7th Day:僕と彼女のちょっと長い1日 そのに
葵とよく来るアーケード。今日は少し前に臨時でバイトしたメイド喫茶『LUCIFER』に来てる。
「ちょっと待てーーー!!!」
葵は嫌がりながらも香織さんに無理矢理『LUCIFER』に連れ込まれている。さすが香織さん♪
「夏澄も早くおいで。」
「はーい。」
香織さんと葵の後ろを着いていって『LUCIFER』に入る。赤やピンクでファンシーに飾り付けられている店内にはこないだバイトした時よりも沢山のメイドさんがいた。こないだは全員腹痛だったっけ?よく覚えてないや♪
「店長〜!ウチのNo.1が来ましたよ!」
「誰がNo.1ですか、誰が!」
香織さんの発言にすかさず突っ込む葵………う〜ん、絶妙のタイミングだね♪
「お〜!やっと来たか葵!!」
奥からスーツを着たスリムな女の人が現れた。この人が店長の桐子さん。綺麗な顔立ちに青縁の眼鏡をかけていて、長い黒髪をポニーテールにしている。スーツが似合うなぁ………メイド喫茶にスーツはどうかと思うけど。
「いや、来たっていうか、騙されたというか………とにかく帰っていいですか?」
「逃がすか!!!」
「痛い!桐子さん、痛いですって!肩ミシミシいってますよ!!?」
桐子さんは逃げようとする葵の肩を掴んでいる。
「それじゃあ、さっそく着替えてくれ!」
「えっと、だから………
「てい♪」
突然葵が崩れ落ちた。桐子さん凄い!手刀で葵を気絶させるなんて………
「さあ、今の内に着替えさせるわよ!」
「店長〜この服で良いですか?」
「オッケー♪あ、夏澄も着替えさせるの手伝って〜。」
「はぁ〜い♪」
ふふふっ♪今日も楽しくなりそう♪
†††††††††††††††
俺は赤やピンクで無駄にファンシーな部屋で目を覚ました。ここどこだ?
「あ、葵起きた?」
夏澄が気付いて近づいてきた。そっか、夏澄と出掛けてたんだっけ………そんでもって『LUCIFER』に行って………あれ、なんで俺寝てんの?
「目を覚ましたか。」
「葵ちゃんおはよー♪」
部屋には桐子さんと香織さんもいた。
「俺なんで寝てたんですか?」
「いや、まぁ、なんというか……つ、疲れとかが溜まってたんじゃない?」
なんだ、動揺したぞ?まぁいいか。俺はスースーする脚を気にしながら起きあがる。………ん?なんで脚がスースーするんだ?………まさか!!!よく見るとそこは更衣室。更衣室までファンシーにしなくてもいいんじゃ………って今はそんな場合じゃない!そばにあった鏡で自分の姿を見る。
「あんたら………何してくれてんだ!!!」
そこに写ったのはフリフリのエプロンドレス、頭にはカチューシャ、そして銀髪のツインテール。それはまごうことなきメイド。悲しくなるくらい似合っていた。………ちくしょー(泣)!!!
「葵ちゃん、可愛い♪」
「さすがウチのNo.1だ!」
うるせー!!!嬉しくねぇよ!!!
「よっしゃあ、開店だ〜!!!」
「お〜!!!」×2
ちょっと待って〜〜〜(泣)!!!
開店から一時間――…。店内はポツポツと客が入り始め、だんだんと忙しくなってきた。何で夏澄や香織さんよりも俺の方が指名が多いんだ………確かにこのカッコは抜群に似合ってたけど………あ〜悲しくなってきた。
「葵ちゃ〜ん!そっちの席からご指名だよ♪」
「………」
「返事は?」
「……はぁ〜い。」
怖いです香織さん………。香織さんが怖いから行くか………。新しく客が来たテーブルに行くと、金髪の男がいた。なかなか美形だな………タメぐらいかな?なんかホストっぽい。こんなやつもメイド喫茶に来るのか………人は見掛けじゃ分かんないな。
「お帰りなさいませ御主人様♪御注文はお決まりでしょうか?」
あ〜………泣きてぇ。なんで俺こんなことしてんだ………
「………」
あれ?黙ったまんまこっち見てる………なんだ?
