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3rd Day:友達は選んだほうがいいよ。





学校で一番嬉しい時間、昼休み。昼飯を食ったり、友達と笑いあったりして、楽しい時間を過ごすはず………


『待って〜〜〜♪』×女子大多数

「嫌だーーー!!!」


柚木葵16歳、現在逃走中です。なんでこうなったかと言うと………事の発端は四限目終了後、昼休みの始まりに遡る。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







「あー疲れたー!」


四限目の授業は体育だった。種目はバレーボール。


「お前はあんまり役に立ってなかったけどな。」


天斗が言う。……うるせぇ、背が足りねえんだよ!童顔に女顔、さらに背が低いときた。体育の時間は学ランじゃないから余計に女に見られる。体育は男女別なのに……初めての体育の時は先生に、なんで女子がいるんだ。って言われたからな………


「おい。今日はまとめたままにしとくのか?」


着替えて教室に向かう途中に天斗が言った。


「えっ?……あ、忘れてた。」


俺は体育の時はいつも背中まである長い銀髪を後ろでまとめてポニーテールにしている。邪魔だからな。


「まあいいや、このままにしとこ。」


教室のドアを開けて中に入る。席に着いて弁当を広げる。いつも俺と天斗と夏澄で弁当を食っている。


「葵〜!」


いつもどうり、夏澄が弁当を抱えて近付いて来た。……いつもと違うのは夏澄の後ろに見慣れない二人の女の子がいる。ひとりは短い茶髪で元気そうな感じだ。もうひとりは肩にかかる程度の暗めの茶髪にウェーブがかかっている。こっちの子はおとなしそうだ。たしかクラスメイトのはず………


「えーと……誰だっけ?」


一ヶ月過ぎたけど名前って覚えらんないな……二人とも一年の時は違うクラスだったし。


「体育で仲良くなったの!だから一緒にお弁当食べようと思って………こっちが由美でこっちが朱鳥。」


由美と呼ばれた方、短い茶髪の元気そうな子が挨拶をする。


紺野由美(こんのゆみ)です。って一ヶ月前にも自己紹介したけどね。」


それはそうだ。覚えてなくてごめんなさい………


「えっと………雲雀朱鳥(ひばりあすか)です。よろしく……七星くんと柚木くん。」


朱鳥と呼ばれた子も挨拶をする。紺野さんに雲雀さんか………あれ?


「なんで名前知ってんの?」

「えっ………なんでって………」

「お前は馬鹿か………」


天斗が哀れむような目で見てくる。馬鹿言うな!


「私、1年の時同じクラスだったから………」

「………え?」


やべぇ………全然覚えてない。そう言われれば見たことあるような………


「あっ、委員長!?」

「うん、そうだよ。」

「やっと思い出したか……」


そうだ、1年の時のクラスの委員長だ。


「何、3人とも知り合いなの!?」


夏澄が聞いてくる。


「1年の時のクラスメイト。」


天斗が簡潔にまとめた。


「なんか、みんなして仲いいから私だけ仲間はずれみたい。」


紺野さんが言う。そう言えば紺野さんは俺と天斗の事はよく知らないよな。


「えっと、俺は………」

「あ〜いいよ。柚木葵くんと七星天斗くんでしょ?」


知ってた………なんで?


「少なくともこの学年で君らの事、知らない人はいないよ。」

「なんで?」


そう言うと紺野さんはにっこり笑って言った。


「君らそんな目だつ頭してるんだもの。」


赤メッシュと銀髪………確に目立つな。しかも俺、蒼眼だし………


「3年でも有名だよ?かっこいい赤メッシュの子と可愛い銀髪の子がいるって。」


可愛い、か………そんなんで有名になっても………嬉しくない……


「それじゃ、改めてよろしく。紺野さんに雲雀さん。」

「由美でいいよ。紺野さんって堅苦しいし。」

「私も朱鳥でいいですよ。」

「わかった。俺も葵でいいよ。」

「俺も天斗でいい。」


こうして、昼食が始まった。二人とも仲良くなれそうだ。







きっかけは紺野さ………由美の一言だった。


「葵くんてさ、化粧してないの?」

「……はい?」


いきなり何を言い出すんだ。化粧なんてするわけないだろ。


「してないよ。」

「むぅ、すっぴんでこれか………」


………なんだろう。凄く嫌な予感が………


「な、なに?」

「いやぁね、ポニーテールにしてるの見てたらさ、可愛いな〜って思って………」


…………なんだ?


「化粧とかしてさ、完璧に女の子の格好させたら可愛いだろうな〜って。」

「じゃあ、させてみよっか!」


いやいやいや!夏澄のやつなに言い出してんの!?


