少女と村のルール
僕は少女に名前を尋ねた。
「わたしは、柚月。そして、この村のルールを説明するわ。女性を敬うこと、女性が困っていたら手を差し伸べること、ボディータッチはもってのほかよ」
「なるほど、それで他に何か重要なルールはあるのか?」
裕一先輩が真剣な表情で尋ねた。
柚月は少し考え込んでから続けた。
「それと、村の中で男性が勝手に行動したり、女性の指示に逆らうことは禁止されているわ。私たちの村では、女性が生活の中心なんだから」
「わかった、気をつけるよ」
と僕は答えたが、内心では不安が募っていた。大輔先輩も同じように不安な表情をしていたが、何も言わなかった。
「それでは、村の中を案内するわ。ついてきて」
柚月が先頭に立って歩き始めた。
村の中は静かで平和そうだったが、男性が少ないことに改めて気づかされた。女性たちは皆、柚月に敬意を払っているようで、彼女が通ると軽く頭を下げたり、挨拶をしていた。
「ここがあなたたちの滞在する場所よ」
と、柚月は古びたけれども清潔感のある木造の建物を指差した。
「食事はここで用意されるから、食堂に行く必要はないわ。外出する時は必ず私に知らせてちょうだい」
「ありがとう、柚月さん」
と僕は礼を言った。
「それじゃ、また後でね」
と柚月は微笑んで去って行った。
部屋に入ると、裕一先輩が深いため息をついた。
「この村、ちょっと変わってるな。でも、他に行く場所もないし、ここでしばらく様子を見るしかないか」
大輔先輩は窓の外を見ながら言った。
「そうだな。でも、何か妙な感じがする。油断は禁物だ」
僕たちは、この見知らぬ村での生活がどうなるのか、不安と期待が入り混じった気持ちで、その夜を過ごした。