15話 能登攻略
趣味がてらに書いてみました
戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました
楽しんで頂けたら幸いです
――1567年8月
大河は、能登の攻略を開始した
大河と謙信率いる15000が春日山城を出立し七尾城に向かった
大河は軍に積極的に参加するようになった
それは、謙信の留守中にあった謀反により、自分も軍と一緒に居る方が安全だと認識したためである
そこに杉浦玄任率いる一向一揆12000と富山城から斎藤朝信率いる5000が合流した
総勢32000の軍勢である
七尾城は標高約300mの山上に築かれた能登守護畠山氏の居城である
日本五大山城と呼ばれるほど堅牢で、険しい山岳部を巧みに利用した難攻不落の巨大な山城である
そこに守備兵が4000ほど入っていた
大河は、この天下の堅城と謳われた巨大な山城を短期間で攻め落とすのは難しいと考えていた
「先ずは一当てしてみるか」
と大河が言った
七尾城の麓に布陣した大河達は、七尾城に攻撃を仕掛けた
「七尾城を攻め立てよ」
と謙信が命令を出した
七尾城の入り口である惣構えは、横幅1.1km、奥行きが1kmほどとなっており、そこには武士の住む屋敷が所狭しと立ち並んでいた
そして、そこに配置された兵たちが屋敷と塀を盾にしながら四方八方から矢を打ち込んでくる
ポリカーボネートの盾で受け止めるが、一方行ではないためとても受け止めきれない
「これは厳しい戦いになるぞ」
と大河が言った
そこで大河は、城の全容を確認するためドローンを飛び立たせた
ドローンから送られてくる画像をコントローラーの画面で確認した
そこには至る所に兵が潜んでいる画像が映し出されていた
「この城は凄い。巨大な上に迷路のようになっていて天守まで攻め上がれる道が1か所しかない」
コントローラーの画面には、空から見た七尾城の巨大な全景が映し出されていた
「ほう。こんなにもはっきりと城の全容が見れる技をお持ちとは。流石大河様」
と杉浦玄任が関心したように言った
「これは長期戦となりますな」
と謙信が言った
3人であーでもない、こーでもないと軍議をやっていると昌幸が唐突に言い出した
「箕輪城を攻略した作戦を使いとうございます」
「あれ?昌幸は箕輪城の攻略に参加していなかったはずじゃ?」
と少し不思議そうに聞き返した
「父上から良く聞かされております故、良く覚えておりまする」
「そうか、あの策の半分は幸隆どのの案だったな」
と大河は納得したように言った
策が決まると昌幸は配役を割り振った
そうして、脅し役を任された杉浦玄任が七尾城の前に1人で立ち、大声で話し始めた
「拙僧は一向宗大将、杉浦玄任である。七尾城の者共よ、降伏せよ。我らには仏の化身が付いておる。お主らに勝ち目はないぞ!」
「ははは。何を馬鹿なことを。お主ら一向宗の言う仏の化身なぞ、虚言であろう!」
と畠山七人衆の遊佐続光が馬鹿にするように言った
「我らの仏の化身に対する愚弄、許さぬぞ! ならば仏の化身の怒り、存分に思い知るが良い!」
と杉浦玄任は何も知らされていないので大真面目に言った
そして、次の日の夜明け前
ブーンという音がして、19体のドローンが七尾城の本丸近くにある蔵に窓から侵入し、落下装置を使ってビニール袋の白灯油を投下していた
その後、火炎瓶を持った1体のドローンが同じ蔵に窓から侵入し、同じく落下装置を使って火炎瓶を落とした
そして、パチパチと火が上がり始めた、それに気づいたが遊佐続光が
「米蔵が火事じゃ、誰かある! 火を消すのじゃ!」
と言った
しかし、火の手はどんどん大きくなっていき、手の付けられないほど大きくなっていた
そして、その蔵に貯蔵してあった米俵は灰になった
灰となった米俵を見た遊佐続光は怒りを露わにして近習に問うた
「なぜ火事が起きた! 誰か火を使こうたか?!」
「い、いえ、誰も使ってはおりませぬ」
近習は何も知らないという風に言った
そうこうしているうちに朝日が昇り、武田軍から遊佐続光宛てに矢文が打ち込まれたと兵が届けに来た
遊佐続光は自分宛ての矢文を読むと、黙って懐に入れた
「如何された?」
と様子を見に来た長続連と温井総貞が言った
「この蔵の米が焼けたのじゃ」
と続光がやるせないという風に言った
「なんと! このような時に何故じゃ!」
と長続連が怒りを露にして言った
「分からぬ。突然燃えたのじゃ」
「だが、まだ兵糧は沢山残っておる。降伏はせぬぞ!」
と温井総貞が言った
