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13話 一向宗

趣味がてらに書いてみました

戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました

楽しんで頂けたら幸いです


ここからは、またお時間を頂きたく

――1566年秋


大河は、5000の兵を富山城に抑えとして残し、越中の掌握を開始していた

暫く戦はないと見て、元上杉将と越後兵10000は春日山城へ帰した


とそこに加賀一向一揆の本拠地、尾山御坊から使者が来た


大河

「何、加賀一向衆総大将、下間頼総どのからの書状?俺を尾山御坊に招待したいと?」


昌幸

「はっ。なんでも仏の化身と呼ばれる大河様に是非会ってみたいとのこと」


「まさか、罠ってことは無いよな?」

大河は謀反を起こされたことで警戒心が強くなっていた


「顕如どのとお館様は義兄弟。わざわざ敵対するようなことはありますまい」


「分かった。では10日後に参ると伝えてくれ」


「ははっ」


大河は色々と準備を整え、尾山御坊へ向かった

流石にバイク、車で行くのはマズイと思い馬でゆっくり行くことにした


加賀一向一揆の拠点で浄土真宗の寺院である尾山御坊は、現在の金沢城の前身であり梯郭式の平山城である

寺とはいうものの大坂の石山本願寺(大坂御坊)と同じように城と化した要塞であった


大河は昌幸、謙信を連れて丁度10日後に尾山御坊の正門にたどり着いた

そこには総勢500名の僧侶が整然と並んで待ち構えていた

大河は、その陣容に内心ビビりまくりであったが、面には出さないでいた

大河も成長したのである


その500名の中から1人が進み出てきた

「杉浦玄任と申す。尾山御坊総大将、法眼の下間頼総に代わりまして御身をお迎えに上がりました」


「これはかたじけない」


「それではこちらへ」


と大河達は玄任に連れられて寺の祭祀場へと案内されるのであった

その祭祀場は横100m縦50m高さ5mはあろうかという巨大な部屋になっていた

その祭祀場の外には砂利が敷かれた大きな広場があり、そこから祭祀場内部が見れるように複数の巨大な扉が開け放たれていた


祭祀場には護摩壇の前に座る偉そうな僧が居た

護摩壇の奥には黄金の阿弥陀如来像が高台に鎮座しており、その周りには荘厳さを感じさせる装飾が施されていた

護摩壇の両脇には100名ずつ、総勢200名もの僧侶が立ち並んでいた

そして、祭祀場の外の広場には先ほどの500名の僧侶が一糸の乱れもなく並んでいるのが見えた


その護摩壇の前に座る僧が言った

「お初にお目に掛かります。下間頼総と申します」


「岩崎大河と申します」


「大河どのは仏の化身と言われておるそうですね」


「はい。そう呼ばれております」


「大河どの。仏はどのような者に加護をお与えになると思いますか?」


「心身共に清らかで身を挺して世に尽くす者でしょうか?」


「違いますな。心身を修行により鍛え、仏に尽くす者に仏は加護を与えます」


これは仏の加護は修行を積んだ僧にのみ与えられる。僧でないお前などに仏は加護など与えぬ、お前は仏の化身などでは無いと言っているに等しい

大河は、こいつ喧嘩を吹っ掛けに人を呼びだしたのかよと怒りが渦巻いていた


「では頼総どのは、大層仏に気に入られているのでしょうね」

と大河は言った


「当然でしょうな」


「俺も仏には気に入られているようでして、この前も箕輪城の攻略を仏に手伝ってもらった所です」

と大河は頼総の説に真っ向から反論した


「それならば、法力勝負にてどちらがより仏から力を借りられるのか勝負致そう」

と額に青筋を浮かべて頼総が言った

頼総とすれば、この天下は仏に生かされている

その仏と最も近しいのが僧である

そうであれば、僧こそがこの天下を統べるにふさわしいと考えていた

ましてや、僧でもない人間が仏の化身を自称するなど、僧職に対する侮蔑である考えていた

そして、僧でもない大河が法力を操れる訳がないと思っていた


「承知致した」

と大河は応じた


大河が謙信の顔を見るとしかめっ面をしていた

どうやら謙信も頼総を嫌っている風であった

この感じだと、謙信も過去に色々嫌がらせを受けたのだろう


「では、拙僧から」


と頼総が言うと、護摩檀の前で調伏法の祈祷を始めた

頼総はこの機会に大河を完膚なきまでに叩きのめし、2度と仏の化身という大それた呼称をさせぬ積りであった

