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エルのプレゼント

クリスマスにちなんだ短編のはずでしたが、やっぱり数話に分ける事にしました。

北米で人気のElf on the shelfという人形をもとにしています。

何故こうなったのだろうか?


「おや、今日はこんなお菓子を持って来てくれたのか?俺のエルは俺の好きなものをなんでも知ってるな、大好きだよ」


こんな甘い言葉を私にかけてくれるのは、王立騎士団のアダム・ガルシア副団長。先の戦争で少数部隊を率いて隣国に囚われていたこの国の王太子を救い出した英雄だ。その功績により平民出身だが国王陛下から騎士爵を賜っている。


「今日はエルに似合いそうな帽子を持ってきたよ。気が向いたら被って欲しいな?」


アダム様はその華々しい活躍とは対照的に寡黙で真面目。騎士にありがちな派手な女性関係の噂もない、燃えるような赤い髪を持つ体格の良い美丈夫だ。当然、独身女性の憧れの的で求婚者が後を絶たないらしいが、今の所婚約者が決まったという話は聞かない。


よっぽど、女性のタイプに厳しいのかと思ったがそうでもないようだ。


前に中庭のベンチでランチをとっていた時に、私の事に気が付かなかったのか、すぐ近くのベンチに座ったアダム様ともう1人の騎士様の話が聞こえた。

「俺の趣味に寛容な女性と出会いたいんだ」


「あーーあの趣味な。お前からは想像できないからな、俺はそんな悪くないと思うぞ。でも俺にはもう素敵な嫁がいるから、残念だったなアダム」


「別にお前と結婚する気はない。趣味に事を話すと、俺の姿からのギャップが凄くて、ドン引きされるんだ。変態って言われた事もある」


「まあそうだろうな。俺も初めはびっくりしたが、まあ俺はある意味慣れているし、俺もその原因の一端だからな。あそこまでハマるとは思わなかった」


「まあお前の家はな。。。。。」


丁度その時、2人を誰かが呼びに来て、2人は足早に去っていったので、ここまでしか聞けなかった。まあ盗み聞きは良くないしね。


でも今の状況はどっちかと言えば盗み聞きより悪い。


不法侵入と言われて、捕まってもしょうがない状況だ。


「エルからのプレゼントの人形だからエルって名前にしたけど、やっぱり似てるな」


そう私は人形になっていて、アダム様の寝室にある暖炉のマントルピースに座っている。


なんでこうなったのよ!!


………………………………………………………


私の名前はエル・ブラン。王立騎士団の備品管理課で受付兼事務員をしている。私の仕事は備品の申請書の受付け、数量管理、発注などだ。


備品の種類は武器から野営で必要な物と多岐にわたる。遠征ともなれば、必要な備品のリストは膨大になる。


なので遠征前には騎士団のまとめ役である副団長のアダム様とはよく顔を合わせる。


アダム様は剣では負け知らず、他の騎士様達からの人望も厚い、そして事務処理も得意とされ、最年少で次期騎士団長になるのではと言う噂もある方だ。ただ何故か備品発注の書類は苦手なようでやや間違いが多い。


初めは私が団員達の詰所にあるアダム様の執務室に出向いて、訂正をお願いしていたのだが。

「俺の間違いで何度も来てくれるのは申し訳ない、何度でも構わないから俺を呼び出してくれ」と言われたが、ただでさえ忙しいアダム様相手にそうもいかない。

話し合いの末、初めから間違いがないように一緒に在庫と照らし合わせながら申請書を作成する事になった。


もちろん提案前に上司からの許可も貰い、事務所の受付の横のデスクで申請書を作成している。

わざわざ人目につくところで場所でしているのは、仕事とは言えアダム様と2人きりで部屋に篭ると言うのは、他の女性職員からやっかみの対象になるし、アダム様に私なんかと変な噂がたつと申し訳ないからだ。


3-4ヶ月に1回の頻度だが、2年も続けているとそれなりに仕事以外の事も話せるようになって来た。


つい1週間前も年明けの遠征に向けて備品のリストを作成した所だった。


「エル嬢、いつも申し訳ないな。特にニコラウス祭の休暇前で忙しい時に」


「何度も言いますが、アダム様はお気にないでください。このリストを作っておけば、休暇後の私の仕事がグッと楽になるので、こちらも助かっているんですよ」


「休暇は明日からか?」


「ええ、実家に帰るのは明後日なんですが、まだニコラウス祭のプレゼントを買っていなくて。特に私の姪っ子に何を買うかすごく悩んでしまって。あの今流行りのエルフ人形は手に入れるのは難しそうですし」


