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5th Day:選挙は公平に行うべきです。




♪〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜


校内に鳴り響くチャイムが授業の終りを告げる。


「よっしゃ!授業終わり!また明日!」


高らかに宣言する山口先生。山口先生の担当は現代社会。この人に社会の仕組みについて教えられるとは………てか『よっしゃ!』って言うなよ、教師。


「あ〜終わった……」

「お前は寝てただろ。」


隣で天斗が言う。


「うるせえな。いいじゃんか!」

「ああ、いいぞ。殴られるのはお前だからな。」

「う………!」


山口先生の授業は居眠りするやつが少ない。なぜなら、寝ていると容赦なく拳が飛ぶからな。いいのか、教師として………?


「葵、帰ろ〜♪」


夏澄が前の席から振り向きながら言う。


「部活はいいのか?」

「うん、今日は休みなの。」


合気道部が休みか………珍しいな。


「香織さんが生徒会の会議でいないから休みなの。」


なるほど。そういえば今日は生徒会の会議があるって山口先生が朝から言ってたな、珍しく。ちなみに香織さんというのは合気道部の主将で、フルネームは宮野香織(みやのかおり)さん。ショートカットの黒髪でボーイッシュな美人である。合気道はもはや達人レベルでめちゃくちゃ強い。


「じゃあ帰るか。」

「うん♪」

「それじゃあな、天斗。」

「バイバイ!」

「おう、またな。」


さて、帰ろ………


『全校生徒に連絡でーす!今から生徒会役員の選考会を開いちゃいます!生徒会に入りたい人は体育館に集まってね☆』


席を立った俺の耳にスピーカー越しの明るい声が聞こえた。この声は間違いなく香織さんだ………う〜ん、軽いな。そんなノリでいいのか生徒会!?てか、普通は選挙でしょ!


『あ、ちなみに2‐Dの柚木葵くんは参加決定です!逃げないように♪』


なにぃ!?なんで?なんで俺だけ強制参加なんですか、香織さん!?


『それじゃ、待ってるよ!みんな来てね〜☆』


あぁ………『待ってるよ!』は明らかに俺宛てのメッセージだな………


「と、いうわけだから行くわよ葵ちゃん!」

「香織さん!?」


いつの間に……!てか、今放送してたよね!?


「さあ、レッツゴー☆」


香織さんが俺の手首をぐいぐい引っ張る。てか、香織さん力強すぎ!痛いデス!!!


「ちょ、お前ら助け………」

「じゃあ、また明日ね♪」

「じゃあな葵。」


夏澄と天斗はにこやかに手を振っている。帰る気満々か!薄情者(泣)!!!


「た、助けろーーー!!!」


叫びも虚しく俺は香織さんに引きずられながら体育館へと向かった。







校舎の隣にある、たいして広いわけでもない我が校の体育館は生徒会役員選考という名目のもとにかなりの生徒が集まり、ザワザワと騒がしかった。香織さんは未だに俺の手を引きながら人混みを掻き分けていく。………いつまで引っ張るんですか香織さん。


「佑李!」


香織さんはステージの近くにいた人物に話しかけた。


「ん?香織か。」


話しかけられた人物は振り向いた。肩にかかる程度の黒髪に、整った顔立ち。着物がよく似合いそうな和風の美人だ。


「柚木も来たか。」

「まあ、一応………」


この和風美人はこの学園の生徒会長である獅堂佑李(しどうゆうり)さん。家は剣術の道場らしく、佑李さんも達人レベルだ。……来たっていうか、無理やり連れてこられたんですけどね………。


「よし、始めるか!」


そう言うと佑李さんはステージの上に上がった。


「今から生徒会役員選考会を開会する。」


佑李さんがそう宣言すると生徒会役員の皆さんは、なにらやプリントを配り始めた。………なんだ?俺はそのプリントを眺める。







――――――――――――


‐生徒会役員志願書☆‐


以下の項目をちゃんと記入してネ!※ちゃんと記入しないと失格になっちゃうよ♪


・なまえ

・クラス

・住所

・趣味

・特技

・ひとこと


記入したら近くの生徒会役員に渡してね♪


――――――――――――







…………これ書いたの絶対香織さんだよ。てか住所必要!?ちゃんと個人情報守ってくれるんですか!!?俺は回ってきたペンを走らせ、必要事項を記入した。


「葵ちゃん書いた?」

「うわっ!?」


突然、香織さんが後ろから覗き込む。


「あ、はい。」


俺は志願書を香織さんに手渡した。


「佑李〜!判子貸して。」

「わかった。」


そう言うと佑李さんはステージの上から印鑑を投げた。………物凄い速度で。


「ありがと。」


香織さんはそれを無造作に、しかもノールックでキャッチした。………う〜ん、生徒会ってのは達人の集まりなのか?


