鋭い視線を向けるとマリアンは「まずは、眠り続ける原因を調べましょう」と答えた。
「当てはあるの?」
「当てはありませんが、やはり悪い魔女さんか、悪魔さんの仕業ではないでしょうか?」
「魔女に悪魔ねぇ……」
「ですので、ここはギルドに行って話を伺いましょう。 ギルドはハンターさんたちが情報を求めて集まる場所なのですから、何か手がかりがあるかもしれません」
「否定はしないけどさ、それなら私はどちらかと言うと酒場に行きたいわ」
「酒場ですか?」
「そう、酒場よ。 そこにも沢山の情報が集まってくるし、加えて美味しい酒と食事がある。 それに良い男もね」
「それならリルは町でお買い物をしたいです! 商店や露店にはいろんな物があって美味しい物がたくさん安い値段で手に入るです! 色んな人が集まるから、多くの情報も手に入ると思うです!」
二人の発言に温厚なマリアンも流石に青筋を立てた。
「フィーネさん! こんな時にお酒は駄目です! リルさんは目的の優先順位が変わっているじゃないですか!」
あまりの形相にフィーネとリルは驚き、夢ではないかと互いの頬を抓り合った。