「あの棚に置くと毎日プレゼントを持って来てくれるって奴か?王都の巡回の時に聞いたことがある」


「そうなんですよ。どういう仕組みなんですかね?たまーに現れる露店で売っているらしいのですが、不定期に現れるのでよっぽど運が良くないと買えないらしいです。だから、だから今年も今持っている人形の服とかアクセサリーを買ってあげようかと思ってます」


「あ、服で思い出した。これが頼まれていた」とアダム様はポケットからゴソゴソと小さな袋をだした。


「あーーーマダムイブのお人形服ですか?

間に合ったんですね。無理言ってすみません。今回もすごく可愛い。これが私のサイズだったらなあ。あ、おいくらですか?お姉様の試作品とは言え、材料費もかかってますし」


「いやこれはいつも書類の作成でお世話になっているのでお礼だ。あ、あとマダムイブが私の姉である事は他の人には話さないで欲しい。騎士団のみんなも1人を除いて知らないんだ」とこそっと私の耳元で言った。


あまりの素敵な声で背中がぞくっとしたが、なんとか耐えた。エル、顔に出しちゃダメよ。平常心、平常心。

「そうか、エル嬢はこういう服が好きなのか」

「そうですよ、ここだと制服なので毎日同じですが、普段はドレスですし。こういうドールスタイルの可愛い服が実は好きなんです。まあ似合うかは別ですが」

「いやエル嬢なら、きっと似合うと思うよ。小柄でお人形のように可愛らしいから」

それを聞いて私は真っ赤になってしまった。

「アダム様もお世辞は言えるんですね。そういうの苦手だと思ってました」


「そんな事はないぞ。。エル嬢、今夜。。。」

アダム様が何か言いかけた所でドアが勢いよく開いて。


「すみません、書類持って来ました!」

と言いながら、ドタドタと若い騎士が入って来た。


「はーーい、ちょっとお待ちください」

と私は立ち上がりながらいう。


「アダム様すみません。今日はもう1人の職員がお休みなので時間があまり取れません。あとは年明けで大丈夫ですので今日はここまでで宜しいでしょうか?アダム様も素敵なニコラウス祭の休暇をお過ごしくださいね」


「ああ、エル嬢も、気をつけて実家に帰るんだぞ」とアダム様は書類を片付け始める。


私は受付で待っている若い騎士の所に行く、受付とデスクの間には仕切りがあり、ちょうど死角になっている為、副団長がいることに気がついていないようだ。


「あーーエルちゃんいたんだ。明日から休暇?俺たちの休暇は1週間のニコラウス祭の直前からなんだ。最近副団長がむっちゃ厳しくてさ。息抜きしたいからお茶でも行こうよ!!」


