生きなくては
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
ちゃんとしなくては。
運命に流されるままに生きるのが私の信条である。そこに私の感情が入る余地はない。入れた分だけ、苦しくなる事が分かりきって居るから。それでもその運命が少しでもマシになるくらいの事は、やろうと思う。
目を失いながらも社を訪れる事、早数週間、梅香の君は両手で私の頬を包んで撫で回される。何時もよりも少しだけご機嫌が麗しいのは、心当たりがある。
「資格の勉強を……始めたのです。この間は落ちてしまったので、次こそは」
「うん。知ってるよ」
梅香の君に限った話ではないが、基本的に何かを頑張る子をご覧になるのが好き。だからその為の縁結びや助言は決して手抜かりがない。今回も、縁を結んで戴いた。今度こそ、合格を。
「変わったね。少しづつだけど、良い方向に」
そう仰られてもイマイチピンと来ない。私の上位互換なんてごろごろ居る。仕事が出来る人も、話が上手い人も、気遣いが出来る人も。そんな人に比べれば、私は遠く及ばない。及ばないから、何があっても良いようにしないと。
「昔はもっと手を抜いていたでしょう? 嫌な事から全力で逃げてた」
「今もそうですよ」
「話は最後まで聞きなさい。確かに完璧とはいかないけれど、間違いを減らす様に努力したり、克服したり、資格の勉強したり、前までは考えられないくらいには頑張っているよ」
前にいた場所から異動して、心機一転、次こそは少しでも長く居られる様にと願う毎日である。なんせ周りにいる方々は皆何でも出来て、私には出来なくて、それ故に不安になることも多い。だからこそ、資格をとらないと。何時、誰から見捨てられても、生きなくては……。
「一人で生きていきたいの?」
「そうではなくて……」
「だったらもう少し信用しなさい。自分を、周りを。生まれ着いてのものだから、難しいかも知れないから、少しづつで良い」
そう、物凄く的確な助言をなさって、するりと手をお離しになる。私は……一人で生きていたいのだろうか。
基本的に誰かや、何かに依存して生きてます。
だからこそ、失われた時の時分が怖くてたまりません。
そうなったときの様に、準備をしておく事にしました。
予期不安の理由の一つに、誰も、何も信用出来ないのがあると思うんです。
信用していたら、信頼していたら、心配なんかしないんで。
この子が頑張る理由は、クビを宣告されても生きていける様に、誰かから愛想尽かされても一人で生きていける様に。ただそれだけです。
頑張るのはいいことだけど、誰も信用しないで頼らないのは良くないよ。という話でした。