山間部の村へ避難
僕と裕一先輩と大輔先輩は山間部の村を目指していた。
「俺たちもしかして、女性に狙われてたりして…」
裕一先輩が言う。
「さすがにそれはないだろう」
と、大輔先輩が苦笑いを浮かべる。
「でも、こんな状況じゃ何が起きてもおかしくないな。」
僕たちは急いで村への道を進んでいた。パンデミックが始まってからというもの、都市は混乱に包まれ、男性はどこに行っても不安に晒される状況だった。村の噂は、そこがまだ安全であるということだった。情報が確かであるかどうかは分からないが、希望を頼りに歩き続けるしかなかった。
「もう少しで村に着くはずだ」
と、地図を見ながら僕は言った。
「ここが最後の曲がり角だ。」
村に近づくにつれて、僕たちは耳を澄ました。静かな風の音だけが聞こえる。村は一見、平穏そのものだった。しかし、平和の裏には何か異様な緊張感が漂っているように感じた。
「気をつけて。何かがおかしい」
と、大輔先輩が低い声で警告した。
村の入り口に立つと、一人の女性が現れた。彼女は鋭い目つきで僕たちを見つめていた。
「ここへ何しに来たの?」
と、彼女は問いかける。
「安全な場所を探しているんです」
と、僕は正直に答えた。
「ここがまだ感染が広がっていないと聞いて…」
彼女はしばらく黙って考えているようだったが、やがて小さく頷いた。
「分かった。でも、ここではルールを守らなければならない。いいわね?」
「もちろんです」
と、僕たちは同時に答えた。
村に入ると、そこには他にも数人の女性が集まっていた。彼女たちは厳しい表情で僕たちを見ていたが、敵意は感じられなかった。むしろ、彼女たちもまた、何かに怯えているように見えた。
「まずは宿を用意するわ」
と、先ほどの女性が言った。
「それから、この村のルールを教える。そのルールを破らなければ、ここで安全に過ごせるはずよ。」
僕たちは互いにうなずき、彼女の後についていくことにした。村の中で何が待ち受けているのか、そしてこのウィルスの恐怖から逃れる方法が見つかるのか、それはまだ誰にも分からなかった。