表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

揉み療治 繁六

作者: 驟雨歩夢

『理学療法士の父』と呼ばれた男の物語。江戸っ子の心身を癒した。


1 戀と渡世


「繁六。てめえは、いけてる男のくせに、何で女をつくらねぇんだ。金山で働く女はみんな抱かれたがってるってのに……」

 平賀源内が、煙管を煙草盆に打ち、灰を落とした。酔いが回ると「早く嬶をもらえ。てめぇは、その方がいい仕事ができる」と、しつこい。 

 耳に蛸ができた。三十歳を過ぎてはいるが、匠の技を得るまでは女を断つと、お天道様に誓った。

 先生をギャフンと言わせなくては、腹の虫がおさまらねえ。口を尖らせて言った。

「先生こそ、厄年だってのに独り身じゃないですか」

 が、あっさり返り討ち。まなじりを吊り上げたのち微笑み、

「わしは本草学を修めた 学者じゃ。動植物、鉱物、男に女、陰間に遊女……いずれもが妻であり、女房、妾。わ、わしにも考えがある。覚悟せいっ」

 江戸市中からおよそ二十里、武蔵国秩父郡中津川村。明和五年(一七六七)、源内は金山開発の指揮に当たっていた。       

 一年間の金の採掘状況を、老中、田沼意次公に報告すべく参上した帰途、源内は内藤新宿で肩の痛みに苦しみ、《揉み療治 快風堂》を訪れた。昨年、桜ふぶきに振られるころである。

「病名は分かっておる。しかと、もみ療治を頼む」

 患者の大柄な態度に、繁六はムッとした。唇をヘの字に結び、

「横になられよ。痛みだしてからの様子はいかがでしたか」

と問診から始めた。繁六の渡世は、もみ療治。江戸期、按摩はこうも呼ばれ、庶民に親しまれていた。彼は、より高度な療治の腕を会得しようと、骨、筋肉 神経など、研究に余念がなかった。

 客は、身づくろいも上々、髷、月代も調い、聡明な面構えである。

「わしは平賀と申すが……」

 声音が耳に触れた瞬間、繁六は寿命が十年縮んだ。

 すぐに無礼を詫び、平賀先生こそ、この世で最も尊敬する人物である旨、吐露した。 源内も、技量の向上を図らんと精をだす繁六の積極的な生き方に感服した。

「金山で働く者どもの体を、揉み癒してはくださらぬか」申し出を、繁六は二つ返事で引き受けた。

 以後、鉱夫長屋の隅に小さな揉み処を構え、働く男女鉱夫の身体の懲り、痛み、怪我などの療治に努め、一年が経つ。入り口には、源内のしたためた『揉み療治 繁六』の暖簾が風に揺らぐ。

 繁六は、賢い男である。発明家としての源内の協力を得て、身体障害の矯正、補強のための器具や装置を制作した。松葉杖の改良、歩行器、脚、腿、体幹の、筋力増強カラクリ籠など。今日の理学療法士の先駆けのようである。

 先日、繁六は源内居に招かれ、言葉を頂戴した。

「今夜、三人の女と陰間がひとり、てめぇに夜這いをかける。心底愛している者たちからわしが選んだ。順番は言わぬ。?色?を行ない、明朝、いずれが心地よく、肌が馴染んだかを伝えよ。これも生きてゆく上での渡世。晩には祝言じゃ」

 まさに青天の霹靂、言葉が出ない。眩暈がしてきた。しかし、お世話になりっぱなしの源内先生には逆らえない。真っ暗闇のなか、言葉を交わすのもご法度という条件付きだ。

 夜這い人が一人ずつ現れ、自己紹介を始めた。繁六は、耳の穴かっぽじって聴いた。

 まず二十二歳の寡婦、鈴音。四歳男の子連れ。「佐渡の金山で、亭主を事故で亡くしました。淋しがり屋。繁六先生なら草太を可愛がってくれると思って」小柄だが目鼻だちのはっきりした美人。質素な作業着の胸もとからも乳房の美しさが目に浮かぶ。繁六は唾を飲んだ。

 つづいて、歌舞伎役者風の装いで目立つ陰間、二十一歳。「鉱夫長屋に?おかま?は多いけれど、アチキが一番のお尻美人。名は幸比古、よろしく」

 次は、夫婦で金を採掘する両親と同居する、童顔のお糸ちゃん。「足をくじいた時はご面倒をおかけしました。あの時の優しい療治に?ほの字?になったの」繁六の心にも十九の糸はひっかかっていた。   

