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出立


マルティナの言葉に驚くディズレイリ。


「見ず知らずの男に可愛い妹を預けようとするなど普通はせんぞ。」


「聞きましたがあなたはとてもお強いはずです。それにあなたならアイリーンをただ守るだけでなくしっかりと教育して頂けそうですし、私、人を見る目には自信あるんですよ。ですから是非御迷惑でなければ。」


相変わらずの笑顔で自信満々に言ってのけるマルティナ。


「理由としては弱いと思うがのう。言っておくが儂が向かう先々は生半可な強さと覚悟ではすぐに死ね様な所じゃぞ。それでもか?」


念を押すディズレイリ。彼は基本来る者拒まず去る者追わずだ。だがどういうところに行くかは伝えねばいけないと思っている。


「大丈夫。私一応300レベル以上あるから自分くらい守れる。それに世界中を旅しようとする人は少ないからついて行きたい。」


ここでアイリーンも自分意思を伝えてくる。

ディズレイリは知らないことだが人族では300レベル以上がそういったことを生業にする者達では一人前とされていて400レベルで中堅、500レベルで一流、人族で最もレベルが高いものは612レベル。また基本冒険者たちは一度拠点の街を決めたら依頼以外あまり移動しない。逆に移動し続けるのは理由があって一か所に留まれないものや、酔狂な者達のみだ。


「300レベルじゃと?全然足りん。それに10人以上の敵に囲まれた場合どうするんじゃ?理論的に純粋な戦闘力のみで切り抜けようとしたら相手とのレベル差は250必要と言われておる。もちろん100レベル未満の敵に対してはその限りではないがの。それでも付いてきたいと言えるのか?」


