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先ほどまでの歩き辛さは何だったのか。
教わった呪文が本当に効果を発揮したのか。
マルコがその答えを得たのは移動を終え、昼食を取るため屋台の席に着いた時だった。
自分は促され、好き勝手に歩いただけで何かを変えた訳ではない。
目の前の人が見事なまでに自分に併せて歩いてくれたのだ。
女性を上手くエスコートできなかったことに恥ずかしさを覚えたが、歩いている時はそんな事を忘れていた。
むしろ気持ち良くリードしているような感覚だった。
手元の皿から視線を前に向けると、その彼女が視界に入る。
彼女は良い意味で常識に縛られず、不思議な魅力を持った人だとマルコは改めて心惹かれていた。
昨日の事が思い出される。
ギルドに入って来た彼女は一際異彩を放っていた。
このご時世、貴族など身分の高い人ほど服装にこだわる。
特にそれは女性に顕著で、誰もが金糸銀糸をふんだんに織り込んだ豪華なドレスを身にまとう。
髪は綺麗に結い上げて、思わずため息が出るほど高価な装飾品を身につける。
他の誰よりも一番贅沢に着飾ることが何よりの誇りなのだ。
そんな彼女たちは人前で肌を露出したりはしない。
それが貴族たちの常識であり、必要以上に見せる者は身分の低い者たちだけ。
貧しく着飾れないから淫らな格好で男を誑かすのだと完璧なまでに蔑んでいる。
庶民の女性たちもそこまで厳格ではないにせよ、高貴な身分に憧れ貴族たちの服装に少しでも近づこうと真似をして露出も極力控えるようにしている。
もちろん悪魔と戦うハンターたちは身を守るために堅牢な防具を身にまとっている。
そのような中で目の前の彼女はどれにも当てはまらなかった。
上半身のそれはまるでビスチェのようで鎖骨はもちろん腹部や背中の一部までもが露出しており、下は長いスカートを穿いているが両側に深い切れ目があり彼女が一歩踏み出す度に長い脚が垣間見える。
目のやり場に困る彼女の格好は娼婦たちよりも度が過ぎていた。