最後は、白髪のお菊婆さん、五十歳。「鉱夫長屋の荒くれ独り身男たちの飯の面倒見てます。わての関西風の味つけは天下一でっせ」――。

 源内が言った。「渡世は遊び心があってこそ輝く。薬草探しも、浄瑠璃創作も、ご政道に至っても然りじゃ。深夜の交わり四番勝負、心して愉しめ」

繁六は、女郎と遊んだことはあるものの、素人の女の扱いには慣れていない。くらくらと、髷の先から足のつま先まで、緊張と興奮、羞恥の金縛り。途中「アチキ、気持いい」と艶のある声が、低く漂い、「失格ぅ〜」と審判、源内の声が轟いた。

翌朝、両神山が見下ろす縁側で、関係者を前に、繁六は気に入った相手を口にできなかった。

「申し訳ござんせん。誰が誰だか分からんし。おいらには選べねぇ」凍えた声を、源内の怒声が遮った。

「清水の舞台から飛び下りる覚悟で言ってみろ」

繁六は唇を噛み、涙ながらに消えそうな声で「はい、はい……二番目と思います」

「まあ、うれしいっ」お菊婆さんが渋い声を上げた。

間髪入れず、はつらつとした声が響いた。「ちょっとお待ちください! あたしたち?色?はしなかったけど。繁六先生はまだ自分は匠でないとお考えです。自信がつけば、必ずお糸を選んでくれます」

 繁六は安堵し、身体から力が抜けた。昨夜、源内先生が口惜しそうに「来年は金山を休鉱し、再び長崎へ学問修行に出る」と呟いたのを思いだした。

 おいらも、お糸ちゃんと一緒に江戸に出て揉み処を開こう。これが渡世か。匠は二人で目指せばいいさ――。

 晴れわたった初秋の空に、峻剣な両神山の切り立った岩肌が、朝の陽にきらめいてい。繁六は久しぶりに目を細めた。                              




2 たなごころの魔法


 梅雨が長引いたせいか、カンカン照りの夏は、あえぎながら駆け足でやってきた。江戸深川は、相変わらず蒸し暑く、うっとうしい。

 夕七つ時、仕事を終えた揉み療治繁六は、揉み処入り口の戸を開け放ち、団扇片手に目を閉じた。

 恋女房のお糸は、二歳になる甚八が泣きぐずるのを辛抱づよくあやしている。

「ごめんくださいまし。あっしは?魔法の薬売り?益池の伝蔵と申します」

 四十過ぎの男が、敷居をまたぎ、背中の大きな荷を下した。商人の旅姿ではあるが、ふとした拍子に見せる鋭い眼付が、得体の知れぬ風情を醸している。

「手前ども、新たに万能の膏薬を開発しまして。肌のどんな症状でも治します。?ミナナオル軟膏?と呼んどります」

 繁六は、蛤の貝殻に入った試供品をまじまじと見つめ、匂いをかいだ。

蝦蟇(がま)の油と同じく沼臭い。白いのは何故?」「蝦蟇(がま)の油と同じく沼臭い。白いのは何故?」「蝦蟇(がま)の油と同じく沼臭い。白いのは何故?」

「へっ、卵の殻を細かく砕きました」

「どこが新しいのか?」繁六は、疑いの目を向けた。伝蔵は得意げに述べた。 

 筑波山で十年、天狗様から魔術、魔法を伝授された?魔法やり手年増?が近頃、人気でございます。火事、地震を予知し、病も治す。この女とコラボし、軟膏に強力な魔法の祈祷を溶かし込みました。百姓、町人や武家、僧侶までもが多く救われましたーー。

 繁六は、試しに二十皿仕入れた。ところが、六日後の朝一番、魚屋の権助親爺が娘のお小夜をおんぶして、駆けこんできた。

「ふくらはぎを毛虫が這ってかぶれた、てんで。魔法の薬売りから買った軟膏を塗ったら、てぇへんだ。よけい真っ赤に腫れちまって」 

 九歳の娘の肌がただれていた。繁六は洗浄、消毒し、あかぎれ等に効く既成の万能膏を塗った。さらに、膝の皿の下、足三里というツボを優しく揉む。この刺激で足の血流、疲れは改善されるはず。魔法膏に不純物が混入しているのではないか、繁六は首をかしげた。