純粋な戦闘力とはスキルや魔法に頼らない場合だ。だから実際はスキルに魔法を使えればレベル差は何とかなる時もある。


だがディズレイリが敢えて厳しく言っているのは覚悟を問うのとアイリーンを心配してのことだ。


「うん。どうしてもついて行きたい。強くなれるように努力もするからお願い!」


真っ直ぐにディズレイリの目を見つめるアイリーン。瞳の光から覚悟の強さを認めたディズレイリはついてくることを許可する。


「分かったわい、もう止めん。道中儂が鍛えてやろう。出発はいつでもよいなら明日じゃ。よいな?」


なんだかんだで面倒見のいいディズレイリに満面の笑みで頷き返すアイリーン。


「ありがとうございますディズレイリさん。妹をよろしくお願いします。」


頭を下るマルティナ。


「それとお願いがあるんですけど、王都まで護衛をお願いできませんか?5日間くらいなんですけれど。アイリーンに父ともう一人の妹とのお別れもさせてあげたいですし。」


そう言うマルティナにディズレイリはアイリーンは見る。


「アイリーンが決めたらよい。旅の仲間じゃしな。それに次はいつ会えるかもわからんしの。」


「じゃあ王都まで行く。お姉さま出発は明日?」


ディズレイリに仲間と言ってもらえて嬉しそうに即答するアイリーン。


「ええ、あしたの10時頃でいいでしょうか?」


マルティナの提案に頷くディズレイリ。


「儂はそろそろかえるわい。今日はごちそうさまじゃ。」


立ち上がり出口へ向かうディズレイリをあとを追ったアイリーンが裾をつかんで引きとめる。


「えと、私のことはアイリって呼んで。愛称なの。だから、その、レ、レイって呼んでもいい?」


両手を胸の前で組、顔を赤く染めながら聞く。今気づいたが二人の身長差は20cmほどアイリーンは160cmということになる。

そんなアイリーンを見下ろしながら孫とはこういった感じなんじゃろうか。と思うディズレイリ。


「よいぞアイリ。これからよろしくの。」


アイリーンの頭を撫でながら言うディズレイリ。


「うん!よろしくレイ。」


くすぐったそうにするアイリーン。

扉に手をかけたところで思い出したように振りかえるディズレイリ。


「そうじゃアイリ。明日は9時頃”宿り木”という宿に来てくれんかの?」


不思議そうにしながらも頷くアイリーン。


「では明日お持ちしております。」


去って行くディズレイリにいつの間にかアイリーンの隣に来ていたマルティナが言う。

それにディズレイリは手を上げることで答え帰って行く。








翌日9時に待ち合わせたディズレイリとアイリーンはダンツの武具屋に来ていた。二人は店に入るが誰もいない。


「おいダンツおらんのか?いるなら出てこい。」


店の奥に向かって声を上げるディズレイリ。

そるとのそのそと寝不足な顔のダンツが現れた。


「うるせーなあ、誰だよったく。ってじいさんじゃねえか。隣の嬢ちゃんは相棒かい?」


「うむ、アイリーンという冒険者の先輩じゃな。」


ダンツの疑問にニヤリと笑い返すディズレイリ。


「アイリーンです。よろしく。」


「おう、よろしくんな!俺はダンツだ。にしても孫と爺さんにしか見えねえぞこりゃ。」


二人の自己紹介が終わってからディズレイリが口を開く。


「時間があまりなくての。剣はできておるか?」


「ああ、ついさっきな。最高傑作だと自負するぜ。剣は嬢ちゃんに渡しゃいいんだな?ちょっと待ってろ取ってくる。」


ダンツが店の奥に引っ込むとアイリーンがディズレイリの服を引っ張る。


「レイ、剣作ってもらってたの?」


「儂のじゃなくアイリのじゃよ。お主は剣士じゃろ?」


「そうだけどいいの?もらっても。」


「かまわん。あいつが持っていって欲しいというんじゃから。」


そんな話をしているうちにダンツが戻ってくる。

その手には全てが白銀の片手剣が握られていた。


「これがそうだ。いい経験させてもらったぜじいさん。あんたにゃ礼のしようがない。ほれ嬢ちゃんの剣だ。抜いてみな。」


剣を渡されたアイリーンはその美しさに見とれつつも剣を抜く。

同時に現れる刀身は真っ直ぐで複雑な模様が装飾されている。その美しさにアイリーンとディズレイリは言葉も失っている。

その姿を得意げに見、剣の説明をするダンツ。


「まあ見ての通り鞘も柄も刀身も全てミスリルだ。あと知り合いに頼んで状態維持と重量軽減の魔法をかけてある。属性魔法はミスリルの性質に合わないと思ったからかけてねえ。その装飾には古代から伝わる不浄を寄せ付けない呪いみたいな意味があるからミスリルに合うだろう。どうだ?気に入ってもらえたか?」


「文句のつけようがないのう。本当に貰ってよいのか?」


「気にすんな。持って行ってくれ。」


なんでもないように言うダンツ。

アイリーンは我に帰り何度か素振りをしてから鞘に戻し満足そうな顔でダンツを見る。


「とてもいい剣、ありがとうダンツさん。大切にする。」


「そう言ってもらえると嬉しいね。じいさんもうこの街を立つのか?」


アイリーンの言葉に笑顔で答えるダンツ。


「そうじゃ、そろそろ時間じゃし行かねばならんの。ダンツよ縁があればまた会おうぞ。」


「ああ、珍しい素材でも持ってきてくれると嬉しいぜ。」


別れの言葉を交わし出て行くディズレイリについて店を出る前に一礼していくアイリーン。

そんな二人を見送り徹夜したダンツは店を閉めて休みに行く。











街の門の前に二人が着くとすでに馬車があり出発の準備が整っていた。二人は護衛に招かれるまま馬車の中に乗り込んでいく。

そこにはマルティナだけがおりアイリーンの腰の剣を見て話しかけてくる。


「二人ともおはようございます。アイリちゃんの腰の剣はミスリルなのかしら?すごいものをプレゼントしてもらったのね。」


その言葉にアイリーンは照れて少し赤くなりながらも頷き姉に剣を見せる。


「へえ綺麗ねえ。それに魔法が掛かっているわ。この模様はお呪いかしら?とにかくとても腕のいい人が作ったのね。」


マルティナは剣を抜き熱心に見ている。


「そろったのであればそろそろ王都へ向かってはどうかの。」


ディズレイリの言葉に剣をアイリーンに返してそうねと頷く。

御者に声をかけてディズレイリとアイリーンを見る。


「では王都に向かいましょうか。ディズレイリさんは道中護衛をよろしくお願いしますね。」


そう明るい声でいい馬車はアズールの街を出て王都に向かう。

書いててぐわーてなりました。


頑張ります

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