七尾城内部で騒ぎがあったにもかかわらず、武田兵は全く攻めてくる様子がなかった
そのことが、逆に七尾城の将達を不吉な気分にさせていた
そして、次の日の夜明け前
ブーンという音がして、20体のドローンが今度は遊佐屋敷の近くにある調度丸(武具などを仕舞っておく)の屋敷群を燃やした
火柱が立ち、屋敷群が燃え上がる
「早く、早く火を消すのじゃ」
と遊佐続光が言った
しかし、灯油を掛けられ盛大に燃えている木造屋敷の火が簡単に消せる訳もなかった
完全に燃え尽きた調度丸の屋敷群を見た遊佐続光は恐怖に震えていた
そして、その日も武田軍の攻撃は無かった
その代わり、またもや杉浦玄任が七尾城の前に立ち、大声で話し始めた
「降伏せよ! さもなくば、更なる仏の怒りがお主らを襲うぞ!!」
「ざ、戯言を!!」
と長続連はそう言ったが、2日連続で軍事物資を貯蔵していた屋敷群が焼けるなどあり得ない
そのため、仏の怒りは本当ではないかと思い始めていた
2度も貯蔵庫を燃やされた畠山7人衆は、夜の警備を厳しくした
そして、遊佐続光は遂に行動を起こした
「うーん。流石にこの警備では燃やせないぞ」
とドローン部隊を指揮していた大河が言った
「大河様。某の策が成りますまでお待ちくだされ」
と昌幸が言った
実は、畠山家当主らを排除した畠山七人衆が支配する畠山家中では内紛が続いていた
そこに武田家来襲との報があり、畠山家中は戦うか服従するかで半分に割れていた
最終的に長続連、温井総貞の強硬派が勝ち、籠城にて戦うとの決定がなされた
しかし、それを快く思わない人物がいた。遊佐続光である
そこに目をつけた昌幸は遊佐続光に標的を定め、米を燃やし、調度丸の屋敷群を燃やしたことで、仏の怒りによって簡単に城の設備を燃やせるということを示した
その上で、内応を約束すれば、仏の怒りを鎮め、領土を安堵すると提案したのだった
そして、遊佐続光は内応を承諾した
「大河様。遊佐続光の内応を取り付けましたぞ」
と昌幸はやや興奮気味に言った
「昌幸。良くやった。これで勝てるぞ」
と大河が昌幸を褒めた
「ははっ」
と昌幸は嬉しそうに言った
大河達は、七尾城に32000の兵による総攻撃を仕掛けた
そして、戦うこと10日、大河は惣構えを突破した
惣構えを突破したことを見た遊佐続光の兵が七尾城の天守閣に通じる門を全て開け放ち、武田兵を中に導いた
「続光、裏切ったな!」
と長続連が怒りに任せて言い放った
「もう遅いわ。仏の化身と敵対して生き残れるとは思えぬ」
と遊佐続光が答えた
そこからは早かった
謙信が指揮を執った武田軍は一気に天守閣まで攻め上がり、長続連、温井総貞を捕らえたのであった
こうして堅牢を誇った七尾城は、内応によりあっけなく落城したのであった
そして、難攻不落の本城を落とされたその周辺の城は全て降伏した
こうして、大河は能登の支配権を握ったのだった
長続連、温井総貞は切腹。一族は追放となった
遊佐続光は武田家に服従を誓った
大河はこれで越中、加賀、能登までを完全に手中に収めた
「昌幸。この戦はお主が功第一位だ。褒美を取らす」
と七尾城周辺の土地の加増を言い渡した
「はは~。有難き幸せ」
大河は、その他に活躍した武将らに加増を含む褒美を与えた
能登の攻略が終わった後、大河は昌幸に何故本丸や2の丸を狙わなかったのか聞いた
「その理由は、七尾城が巨大であったからでございます。本丸と2の丸を燃やしても、あの城の防御力はさほど落ちませぬ」
「なるほど。確かにそうだ」
「それに、そう何度も燃やせば警戒され、燃やしにくくなりまする。使えるのは精々2回でしょう。それならば内応させるために使った方が落とせると考えましてございます」
と昌幸は顎に手を当て解説した
「流石は、調略の達人幸隆どのの息子だな」
と昌幸の説明に納得した大河は昌幸の智謀を褒め称えた
そして、七尾城城主には甘粕景持を任命した
「身に余る光栄にございます」
と能登最大の城の城主に任命されたことが信じられないという面持ちで甘粕景持は言った
「頼んだぞ」
と大河は言った
「ははっ。お任せくだされ」
そして、大河は信玄に越前は攻略するのかと聞いた
信玄は、朝倉は足利将軍を通して繋がっている故、攻めるのは止めよとのことであった
そのため、大河はこれ以上の西進を止めたのであった
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください
お気に入り登録、評価などをしていただけたら幸いです