「お糸、ひとっ走り、神田白壁町まで行ってくれねぇか。万能魔法膏を源内先生に調べていただきてぇんだ」

「あいよ。お前さんもドジだねぇ。ちょいと前に気づけば良かったのに」

「ごちゃごちゃ言ってる暇はないぜ」

「おっかさん、甚八を頼んだよ」

 お糸は魔法膏を懐に収め、 店を飛び出た。

 四半刻も経ったろうか。お小夜が目覚め、親爺と目が合うと、可愛らしく歯を見せた。

「万歳! お小夜の腫れが引いた。顔色もいい。繁六先生のたなごころこそ、魔法じゃ」

 皮膚は滑らかさを取り戻し、権助親爺は「ありがとござんした」と何度も頭を下げた。 

 そこへ畳職人の喜平が、片腕を押さえながらやって来た。

「昨夜、寄合で肝入と冥加金の件で喧嘩になっちまって。むしゃくしゃしたんで深酒よ。朝、目が覚めたら手首が痛てぇ」

 診ると、関節をくじき、捻挫なのは明白。 碌でもない魔法で悪化させては元も子もない。親身な手当てと自然治癒が一番なのを繁六は知っていた。患部を冷やし、炎症を抑えた。関節が動かないように、手首用の添え木で固定した。消炎・止痛剤も与えた。

 繁六は、源内と出会って以後、医療知識の助言を得て、薬剤も適時適所で扱う。むろん、心を込めた手や腕の施術が基本である。

 お糸がもどり、源内の見立てを伝えた。

「先月、大雨と地震が重なって、蝦蟇の死骸が大量に浮かんだ。安値で引き取って魔法祈祷女とつるんで軟膏をつくったの。でも沼や河の氾濫の折、蝦蟇のカラダが何らかの毒素に冒された。死後の油も良くなかった。、反薬効作用で人体に悪影響を与えてるみたい」

 お糸は、へたり込んでしまった――。

 手強そうなお武家が慌ただしく入ってきた。

「火付盗賊改配下、同心、高橋旭四郎と申す。昨夜の火付けにつき詮議いたす。火付け人の落し物と思われるが、その方、何かわかるか?」

差し出されたのは、黒く焦げてはいたが、まぎれもなくミナナオル軟膏の容器、蛤の貝殻であった。繁六は、仕入れた軟膏を薬棚からとり、同心に手渡した。

「うむ、これは逃れられぬ証拠。やはり、益池の伝蔵が絡んでいるのは間違いあるまい」

 同心によれば、火事が起これば火傷や打撲、切り傷などを負う者が続出する。さすれば魔法の軟膏を欲しがる者も増え、売上も上がる。

「故に火付けに手を染めたのであろう?風が吹けば桶屋が儲かる?式の愚かな考えよ」言い残し、火盗改に駈け戻っていった。

 繁六は思った。おいらの揉み療治の技も、やっとこ魔法を超えたか。たなごころの魔法――お天道様からのご褒美に違えねぇ。 

 お糸は、首すじから胸元の汗を拭きながら、亭主の療治衣をまとった白い背に、これまでにない頼もしさを感じていた。          



3 年増 常磐津 艶の音曲    (としまときわずつやのおんぎょく)


 新宿といえば、今でこそ東京を代表する街のひとつだが、江戸時代初めは?江戸の外?であった。内藤新宿と呼ばれ、品川宿、板橋宿、千住宿とともに江戸の出入口として機能していた。

 もみ療治 繁六は内藤新宿の生まれ。親父がここで按摩をはじめ、五十歳近くなって街道裏筋に小さな店をもった。それで繁六は、本所、深川に三代住んでいるような生粋の江戸っ子に、小指の先ほどの引け目を感じていた。

(もっと粋な、江戸っ子のなかの江戸っ子になりてぇ)

 繁六が仕事の合間を縫って常磐津の稽古に通うようになったのも、そんな心根があったからだ。彼は生業一途な男である。揉み療治の技にかけては熱意をもつが、しゃれっ気についてはとんと朴念仁。今どき、楽器の弾ける男子はもてるが、当時も同じこと。小唄、端唄、三味線、やっぱりミュージシャンは江戸娘にも人気がある。恋女房もあり、かわいい坊主まで授かっている繁六は、通人ぶって遊びたかったわけではない。

 実は、彼の背中を押すおせっかいな御仁がいたのだ。

 ひと月ほど前、小春日和の昼七つどき、混んでいた客がやっとはけた頃、首から背筋をねじられたような格好で老人がひとり『もみ療治 繁六』の暖簾をくぐった。?傘いしばしのご隠居、惣兵衛である。いつになく腰も曲がっている。

 繁六はまずは腰をかけさせ、衿をはだけた。左の首筋から肩甲骨あたりをいく度かさすると、すぐに声をだした。

「ご隠居、きょうはやけに凝ってますねぇ。粋な絹の小袖が泣きますぜ」

「うれしい悲鳴というやつでね」惣兵衛は、つらそうに目を合わせたが、いきなりニヤリと口角をあげた。「目の保養をさせてもらいました。首はねじったが、気はシャキンと若返りました。ふふっ」 