「御主人様?」
「…も……」
………も?
「萌えぇぇぇえぇ!!!」
なにぃぃいぃ!?なんだこいつは!!!うわっ、抱きつくな!!!
「蒼眼に銀髪に童顔………素晴らしい!」
ころやろう、人が気にしてる事を………
「離れろテメェ!!!」
そいつの顔面に右ストレートを叩き込む。あ〜すっきりした………って、しまった!!!
「ご、ごめん!大丈夫!?」
抱きつかれたからとはいえ、反射的に右ストレートはまずかったな………コレで店の評判が落ちたら俺が桐子さんに殺されてしまう!!!
「……ツ…」
………ツ?
「ツンデレメイド萌え………ぐはっ!?」
もう一発叩き込んでやった。
「また来るからね〜♪」
「お待ちしてます………」
バイバイと手を振りながら金髪が遠ざかっていく。仕事上仕方なく俺も手を振り返す。…………何だったんだあの金髪は。
「コアなファンが出来て良かったな!」
うんうんと頷きながら言う桐子さん。………良くねーよ。
「そろそろ休憩していいよ。昼飯はカレー用意してあるから。」
「分かりました。」
頷いて奥へと足を運ぶ。ふ〜、やっと休憩か………
「あ、葵ちゃん!」
「葵おつかれ〜♪」
奥の部屋では夏澄と香織さんが休憩を取っていた。
「ああ………」
全くだ。ただでさえ指名が多いのにあの金髪の相手までして………疲れた………。椅子に座って机に置かれているカレーを口に運ぶ。うん、うまい。
「いや〜流石だね葵ちゃん♪」
「何がですか。」
まったく!何で俺がこんなに指名されなきゃならんのだ!
「生徒会での活躍も期待してるよ♪」
これ以上俺に何させる気ですか香織さん………。
「佑李にも伝えとかなきゃ!」
何を!?何を伝えるんですか!!?生徒会ぐるみで何やらせる気だ………ん?
「何やってんだ夏澄?」
「何でもないよ〜♪」
何やらケータイをいじりながらにっこりしている………ちょっと可愛い………じゃない!何やってんだろ?
「何だよ、気になるだろ。」
ひょいと夏澄の携帯を覗き込む。画面に写っていたのは蒼眼で銀髪ツインテールのエプロンドレスの女の子……………俺!!?
「よし、待ち受けに設定完了♪」
何やってんだーーー!!?いつ撮ったの!?てか、待ち受け!?
「あ!可愛い〜♪後で私にも送って!」
「分かりました〜♪」
「生徒会のみんなにも送ってあげよ。ふふふっ♪」
やめて!それ以上広げないで!
「夏澄………お前その写真、学校で皆に見せる気だろ。」
それだけはやめてほしい……
「え〜そんな事しないよ。面倒くさいもん。」
「それならいいけど………」
「安心して!あの写真はロックかけて大切に保存するから♪」
にっこり微笑む夏澄。出来れば消去してほしいが………まあ、広まらないならいいや。
「さあ、休憩終わり!働くよ〜。」
「は〜い!」
香織さんと夏澄はそう言って部屋を出ていく。
「はぁ………」
あと半日頑張りますか………出来れば頑張りたくないが。
どうも!最近雨続きで元気が出ないぺたです。雨が降るとどうもテンションが………はい、どうでもいいですね。
今回は前回からの続きです。もういっかい続きます。今回は特に言うことはないです、はい。
なので内容とは関係ない事を。この小説のアクセス数が2000越えました!やったね♪しかも、コメディーのランキングで20位を切りました。これも読んでくださる皆様のおかげです!ありがとうございますm(_ _)m これからも頑張っていきますよ!出来るなら応援お願いします。
評価・感想をいただければ幸いですm(_ _)m
【2007/05/07】