「あ。あの」


「今日だって、副団長がいない間は騎士団の大掃除してるんだよ。つまんないから抜け出してきちゃった」


「あの。。ジムさんでしたっけ?そこら辺で」


「えーーエルちゃん、俺の名前覚えてくれたの?嬉しいな。今日は何時で終わり?」


「ジムさん。。」と言いかけた所で後ろから冷たい声が聞こえた。


「ジム、お前は随分元気が有り余っているようだな。大掃除の後の鍛錬は俺が個人的に稽古をつけてやろう」と言いながら、アダム様が仕切りに後ろから出てきた。


「ひ!!副団長」


「エル嬢、部下の無礼な言動について謝罪する。きちんと()()()()ので安心してくれ」とアダム様はジムさんを引きずって行った。


可哀想なと思ったが、ジムさんは馴れ馴れしくて、すぐに済む備品の申請でもここに長時間居座るので、ちょっと苦手だったから良かった。


「さてと、休暇前の仕事片付けますか」


ジムさんの置いて行った申請書を見ると「掃除で疲れたのでエルちゃんとお茶が飲みたい」と書いてあった。

備品でない上に、申請書ですらなかった。

「はい、却下」と私はそれをゴミ箱に捨てた。


休暇前の駆け込みの仕事があってちょっと遅くなってしまったが、騎士団の皆さんはまだ鍛錬をしているみたいだ。


私は家に帰る前にアダム様の執務室に行く事にする。途中で騎士団の詰所も覗いたが誰もいないし、アダム様の執務室は明かりがついているが、ノックをしても返事はない。


「あーーあ、結局渡せなかった」


実は私はアダム様とお姉様にニコラウス祭のプレゼントを用意していたのだ。ジムさんが来たので渡すタイミングを逃したけど。


アダム様のお姉様(マダムイブ)には本革の裁縫道具を入れるポーチ。アダム様には短剣用の本革カバー、どちらにも刻印でデザインを入れている。

私の実家は皮製品の加工をしていて、私も趣味として革細工の小物を作っている。気に入ってくれたら良いなと作ったのに、渡せないのでは意味がない。


執務室の外に置いておいたら怪しいし、無くなったらいやだな。夕ご飯を食べてから、もう一回戻ってくるか。

とりあえずカードだけ先に用意しておこう。


私はカードにいつもありがとうございます、良かったら使ってくださいと書いて袋に入れる。


さて、夕ご飯はどこで食べようかととプレゼントの袋を持って外へでた。


たまに夕ご飯で行く店はやや遠いので、この辺りでないかな?


確か同僚がこの裏道にある定食屋が安くて美味しいと言っていた。ランチに誘われた事もあるが、私はお弁当を持っていくし、姪のプレゼントの為に節約したいから行った事ないけど。


王城近くの裏路地にあった定食屋さんは美味しいし、お値段もお手頃でもっと早くくれば良かったと後悔するほどだった。


「ご馳走様でした。すごく美味しかったです」

「それは良かった、また来てくださいね」と店員さんと話していると、騎士団の皆さんがゾロゾロ入って来た。


どうやら鍛錬が終わったようだ。今から戻ればちょうどアダム様に会えるかもしれない。


外に出て。。あれどの道から来たんだっけか?王城は見えるから方向は間違ってないはずなんだけど。


ここかなと思って曲がった所は行き止まりだったが、露天が出ていた。


あ、あそこで道を聞こうと近づくと。

何かの人形を売っているようだ。


露天商のお兄さんに話しかけようとすると、私は目を見開いた。


「これって噂のエルフ人形ですか?」


お兄さんはニコッと笑いながら。


「噂なのかな?でも欲しいって人はいっぱいいるみたいだけど、僕もお客様は選びたいからね。みんななかなか僕を見つけられないみたいで」


「えーー私はすごくラッキーですね。ちょっと見させて頂いても良いですか?」


「勿論、ゆっくり見て行って」


エルフのお人形は色んな髪の色と目の色をしている。


姪っ子は姉に似て、茶色の髪とヘイゼルの目だ。姪っ子に似ているエルフがいいかなと思っていると、明るい茶色で青い目のエルフが目に入った。

私からのプレゼントだから、私に似ている方が良いわよね。


「この青い目のエルフを頂けますか?」


「おお、良い子を選んだね。勿論だよ、袋はいるかい?」


「あ、大丈夫です。あとで自分でラッピングするので」


「この人形はベットルームに置いておくと、夜中の間に何処かに行って小さなプレゼントを持って来てくれるんだ」


「それ聞きました。不思議だなと思ってたんです」


「まあそれはちょっとしたニコラウス祭の魔法だね」


仕掛けは秘密って事かな?


「でもその人形が動くにはちょっとした手順が必要なんだ。ここに説明書を入れておくけどまず人形を自分が寝ている所が見えるところに置くこと。そして名前をつける事。その後は絶対に人形に触らない事。魔法が消えてしまうからね。人形はニコラウス祭の朝にはいなくなる。最後のプレゼントは小さなプレゼントの代わりに人形のオーナーが望むものになる。だから何が欲しい物を声を出さずに毎日エルフにお願いすると良い」


「あら、触ったらダメなんですね。気をつけるように言わないと」


私は手が塞がっていたので、エルフ人形をとりあえずアダム様に渡すプレゼントの袋に入れて、支払いをした。


後で出すの忘れないようにしないと。


そして歩き出そうとして思い出した。


そうだ私は道を聞きたかったんだ。


しかし振り向いたら、そこに露天はなく、いつもの知った道に立ってた。


あれ?夢でも見たと思ったが、袋の中にエルフ人形はきちんと入っている。


立ち尽くす私の横を、また数人の騎士団員さん達が通り過ぎた。定食屋に行くんだろうか?