  惣兵衛が、皺だらけの鼻の下をのばし、さも嬉しそうに話した。

桜の咲きみだれるころ富岡八幡宮界隈で、常磐津、端唄、小唄のお師匠さんが評判になっていた。芸のみならず、容姿端麗、年増の色香がすばらしいと。屋号は、師匠の名をとり『音曲指南 おわき』。暇と小銭を持て余しているご隠居は、趣味と下心を満たそうと、さっそく通いはじめた。

 常磐津は、歌舞伎や浄瑠璃で三味線の音曲に合わせ、物語りを?語る?ことで、舞台を盛りあげる。遊里物、色恋物、世話物など多彩。高い声が美しい調子とされた。おわきがた おやかな声で?語れ?ば、しっとりした艶が隠し味となり、たいていの男は燃えてくる。

 惣兵衛も隠居とはいえまだ五十代半ばである。「まだまだ枯れるにゃ早い」が口癖だが、おかみさんの方が身が持たないとかで、幼馴染の桶屋の草吾とつるんでは吉原へもときおり遊びに行く。

 常磐津の師匠は、唄や三味線が達者でなければ務まらない生業だけに、芸妓や遊女出身の女が多い。とはいえ、今は堅気である。やたらに?色?ができるわけもない。悶々とした思いを誰にでもいいから白状しちまいたい! 惣兵衛の助べえ心のカモにされたのが繁六だった。彼だって堅物とはいえ厄のついた立派な男盛り。

(いい女に粋な音曲を習って、江戸っ子ぶりを高められるなら一挙両得。見逃す手は

ねえ)

とばかり、黒江町のおわき宅へいそいそと出かけるようになった。

 稽古が済んであたりが暗くなり、たまに帰りが一緒になると、ふたりは蕎麦屋で向かいあって蕎麦掻、板わさなどつまみながら、酒を酌み交わすが、話題は決まっておわきの女っぷりに流れこむ。

「いいおっ師匠さんをご紹介いただき、ありがとうございます。おわきさんの脂ののった白い肌。年増ならではの物言い……」

 と、繁六の喋るのを遮り、惣兵衛が

「やわやとわした仕種、立ち居振る舞い、こちとら語りの声も出やしませんよ」

と、喉を鳴らし、ぐいと盃を干す。

「常磐津の三味の音、年増の色っぽい声。極楽、極楽……」

 ふたりは相槌をうちあった――。


 そんな身の入らない常磐津の手習いが続いていたが、ちょうどその日、惣兵衛は十歳くらいの町娘の舞と稽古が重なった。

「繁六先生、想像してみてくださいな。すぐとなりの間で、小さな娘に踊りを教えるおわきさんの腰をかがめた、まるく妖艶な尻、肢体を……」

ご隠居の団子っ鼻がぐっと近づいた。繁六は生唾をのんで、手酌で盃に酒を注ぐがほとんどこぼしてしまった。

「しかも、師匠の身体をあまり露骨に見るわけにもいかないでしょ。語り見台を姿勢ただしく眺めながら、見つからないように首をねじって、語りの稽古をしていたのですよ」

「それは、それは。苦しかったでしょう」

「おかげで、この体たらくですよ」

繁六は、手首をくるりと回し、たなごころを思い切りひらくと、

「では、師匠に骨抜きにされたご老体、じっくり揉み療治させていただきやす」

胸鎖乳突筋から僧帽筋、三角筋を緩急つけてていねいに揉んだ。そして、熱した布で患部を四半刻温めた。仕上げに、平賀源内が開発した?エレキテル療治器?で静電気による療治を試みようとした時だった。

「待っておくれやす。何や妙な、聞いたこともあらへんエレキなんちゃらを、旦那はんのお身にあてて傷ついてしもうたら、どないしてくれまんねん。やめておくれやす」

 惣兵衛のおかみさんが下駄の音もけたたましく、揉み療治店内に入って来た。振り向いた繁六の、ただでさえ大きな眼がよけいに丸くなった。胸にきゅんと小さな矢が刺さった。

(ひょぉ〜、今はちょいと老けたが、ご隠居も、いい京女、もろうてますなぁ。さらに年増のおっ師匠さんを狙うなんて、爺はなんて欲が深いんでっしゃろ)

 おかみさんが板間に上がった。焦って走って来たため鼻緒が指に食い込み、下駄が足に引っ付いたままだ。り足らからいるのとで、下駄をはいたままだ。

「繁六先生がこなアコギな人だとは思ってもみぃへんかった。知り合いから『ご主人、妙なしもた屋に出入りしる』と聞かされたのが、常磐津の男たらし師匠の家や。それも繁六先生が誘うたそうやおまへんか。まじめな顔してからに、とんでもない助べ按摩はんどすな」

