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「実はその時、リルのやり方がまずかったのかご主人様に蹴り飛ばされたです。 それで、これ以上怒らせたら駄目だと思って、今度は靴を舐めたです」
「そんなこと、してはいけません!」
「……そうなんです。 ご機嫌を取ろうと思ったのですが、何故かまた蹴られたです」
「そのような事をしてもレイヴァンが喜ぶ訳ありません!」
「前のご主人様の時はやると喜んでくれたです。
ミルクを舐めるように美味しそうにするんだぞって教わったです。
でも、それをやっても解ってもらえなくて……
どうしたら良いか解らなくなったリルはその場から動けなくなり、前のご主人様に捕まえられたです。
首を強く締め上げられて、とても苦しかったです。
意識がなくなっていくのが解ったです。
これが死ぬってことなんだとも思ったです。
でもリルは死ななかったです!
何故か解るですか?」
「レイヴァンが助けてくれたのですね?」
「大正解です!
リルはご主人様に助けられたです!
ご主人様はリルを抱きかかえながら前のご主人様に剣を突きつけ格好良く言ったです。
俺の奴隷に手を出すなって!
その時、ようやく理解してもらえたと思ったら、リル泣けてきたです。
リルが泣いているうちに今のご主人様は前のご主人様を追い払ってくれたです。
一緒にいた人も追い払ってくれたです。
みんなを追い払ってからご主人様はリルの涙を拭い言ったです。
お前を縛るものは、もう何もない。
これからは自由に生きて行けって。
だからリルご主人様の奴隷を続けているです!」
「それは違います!」
「これはリルの実話ですよ?」
「違います。 そういう意味では無いのです」
感極まったマリアンは思わず彼女を抱きしめていた。




