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人を外見で判断してはならないと解っているのに、実際に目の当たりにするとこれほど違う感情が沸き上がるものなのか。
たしかに口調や言葉に違いはある。
しかし、どちらも仲間のためだと言っていることに違いはない。
主婦は戸惑いながら二人を交互に見て、ようやく他の違いに気がついた。
そしてそれが自分が知らず知らず気に留めていた何よりの相違点だと納得する。
艶やかな女性の瞳に映るのは絶対的な自信。
自分は決して嘘を付いていないという力強い眼差し。
しかし勘ぐれば嘘を貫き通す自信にも思える。
対して修道女の彼女には自信も力強さもない。
代わりにあるのは、自ずと信じたくなるような不思議な瞳だ。
澄んだ眼差しに惹きつけられ、全幅の信頼を寄せても間違いがないと感じる。
主婦は今にも膝を着き、すがろうとする修道女に向かって小さく頷いていた。
「こんなにたくさんの花を持ってきてくれるあなたたちですもの、悪い人ではなさそうね。 万が一病が移ってしまっては申し訳ないから、少しの間だけならどうぞ入って」
主婦の返事にマリアンは溢れんばかりの笑顔で感謝の言葉を述べた。
「そんなに気にしないで良いのよ。 それよりも持ってきてくれた花を生けるのを手伝ってくれるかしら?」
「もちろんです、小母様」