「そやけど、みんな誤解ですねん。ほんまはご隠居が引っぱって……」

 繁六はいつの間にか自分も、京とか大坂の喋り方になってしまっているのに気付き、一瞬、うろたえた。

「今後、うちの旦那はんとはいっさい付き合わんといてください」

 おみさんが唾を飛ばした。

 繁六は、これでやっと一件落着かと、舌先に安堵をころがした。その刹那、療治床をけ

ていたお糸が、髪からかんざしを抜くと拳で握りしめ、

「くそばばぁ、何言ってやがる。常磐津年増のナンパにあたしの繁六ちゃんを誘ったのは、そっちの淫乱爺だ。|夫婦≪めおと≫もろとも地獄のお仕置きよ」

 さあ大変だ。若妻とおいぼれ女が、小袖の裾をはしたなく乱し、赤襦袢ももろ出しに、なめらかなのや縮緬皺みてぇな太腿をちら見せて、板敷きの間を七転八倒、くんずほぐれつ争った。まさに、若妻VSおいぼれ女の総合格闘技の様相を呈してきた。揉み療治を終え、帰り支度をしていた者たちは、オロオロしたり、観戦したり。なかには自分の好む選手を、手に汗握って声援し始める始末。 

(おいらの揉み処で怪我人が出たとなっちゃぁ、悪い評判がたって、これからの商売にさしつかっらぁ)

 繁六は、そう読んで必死の形相になった。いくら口で説得しても、女格闘技選手たちは耳を貸さないので、生業(生業)の按摩のテクニック?腑抜けのツボ?を押しこんで、ふたりを何とか引き離すことができたのであった――。

 

 数日後、陽射しも秋めき涼やかで心地よい朝――。

《もみ療治 繁六》の店先に一台の荷車が止まった。車を曳いてきた男が腰にはさんだ手拭をひろげ、顔いちめんに滴り落ちる汗をぬぐった。その耳に甲高い男の怒声が響いた。

「早いとこ先生に伝えてこい、指攻めの親分が、大切な怪我人をお連れしやした、と」

 声の主は、この辺り海辺大工町の治安をになう十手持ちの?指攻めの飯助(いいすけ))親分?であった。

 運ばれてきたのは山崎徳治。常磐津の師匠おわきの弟で、家は玄米をついて精米し、それを販売する?つき米屋?だった。が、昨明和八年(一七七二)の大火?目黒行人坂火事?によって店は焼失。両親は焼死し、姉弟のふたりが残された。

  おわきは、幼い頃から習っていた三味線、常磐津などに助けられ生計を立てた。だが、徳治は、裕福な暮らしからいきなり貧しくなり、悲しさ、つらさに勝てず、捨て鉢が昂じて遊び人となり、賭場をてんてんと渡り歩くような暮らししかできなかった。

 ここふた月、谷中の古寺で開張される博打場に頻繁に出入りしていた。「ついてねぇ、ついてねぇ」と呟いているうちに負けがこんで、合わせて二十両もの借金証文がたまっていた。

