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魔天創記 (四)  作者: ちゃすけ丸
第2章
15/156

~ 14 ~

 花を生けた後、三人は二階の部屋へと案内された。



 扉を前にして主婦は一瞬躊躇いを見せる。



「あまり驚かないでくれると嬉しいわ」



 そしてノブに手をかけながら小さく呟いた。



 三人は彼女が呟いた言葉の意味が解らなかったが、扉の奥へと足を進めるとすぐに理解した。



 日の差し込む暖かな部屋。



 ベッドの上で眠る彼女の息子ランスターが異様な状態であることが一目で解った。



「あなたの息子っていったい何歳なのよ?」



「どう見てもお爺ちゃんです」



「一ヶ月間眠り続けていると伺ったのですが……」



 驚きのあまり言葉を失っていた三人だったが、我に返ると各々口を開く。



 主婦は憂いに満ちた表情を見せ、フィーネたちに向かって頷いた。



「間違いなくこの子は私の息子。 今年で二十二歳になるランスターよ」



「これで二十代……」



 フィーネは未だに信じられず眠る彼の手を取った。



 皮膚は垂れ、刻まれた皺は老いた証。



 とても自分と同じ年代とは思えない。



「いつから?」



 鋭い視線で主婦を睨むと彼女はすぐに答えを返す。



「いつからと言うわけではないのですが、日に日に老いてこの様に」



「食事ができないから痩せたのでしょうか?」



「老いるのと痩せるのは全くの別物でしょう」



「このままだと、ご主人様もお爺ちゃんになっちゃうです!」

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