「あ、アダム様が帰っちゃう!」私は慌てて王城に戻った。


アダム様の執務室に行くと、ドアが半開きになっていて、中に茶色の髪の騎士服の男性がいるのが見えた。

良かった、まだ帰っていなかった。でも来客中か。


マダムイブの事は内緒って言われているし、やっぱり明日くれば良いかなと思って、帰ろうとすると急にドアが大きく開いた。

「あれ?エルさん?まだお仕事してたの?」と前にアダム様とお話をしていた騎士様が出て来た。


えっと確か名前は。。。


「マシュー様、こんばんわ。もう終わりまして、今から帰る所です。アダム様に先程、休暇前のご挨拶がちゃんとできなかったので」


「ああ、アダムなら騎士団長に所に行ってて、まだ帰って来てないんだ。俺も待ってるんだが」


「あ、そうなんですね。ではアダム様によろしくお伝えください」


「なんか渡す物があったの?」と私の荷物を見て言う。


「あ、これはアダム様のご家族にお世話になっていて。。その」


「あーーマダムイブの人形の洋服の事?大丈夫、俺はアダムから聞いてるから」


あーー良かった。マシュー様が騎士団にいるマダムイブの事を知る人だったのね。


「そうなんですね、アダム様のお姉様にお礼として、ちょっとした物を用意したのですが。明日また来ます」


「アダムは明日は早朝から仕事でここにいないと思う。その事で団長と話しているんだ。明後日はいるけど。都合が悪いなら預かっておくよ?」と私の持っていた袋に手を伸ばす。


「そうですか。私は明後日は朝から実家に帰るので、ご迷惑でなければ宜しくお願いします!マシュー様も素敵なニコラウス祭と新年をお迎えくださいね」と袋をマシュー様に渡す。


「ありがとう、エルさん。あーーアダムの奴悔しがるだろうな」


「え?」


「いえいえ、これを渡せばいいのね」


「は。。はい、では宜しくお願いします」


アダム様に会えなくて残念だったけど、プレゼントは渡して貰えるので安心して家に帰った。


家に着くと、姉から手紙が来ていた。しかも早馬で来たっぽい。


「エル、出発前にこの手紙がつくと良いんだけど。この地域で季節性の感染症が流行っていて、うちの家族は全員かかってしまったの。私はまだ大丈夫だけど時間の問題と思う。幸いみんな熱は下がったんだけど、これから2週間は免疫のない人にうつしてしまう可能性があるんですって。だから今回の帰省は見送った方がいいと思うわ。知らないうちにエルにうつったら、騎士団に病気を持ち込む事になるし、発症したら年明けに仕事に戻れなくなっちゃうでしょ。会えないのは残念だけど、元気で休暇を楽しんでね」


えーーーーーーーーーー

まさかのニコラウス祭の休暇にひとりぼっち。


でも遠征を控えている騎士団に病気を持ち込む事はできないし、年明けにはアダム様と備品発注の仕事もある。休むわけにいかない。


せめて姪っ子にはニコラウス祭前にエルフ人形とマダムイブの人形用の服を送ってあげないと。


「あーーーーエルフ人形!アダム様に渡しちゃった!!!」


もうこんな時間じゃ帰ってるだろうし。


大失敗。


明日の朝早くに行けば、アダム様が出発する前に会えるかしら。


とりあえず今日は早めに寝よう!!


そう思って早めにベットに入った。


…………………………………………………………


ベットから抜け出て誰かの家に飛んでいく夢をみた。


そして気がついたら見知らぬ部屋にいる。


まだ夢でもみてるのかな?


うーーん、ここどこ?


私の部屋ではないし、なんか全てが大きく見える。


そして体が動かない。


あれ手も足も動かない。声も出ない。


私は焦る。何が起こってるの?


目の前のベットで誰かが寝ているのが見える。そして枕の上に赤い髪が見える。。。


赤???


ま。。まさか。


赤い髪の男性がむくっと起き上がり、私に近づいて来た。


「エル、おはよう!」




せめて3話で終わらせたい思ったら、この1話だけで6000文字。読みにくかったら申し訳ないです。

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