 胴元の顔役、吉河権蔵親分は、おわき宅を訪れ、

「証文がこっちにある以上、おわき姉さん、体で払ってもらおうじゃねえか」

と、子分たちに命じ、無理やり師匠を連れ去った。

 徳治二十九歳、堪忍袋の緒も自制の糸も下駄の緒も、何もかも切れちまった。哀しい鈴の音が聞こえたようだった。

 着物を脱ぎ、古武道術で鍛えた肢体をあらわにし、まっさらな褌をつけ、腹にさらしを巻いた。藍の縦縞の小袖をはおると、脇差を左手に提げて表へ出た。あいにくの小雨。

「縁起が悪いのか良いのか、神さんだけが承知ってわけですかい」

 ヒクッと喉の奥を膨らませる癖がでた。首を衿の中にうずめるようにして、降りしきる雨のなかを駈けだした。途中、富岡八幡宮によって、殴り込みの成就を祈った。

 強くなる雨のなか、谷中の廃寺へ急いだ。博打場に着いた時には鬢から雪駄まで滝に打たれたようであった。

 徳治は片頬を引き攣らせた。

 わけのわからない怒りが、地の底の魔物の棲むような闇のなかから立ちあがった。

「権蔵ォ〜、許せないぜ」

と咽喉が裂けんばかりに叫び、板戸を思い切り蹴とばした。

「痛てってって……」

頭の芯がくらくらっと揺れた。胃から食道、喉へ苦い粘液がせり上がってきた。

すばやく脇差を抜いた。小さな風が巻いた。薄明りが|刃縁≪はぶち≫をはしる。

 白い盆台を囲んでいた博徒や客が、あわてて立ちあがった。駒札がバチバチとぶつつかりあい散らばった。

 奥に憎々しげな権蔵の骨ばった顔が見えた。?燭の火が顔の反面をゆらめかす。

「なんだ、なんだ。徳治じゃねえか。てめえ、気でも違ったか」 

 権蔵の声音が、恐怖におののく心の襞を伝えていた。

 徳治は一挙に踏みこんだ。瞬間、左手から子分が短刀で切りかかってきた。素早くよけて、脇差の切っ先を腹に刺し、ぐいっとえぐった。

 しかし、背後から心張棒のようなもので滅多打ちにされ、膝をついてしまった。

「浪人の旦那、お支払いした|金子≪きんす」分は働いてくださいよ。釣銭はもらえねぇんだから」 

 権蔵が言うと、大柄な浪人が、ゆっくりと大刀を抜き、正眼に構え、徳治の行く手をはばんだ。両者の間に殺気がみなぎった。

「行くぞっ」徳治は、よろよろしながらも力をふり絞りつぶやくと、紫煙と人いきれが漂う気をごくりと呑んだ。

 ドタバタとけたたましい音をたて、徳治と相思相愛の女、お鈴の澄んだ声が廃寺の陰気な雰囲気をたちまち変えた。

「徳治さーん、助けに来たわよ」

「ばかやろう。危ないからすっこんでやがれ」徳治が恋人を叱る。

つづいて、手の指をボキボキやりながら、飯助親分が言った。

「権蔵、 町奉行をみくびると、ひどい目に会うぜ。法は、弱いものに味方するからよ」

「御用だ、御用だ」

 飯助の子分の岡っ引、平太も十手を構えて権蔵に迫る。

 権蔵は、般若のおどろおどろしい眼になり睨みつけた。平太は震えて目をつぶり歯をくいしばっている。

 業を煮やした飯助親分が得意の指攻めで、権蔵の鼻の穴に指二本流で突っ込んだ。バリッバリッと裂ける音がして、左右の鼻穴から真紅の血が吹きでた。権蔵のもともと見苦しく暑苦しい顔が、死の崖っぷちに立ったように蒼ざめ、さらに醜くなった。

 徳治はどさくさに紛れ、お鈴とともにその場を逃れた。

 下っ端役人がふたり走ってきて?刺股?二本で、やっとこさ権蔵を捕らえた。

 

 徳治の打ちのめされた身体が、荷車から《もみ療治 繁六》の店内の療治床に移された。姉のおわき、恋人のお鈴が心配そうに眉をしかめ、寄り添い、付き添った。

 幸い背中の刀傷は深くなかった。そちらは昨夜、医者が適切に治療してあった。それにしても、

お天道様は心弱き徳治に味方したのか、用心棒にやとわれた浪人者は大した腕の持ち主ではなかったことになる。徳治は逃げる際、、背後から臀部をちょいと切られただけで済んだのだから、吉河権蔵親分も 高い買い物をしたわけである。

 衿元から、肌の内出血を示す赤紫色がわずかに見えた。経験と目の前の患者の様態から、いたいたしい皮膚の変容はほぼ全身に及んでいると想像できた。ふたりの年増おんなにつらい思いをさせたくなかった。

「おわきさん、お鈴さんも聞いておくんなせえ。徳治さんはたっぷり休養をとれば心配はいらねえ。おいら、療治を始めるから、待合の間でゆっくりなさっておくんなさい」

 こう言って、繁六は衝立をたて、お糸を呼び寄せた。今日でいうところの看護師の役目を果たさせるためである。

「おまえさん、分かってるよ」

 お糸が目蓋に力をこめ、うなずき、徳治の着物をぬがした。思った通りであった。さまざざまな事故による怪我人を見慣れているお糸でさえ、眼をそむけたくなるほど打撲、内出血の程度はひどかった。

「段取りを言う。忘れるな。一、熱さまし軟膏をごくごく薄く塗る。二、塗りながら触診、見診を兼ねる。三、損傷の程度を?重症??中症??軽症?に分けよ。四、それと連動させて人体表面の皮膚地図を作り、重、中、軽を色分けしてほしい。皮膚、筋肉、骨格、内臓の四部門。そこまでが看護の段階だ。次に療治にはいる。おいらの技の領域だ。余計なことは考えるな。刀傷は浅いが、雨に打たれて身体の芯まで冷えきっている。臓腑のいずれかに損傷を受けていないとは言えない。最終判断はおいらが下すけど、お前が察せられる範囲でいいから、内臓腑への影響が疑われる個所があれば、わかる範囲で詳しく書き留めろ。想像で書くな。決心がつかなかったら、書かない方がいい。命取りになるからな」

