Sheet4:幕間
一見さん来店の翌日。
育美さんがやって来た。
チーム『エクセレンター』の常識&サブカル担当。
例によって開店直後、川口と同伴(偽)である。
「落ち着きは持ち合わせてないけど、常識を携えてきました」
川口がアキラに言うが、もちろん育美にはワケが分からない。
「グッさん、店主の俺が言うのも何だけど…暇なの?」
「いやあ、今日はカミさんカルチャーでウチに居ないし…」
「カルチャーって何されてるんですか?」
育美が尋ねる。
「えぇっと、今日はフラワーアレンジメントだったかな?」
「"今日は"って他にも何か?」
「あとヨガ教室とか週末のスイミングとか…」
「いいなぁ…私も何かやろうかな」
育美がポツリとつぶやく。
「オタ活してるじゃん」
カルーアミルクを出しながらアキラが言う。
最近はエルも布教されて独りでサブスクのアニメ鑑賞してたりする。
「それはそれなんですけど、何かこう気品があるというか大人な感じというか…例えば茶道みたいな」
「おっ、いいねぇ茶道。ザ・花嫁修業って感じ」
ザ・昭和のオヤジ的な川口の発言。
アキラもツッコミつつ、
「花嫁修業じゃないけど、俺もちょっと興味ある。ほら最近やたら外国人観光客増えて来たじゃん。ちょっとかじってるとウケ良さそうでしょ?」
「じゃあ一緒に習ってみない?三人で」
育美が言う。
「アキラさんはともかく俺はパスだなぁ」
と、川口。
「何言ってんの、三人っつたら育美さんと俺とエルに決まってんじゃん」
アキラが呆れながら続ける。
「エルはどうする?」
「"サドウ"が何なのか分からないけど、二人がやるならやる!」
「茶道を扱った漫画やアニメもあるから、オススメ後でLINEしますね」
育美の布教。
「よし、決まり!エクセレンターの課外活動。我ら最強のトライアングルで挑みますぜ」
「グッさん、何だったら活動費の援助してくれてもいいよ。仲間外れになりたくないっしょ」
アキラのイジり。
「はは、アキラさんのそういう"サドゥ"っぽいとこ、嫌いじゃないぜ」
「…」
「あー、今のはサドと茶道を…」
「分かっててスルーしてます」
みなまで言わさずのアキラ。
「ボケもツッコミも抹茶(待った)なしですね…茶道だけに…」
育美さんが参戦。
「お見事!」「恐れ入りました!」
同時に口にするアキラと川口。
この世界はどこまで奥深いのだろう…色んな意味で。
あらためて感慨に浸るエルだった。