「面白そうだね〜。」

「でしょ?」


にこにこしながら席をたつ二人………おい、なにするつもりだ!?


「ちょっとまっててね〜。」

「逃げたら許さないから♪」


どっかに行っちまった………あの二人、本当に今日仲良くなったのかよ………息、ぴったりじゃん。


「行っちゃったね。」

「ああ。葵、逃げなくて良いのか?」

「無理です……逃げたらどうなるか………」


許さないから♪って言って行きやがったしな……


「なぁ、朱鳥……」

「なに?」

「あの二人止めて……」

「う〜ん……ああなったら由美ちゃんは止まらないから。それに……」

「それに?」

「私も葵くんの女装見てみたいな♪」


さいですか……てか、すっごくいい笑顔だよ。眩し……







「「おまたせ〜!」」


5分後、二人は戻って来た。


「……………何で体操服?」


夏澄は体操服に着替えていた。


「着替えたの。」


いや、そこはわかってるって!


「葵はちっちゃいから、私の制服が丁度良いかなって♪」


…………まぢで?まぢで着替えさせる気!?ジリジリ近付いて来ないで!!!


「さあ葵くん、着替えて!」


由美が急かす。………君、今日友達になったんだよ?いきなり女装を強要されるとは………


「葵、観念なさい!」

「出来るかーーー!!!」


俺は全速力で逃げ出した。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


とまあ、そんな経緯で現在逃走中な訳だが………


『待って〜〜〜!』×女子大多数


…………あれ?人数、増えてるよね!?二人だったはずが、女子の軍勢が出来上がっている。


「くっそ〜〜!!」


俺は角を曲がった。………行き止まり!?


「ちっ!」


苦し紛れに空き教室に逃げ込んだ。


「こっちよ!」


由美の声と共に沢山の足音が近付いてくる。どうする俺!?


「葵♪」


突然呼ばれて振り返る。


「か、夏澄……なんでここに………?」

「待ち伏せ♪」


さすがは幼馴染み。終わった………いや、まだだ!諦めてたまるか!


「助けてあげてもいいよ。」


………なに?


「今度買い物に付き合ってくれたら助けてあげる。」


つまり、俺に財布になれと………


「………分かった。」

「じゃ、これにサインして!」


夏澄は紙とペンを取り出した。………用意がいいな……


「ほらよ。」


俺はサインをして渡す。


「契約成立ね♪ほら、そこのロッカーに隠れて。上手く誤魔化してあげる。」


俺は言われた通りにロッカーに身を隠した。


「あ!夏澄〜」


由美の声が聞こえる。……危ねぇ。ギリギリか………


「葵くんこっちに来なかった?」


助かったぜ。夏澄が味方してくれなければ………


「この中よ。」


………あれ?


「ここに隠れてるわ!」


あっさり裏切りやがった!!?ロッカーが開く。


「夏澄、裏切ったな………」

「ふふ、敵の言葉を簡単に信じたらだめよ。」

「さあ、葵くん諦めて着替えるのよ!」


嫌だ………!


「着替えさせるわよ!」

『おーーー♪』×女子大多数

「嫌だーーー!!!」


空き教室に俺の叫び声と女子の楽しそうな声が響いた。







その後、俺は女子の軍勢に引っ張られながら教室に戻って来た。


「葵………」

「葵くん………」


天斗と朱鳥がこっちを見ている。


「どう?天斗、朱鳥。可愛いでしょ?」

「葵くん………いや、葵ちゃんだね♪」


夏澄と由美が爆笑為ている。………ちくしょー!着替えさせるどころか、化粧までしやがった………


「葵……?」


天斗がジロジロ見てくる。笑いを堪えて………


「笑いたけりゃ笑えよ………」

「笑わないよ!」


朱鳥が真剣な顔をして言う。


「だってとっても似合ってる。葵くん可愛い♪」


それ、フォローになってねぇよ………俺の周りは敵しかいねぇ…………


「俺の日常(学ラン)を返せーーー!!!」







おまけ


5限目―…


「点呼取るぞ〜。」


名前が呼ばれていく。そして………


「柚木。」

「………はい。」

「よし次。」


あれ、スルー?そんなに違和感無いのか………(泣)

どうも、なんだか睡眠不足のぺたです。ちょっと更新が遅れてしまってすみませんm(_ _)m短編の方を書いてたら………


と、いうわけで今回は新キャラのことを………。まず、雲雀朱鳥について。朱鳥は短編の頃から考えてました。天然っぽく書けてればいいですが………

次に紺野由美について。由美は今話の構想中に考えたキャラです。なんか夏澄と被りそう………


こんな感じですがこれからもよろしくお願いします。評価・感想をいただければ幸いです。それでは。

【2007/03/16】

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