繁六はおおきく息を吐いた。話す間にほぼ全身のチェックを済ませた。しかし、お糸も手を抜くわけにいかないのだ。お糸の眼を見つめた。

「最後に忠告しておく。おいらの指示に必ず従ってほしい。例えば?源内エレキテル治療器?。重症者に効果あり、という治験結果は出ているが、今回は危険だ。先生だって神様じゃない」

 こうして、ふたりは各々の仕事に取り掛かった。半時をすぎた頃お糸が作業を終え、姉さん被りをほどいた。

繁六は、お糸の作った『徳治、人体損傷部位図』見ながら改めて触診した。そして次の一覧をまとめた。

 ●重症は、皮膚=左肩刀傷、

筋肉=左三角筋刀傷。

 ●中症は、皮膚=左耳タブ切断、

筋肉=右半腱様筋痙攣・左右上腕二頭筋刀傷、

      骨格=左手中指骨折、

内臓=大腸強打下痢。

 ●軽症は、皮膚=左頬擦傷、

      筋肉=左大殿筋強打、

     骨格=左鎖骨強打。


 半時ののち、繁六の揉み療治がとどこおりなく終わった。徳治も痛み止めのおかげで、強い苦痛を訴えていない。

「おそれいりやす……」今わの際のごとき声音であった。

 誰もが穏やかにうなずいていた。お鈴はただ泣き崩れた。

 そこへ、雪駄が土をける小走りの音。暖簾を払ったのは、トレードマークの派手な紫羽織をはおった平賀源内であった。日本一の本草学者にして発明家?江戸の鬼才?と呼ばれた男である。

「皆さま、おつかれさまでした。よい?按摩?でございましたね。遅ればせながら、真打ち源内、登場つかまつりました」

 不精髭をたくわえた顎を、ワニにも負けじと開いて言った。

 繁六は振り返りざま目を吊りあげ、ツッコミを入れた。

「ここんとこ、ご無沙汰ですぜ、先生。それを言うなら、よい?アンバイ?でしょうに・・・・・・」

「いやぁ、すまん、すまん。とんだ?アン違い?でござった。お詫びに、おわき師匠の商い看板を拙者が書いて進ぜよう。お糸ちゃん、硯箱をたのむ」 

 源内は、たすきを掛けると、おもむろに墨を磨った。口をとがらせ深く息を吐き、への字に結ぶや、いっきに筆を走らせた。

『としま常磐津 艶の音曲  おわき』                   

 揉み処の店内に拍手が沸いた。

「さすがは源内先生、筆すじもいいが、客よせの言葉が泣かせるねぇ」 

 傘やのご隠居惣兵衛の渋い声音がちとふるえた。

 お糸も我が子、甚八の頭をなでながら、

「おわきさんの男ごろしの色っぽさが見えるようだわ」

と、歯をのぞかせる。

 だが、繁六はひとり不服そうだ。

「先生はいつも美味しいとこをさらってっちまうんだから。たまりません」

 源内は、煙管に火をつけ、うまそうに一服すると言った。、

「あっはっは……実は先だって、おわきさんの稽古ぶりを拝見させてもらったんじゃ。いやぁ、聲も三味線も艶っぽく、すばらしく。若いころに詠んだ俳句を思い出したねぇ」

 源内は懐から短冊をとり出した。

「乱筆だが稽古間にの壁に掛けてくださらぬか」

 おわきは短冊を受けとり、神棚のほうに掲げて頭を下げた。

「その節はありがとうございました。そのうえ、このような宝物まで……おそれいります」

と、短冊を読んだ。

『 湯上りや世界の夏の先走り 』

 平賀源内は、若かりし頃の句に陶酔するかのように煙草を一服味わうと、皆を見渡して言った。

「当時は、未知の世界への挑戦、憧れが主題であった。しかし今日では、所詮、世間は、女と男の騙しあい。夏の湯上がりは、娘も、年増も、おかみさんも匂いたつ。野郎だって良い心持ちじゃ。快さを追いかけ、新たな生きる歓びを唄おうではござらんか。あっはっは、は……」


 繁六は、どうにも腑に落ちない思いであった。

(源内先生というお方は天才なのか、トンチンカンなのか? だれか教えてほしい) 

そんな哀願の眼差しで、お糸の邪気のない()を見つめるのだった。



4 (まとい)の心意気  

 

 江戸の町火消五番深川組で、(まとい)持ちを務める雅吉さんほど、粋でいなせな男を、おいらは知らねえ。

 江戸っ子のなかの江戸っ子といやあ、あの人を置いて他には考えられない。

 歳はおいらより三つ上の四十四。たまに呑んでも、「不調法なもんで…」と口数は少ない。男前というわけではないが、とにかく面がまえがしゃきっと涼しげだ。なんたって、目にウソがないのがいい。