「ほい、採用っと♪」

「はい!?」


いいの!?そんな適当でいいの!!?今、文章に目を通してすらないですけど!?


「香織さん?」

「なぁに?」

「その……いいんですか?そんなんで。」

「いいのいいの!葵ちゃんが生徒会に入るのは映画の時から決定事項なんだから♪」


にっこりと微笑む香織さん。なるほどね〜既にあの時から決まってたわけね(でぃあ まい はいすくーる!参照)。あはははは…………あ〜、涙でてきた。


「それじゃ、審査して来るからね!ばいばい♪」


俺は確実に選ばれるんだろうな………印鑑押してたし。てか、俺を生徒会に入れて何をさせるつもりなんだろうか………


「葵くん!」

「ん?」


物思いに耽っていると、隣から声をかけられた。


「朱鳥!」


振り向くと隣には朱鳥がいた。朱鳥も来てたのか………


「なんでこんなとこにいるんだ?」

「私ね、生徒会に入りたいの。」


すっごくいい笑顔で言う朱鳥………なるほど。ってか考えてみればあたりまえだな。ここ、生徒会役員選考会会場だし。


「葵くんも生徒会に入りたいの?」

「ま、まあ………」


無理矢理連れて来られたんだけどね………その笑顔を見たら別に入りたくない、なんて言えないっての………


「二人とも入れると良いね♪」

「そうだね………」


あぁ、笑顔が眩しい………。







それから30分程して――…


「お待たせ〜!」


マイクを持ってステージに上がる香織さん。やっぱり軽いなぁ………。


「採用者を発表しま〜す。採用はこの人達!」


ステージにはスクリーンとプロジェクターが用意されていた。……いつの間に!みんな名前が映し出されたスクリーンを真剣に見つめる。


「あった!」

「あった………」


やっぱり選ばれてる。あはは………俺になにさせるつもりなんですか生徒会のみなさん………?隣では朱鳥が喜んでいる。朱鳥も採用か………


「良かったね!葵くん!」

「うん…………」


朱鳥は相変わらず眩しい笑顔………そんなに嬉しいのか?


「何で俺が選ばれてねえんだよ!!」


突然、誰かが叫んだ。叫んだのは不良っぽい男子生徒。あ〜いるよね〜こういうやつ。


「理由を聞きたいか?」


男子生徒を見つめながら佑李さんが言った。


「言ってみろよ!」

「わかった。まず、窃盗・万引き等の前科27犯。次に校内での喫煙15回。さらには登下校中のポイ捨て182回。最後にお前の志願書は字が汚くて読めん。そんな貴様を生徒会に入れるわけにはいかない。出直して来い!」


うわぁ………。どうやって調べたの?怖っ!てか、何でこの人は生徒会に入ろうと思ったんだ。


「ち、ちくしょーーー!いいじゃないか字が汚くたって(泣)!」


そう言って男子生徒は走り去って行った。………字が汚いこと気にしてたんだ………


「他に、不満のあるやつはいるか?」


黙り込む会場。あの後じゃ誰も不満なんて言えないって。


「それでは解散だ。生徒会役員になった者は来週の放課後に集まるように。以上、解散!」


会長の声と共に生徒会役員選考会は閉会した。


「会長、かっこいいね。」

朱鳥が目をキラキラさせながら言う。


「まあな。」

「よくポイ捨ての回数なんてわかるよね!」


そこ!?憧れるとこそこなの!!?


「私もあんな風になりたいな。」


………やめてくれ!これ以上とんでもない人が俺の周りに増えたら身が持たねぇ!!!今でさえしんどいのに…………何で俺がこんなに疲れなきゃならないんだ(泣)!!!


こうして生徒会役員選考会は幕を閉じた。あぁ………疲れた………

どうも、学校が始まって憂鬱なぺたです。久しぶりの更新な気がします(気のせいではない)。


今回は短編からいるキャラを出しました。生徒会長、獅堂佑李と合気道部主将、宮野香織です。キャラ強いですね………。二人ともこれからたくさん出てくると思います。てか出します!


あ、そう言えばわんだふるでいずのアクセス数が1300を越えてました!ちょっとほったらかしにした間に………(ダメじゃん!)。とにかく嬉しい限りです!これからも頑張ります!


評価・感想をいただけたら幸いです。それではまた!


【2007/04/16】

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