26話 決戦
趣味がてらに書いてみました
戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました
楽しんで頂けたら幸いです
快晴の朝、三方が原で武田軍と織田、徳川連合軍は向かい合っていた
武田軍は
右翼に勝頼、武田信豊の2万
中央に大河、真田幸隆、穴山信君、小山田信茂の4万
左翼に馬場信春、秋山虎繁、山県昌景の1万
魚鱗の陣形で中央突破を狙う
対する織田、徳川連合軍は
右翼に徳川1万、滝川一益の1万
中央に織田信長、柴田勝家の3万
左翼に丹羽長秀、木下藤吉郎の2万
鶴翼の陣形で迎え撃つ構えだ
そして、決戦の火蓋が切って落とされた
両軍が前進し接敵した
「「オオーーーー」」
織田軍といえば長槍である。その長さは3間半である
それを集団で用いるのが信長流であった
武田軍の槍の長さは3間であったため、長さが足りない
そのため、初手は織田軍が優勢であった
だが、鶴翼の陣形に対して魚鱗の陣形は中央の厚みがある
先鋒が崩れても次々に兵が押し寄せてくるのが特徴だ
次第に織田軍の中央が押されていく
左翼は滝川、徳川軍と馬場信春、秋山虎繁が奮闘し互角の戦いをしていた
だが、兵力に2倍の差があるため、長くは持たないかもしれない
大河は、右翼を見た
そこでは勝頼、武田信豊軍が初期位置から動かずにいた
「勝頼様、貴殿は武田家を滅ぼすおつもりですか?」
と大河は嘆いた
そして、右翼なしで中央突破を目指すよう指示を出した
――織田陣営
「勝頼からの書状では、暫く動かぬということであったな。味方を攻撃したくはないとのことだ。だが、武田軍が崩れれば、本陣に攻撃を仕掛け大河を討つと申しておる」
と信長は現在の戦局を見て言った
「ならば、長秀、藤吉郎に武田軍右翼を包囲殲滅せよと下知を下せ」
と信長は勝ち筋が見えてきたとニヤリと笑った
長秀、藤吉郎軍は武田軍右翼を包囲し始めた
武田軍中央右翼は小山田信茂であった
小山田信茂
「まずいぞ、包囲されつつある!」
武田軍中央部隊は4万で織田軍5万を受け持たねばならなくなっていた
そのため、中央右翼の部隊の負担が大きく、陣形が崩れつつあった
藤吉郎
「後少しで、武田軍は崩れるぞ。ここまで来れば勝ちは揺るがぬ」
と、その時
武田軍右翼を包囲している木下軍の更に外側から何者かが突撃してきた
ドドドドドドドドド
「攻め掛かれ!」
オオーーーーーーー
木下軍
「「ぐおっ」」
藤吉郎
「何! 外から攻撃じゃと、どこの者じゃ?!」
蜂須賀正勝
「あの旗は、武田勝頼! 信豊!」
「何じゃと! あの裏切りの約定は策であったか!」
と藤吉郎は地団駄を踏んだ
――時は少し遡って、開戦直後
武田軍と織田、徳川連合軍の戦が始まっても勝頼は出陣しなかった
信長に宛てた書状には、開戦しても動かないと書いたためだ
虎房
「勝頼様、確実に大河を討たねばなりませぬぞ」
勝頼
「分かっておる」
こんな時、父上ならどうするだろう?と勝頼は考えた
その時、ふと信玄が臨終間際に言ったことを思い出した
「お主は周りが見えておらぬ」と
突然、勝頼の脳裏に稲妻が走った
そう、こないだの鉢形城攻略時の失敗が浮かび上がったのだ
あの時、信玄は言った
「大河が殺されたならば、謙信は背後を襲い春日山城に戻り独立しただろう」と
勝頼は、あの時を思い出すと自分の命も、武田家も無くなっていたかもしれないと恐怖で震えるのだった
「そうか、此度も謙信が裏切る可能性があるのじゃな。周りが見えるとは、自分が起こそうとする行動の影響を広範囲で考えるということかもしれぬ」
そう理解すると、勝頼は自分の視界がパーと開けたように感じた
そうなると、勝頼は虎房に感じていた違和感をはっきりと意識できるようになった
そして、勝頼はその違和感を炙り出そうとした
「虎房よ。儂が内応したとしよう。そうなれば、武田軍は総崩れとなり負けよう。その時、織田、徳川軍はどうすると思う?」
と聞いた
「織田、徳川軍は、勝頼様が大河を討った所で戦を止めるでございましょう」
と虎房は言った
「織田、徳川軍が本当にそこで止めるだろうか?」
と勝頼は自分なら止めず、完膚なきまで叩き武田家の戦力を可能な限り削ろうとするだろうと考え言った
「間違いなく止めまする」
虎房は信長当人でもないのに断言した
「それに虎房よ。儂が大河を討ったとしたら、関東に居る謙信はどうすると思う?」
と勝頼は最も疑問に思ったことを聞いた
虎房は一瞬だけ苦い表情をしたが直ぐに平静を装い言った
「謙信であれど、これだけ大きくなった武田に逆らうことなどできませぬ。勝頼様に服従致しましょう」
「なるほど。確かに儂は周りが見えておらぬな」
と言うと素早く刀を抜き、虎房を袈裟懸けに切り伏せた
「な、何を……」
と虎房は言いこと切れた
「儂が内応すれば、数年は軍を起こせぬほどの壊滅的な打撃を武田は受けよう。それに、関東に居る謙信が独立し、武田は所領の半分を失う。そうなれば大きくなった織田、徳川連合軍に攻められ滅亡しような。大河の予言通りじゃ」
と勝頼は己の愚かさに辟易しながら言った
「だが、まだ間に合う。全軍突撃せよ! 目標は織田軍左翼、木下藤吉郎の軍じゃ!」
――勝頼が木下軍に突撃した時に戻る
織田軍左翼の攻撃が止んだことを察知した小山田信茂は軍の態勢を整え直した
そして、敵左翼に攻撃を仕掛けている部隊を見て嬉しそうに言った
「勝頼様、遅うございますぞ! 我らも負けてはおれぬ。押し返せ!」
武田軍右翼は、勝頼らの攻撃により形勢が逆転した
長秀、藤吉郎軍は横から2万の軍勢の攻撃を受け、崩れ始めていた
「くぅ! このままでは崩れる!」
と藤吉郎は焦りながら言った
「藤吉郎よ、踏ん張れ! ここで崩れる訳にはいかぬぞ!」
と長秀が発破を掛けた
武田軍中央部隊は織田軍中央部隊を中々突破することができずにいた
それは、織田軍中央に居る柴田勝家のせいであった
柴田勝家が奮闘しているため武田軍の進軍がストップしていたのだ
「拙いな。柴田勝家にやられ放題だ。このまま中央を突破できなければ、中央右翼が崩れ負けるぞ」
と大河は膠着状態に陥った中央部隊の戦況を見て言った
その時、織田軍左翼部隊に突撃する勝頼、信豊軍が見えた
そして、勝頼軍はそのまま織田軍を押し込んだ
「勝頼様。ありがとうございます」
と大河は勝頼に感謝した
勝頼の突撃に織田軍は狼狽えた
織田軍左翼は完全に崩れ掛けていた
だが、そこで信長が颯爽と左翼の救援に訪れた
信長の援軍により織田軍左翼はなんとか持ちこたえ、織田軍の崩壊は免れることとなった
そして、日が暮れ両軍供に自陣に引き上げた
合戦は双方互角の展開であった
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
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