 江戸すべてで六十四組総人数一万人を超える町火消たちの中でも、

鳶とも呼ばれる彼らは特に屈強で体力、技に優れたエリートだ。江江戸は木造の建物が密集していたから、火事も多く、かなり忙しい。江戸っ子の暮らしを守るものとして人気も高い。 

おいらだって、実家が按摩でなければ、憧れちまう。


 去年、おしどり夫婦のお静さんが流行り病で亡くなられた時には、見てられなかった。心底落ち込んで、ひっからびた片口鰯みてぇになっちまって、歯噛みしていた。

 噂によりゃあ、おかみさんのおやっさんが雅吉さんをよく思わなかったとかで、祝言に反対したらしい。でもって、駆け落ちまがいのことまでやって、やっと結ばれた。ほんとに?惚れた、腫れた?の男と女の問題って、ややこしい。おいら、苦手だね。

 この十月の命日の夜、ひとり酒を舐めながら女房を偲んでいると、町火消の若い平人が「大変だぁ、辰三さんの古着屋が燃えてますぅ」と、叫んで走りこんだ。

 雅吉さんはすばやく纏持(まといも)(ばん)(てん)に着替え、手拭鉢巻きりりと締めて、纏を担いで火事場に駈けつけた。一番乗りで他の組との?消口争い?もなく、消火に当たった。燃える家の風下の家を壊し、延焼を防ぐのだ。

 纏持ちところは屋根の上で纏を振り、風を一定の向きに導く。雅吉さんは火の粉を避けようとして、転落しちまった。『猿も木から落ちる』というやつだ。それでも、痛みをこらえ、懸命に纏を振り、火消の字ごと仕事をまっとうした。

 しかし、どうにも足腰、体側が痛くてたまらず、おいらの店に運ばれてきた。女房の命日に心がめげて、体幹に力が入らなかったに違いない。身体強健なので、命にまで影響はなかったが、腰を強く打ち、右足首は捻挫していた。

(ごくろうさまでした)

 心でねぎらいの言葉をおくり、繁六は落ちついた仕種で、揉み療治に取りかかった。まずは手技からだ。

 大腿四頭筋の筋肉筋にそって、人差し指と中指を押しこみ擦る。

「うっ、う、う……」低く呻いた。

「大丈夫ですか、雅吉っつぁん」手をとめ訊ねた。

「ちょいとケツが痒くてな」

 繁六は吹き出しそうになるのを懸命に堪えた。

(筋骨も鍛えられていて、普通の人ならやられちまってるとこも、へっちゃらだ。何たって、やせ我慢も?いなせ?だねぇ)

 繁六は、こんなに愉しんで療治するのは生まれて初めてのような気がした。

 冷湿布を一定時間施し、捻挫患部には?角添え木?をはめ、さらに腰、尻、腿にとりわけ慎重な療治を試みた。繁六の巧みな揉み技の反復に加えて、源内先生が開発した?エレキテル療治器?を用い、静電気で患部に刺激を与えたのだ。つまり、大殿筋、広背筋、縫工筋、そして複雑な大腿四頭筋に、?+??−?の電極を当てた。

 チリチリと音が聞こえ、衝立の向こうで横たわていた客が、不思議そうにこちらを覗きこんだ。

 ?

「おかみさんも、あの世で心配なさってますぜ」言葉を肌に馴染ませるように言った。

 雅吉さんは、おいらのさする手を握りしめ、

「ありがとうよ。あっしは、お静と所帯をもつとき江戸のみなさんに、たいへお世話になりやした。纏を振って火消の仕事を続けているのも、すべてが恩返し。お江戸を守りてぇ……。でも、女はお静一本やり。胸に燃えるあいつへの火は、決して消しゃあしません」

 枕の上の首をほんのわずか揺すって

「あいつを胸に、纏が振れなくなるまで、しぶとく生きぬくつもり……それが江戸っ子の?纏の心意気?でさぁ……」

 目が潤んでいた。だいぶ疲れていたのであろう、雅吉さんは、そのまま眠った。そのまま三日間この《揉み処》にとどまった。


 おいらは、いなせでも粋でもないけれど、女についてだけは雅吉さんと同じ思いだった。それがうれしかった。 

(雅吉さんにとって、纏が生きるうえでの?心張棒?ってわけか。じゃぁ、おいらのは?)胸の中でつぶやいた。

 ふと顔をあげると、お糸が暖簾をしまおうと腕を伸ばすところだった。淡い緑の松葉もようの留袖から白い肌がのぞき、茜空を背景に喩ようもない情感をかもしている。

 おいらのたなごころは、雅吉さんの腰に触れたままだいぶ長い間、動かなかった。                                   


 

 

                                     

2




リハビリ、介護が必要な今日、江戸の知恵に学ぼう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