そして、何やら真言やらキエーだとかの声が聞こえた

そして、その真言が最高潮に達した時、護摩壇の炎が天井まで燃え上がった


「「おお~~」」


「「素晴らしい法力じゃ。流石は頼総様よ」」


「「阿弥陀如来が現れたように感じたぞ」」

と護摩壇の両脇に居る200名と広場にいる500名の僧侶たちが大絶賛していた


「真の法力は如何かな?」

頼総は得意げな顔をして大河に一瞥をくれた


「では、俺の番ですね」


大河は、護摩檀の手前2mくらいの所に立ち、両手を合わせ祈るような仕草をした

そして、モゴモゴと聞き取り辛い声で、真言らしき文言を唱えながら楽市楽座を起動

不動明王の石像(高さ280cm、横110cm、奥行き90cm)を750万で購入した

これは、後で頼総に請求してやろうと思いながら、仁王像のような顔をして


「不動明王よ、我の呼び声に応えよ! かーーっ!!」

と声を張り上げ、その石像を出現させた


ズドン!!という音と供に、突如護摩檀の前に不動明王の石像が現れた


「「「は?」」」


それを見た総勢701名の僧たちの目が点になった


3m近い巨大な不動明王の石像が突然大河の前に現れたのだ

その迫力に歴戦の僧たちも言葉を失くした


「不動明王よ。顕現頂き感謝致します」

とシーンと静まり返った祭祀場で大河は言った


しかし、昌幸と謙信の2人だけは流石大河という風にうんうんと頷いていた


「如何かな?」

と大河が言った


「ば、馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! こんな馬鹿なことがあるはずがない!!」

と頼総が言った


そう、頼総は燃える水(精錬されていない灯油)に浸した木片を護摩壇に投げ入れることで炎を天井まで燃え上がらせたのだった

そういうカラクリと、僧700名のサクラを仕込んで大河を叩こうとしていたのだった

それを大河は、どんなカラクリを以ってしても不可能な不動明王の石像の顕現を実現させた

頼総が狼狽えるのも仕方がなかった


「これは詐欺じゃ。何かカラクリがあるはずじゃ」

と別の偉そうな僧が言った


その時、不動明王像が詐欺だと言い放った僧の方にドスドスと音を立てて体を向けた

それは、まるで不動明王像が自ら動いて体を向けたかのようであった

そう、大河は査定と拒否による再配置を高速で繰り返し、かつ再配置位置を少しずらすことで、あたかも像自らが動いているかのように見せかける技を習得していたのだ

更に大河は、事前にボイスチェンジャーで音程を低くしエコーを効かせた自分の音声をボイスレコーダーに吹き込み、それを袖の中に隠していた

そして、そのボイスレコーダーを再生した


「大河よ。我を疑うこやつを地獄送りにしてやっても良いか?」

とボイスレコーダーの大河


「ひぃぃぃ」

それを聞いた詐欺と言った僧は自分の方に向いた不動明王像を見上げて悲鳴を上げた

それはそうだろう。自分たちの信仰先である仏から地獄へ落とすぞと言われたのである


「お待ち下さい。この者も本心ではありますまい。お許しを」

と大河は1人芝居を打った


「ここは大河に免じて許してやろう。大河よもう良いか? 我は帰るぞ」

とボイスレコーダーの大河


「ははっ。お力をお貸頂き感謝致します」

と言い、色々バレる前に査定で石像を消し、ボイスレコーダーを止めた


一連の芝居を見た僧侶たちは、大河が本物の仏の化身であると信じつつあった


「本物だ……」

と頼総が言った


「「ほ、本物じゃ」」


と701名の僧侶たちが一斉にひれ伏した


「大河様。これまでのご無礼、何卒お許し下さい!」

と頼総が言った


「うむ。許す」

と大河は大仰に言った


「はは~。有難き幸せ。我ら一同、大河様について行きまする。何卒、尾山御坊にて我らをお導き下され」

と頼総が言った


「悪いが、俺にはやる事がある。それ故、ここ尾山御坊は頼総に任せる」

と大河が大層なことを言っているが、内心はここに居たら仏の化身じゃないとバレるから早く脱出したいと思っていた


「ははっ。大河様がそうお望みなさるならば」


「それと、もう一つ頼みがある」


「ははっ。何なりとお申し付けくだされ」


「直江津に医療拠点を作る積りだ。そこで医療の知識と技を僧たちに学んで欲しいのだ。そして習得したならば、それを全国の僧に広めて欲しい。そうすれば、僧職への敬意も回復しよう」


「なっ! お見通しでございましたか」


そう、頼総を含む一向宗上層部は戦国時代になってからというもの、僧に対する風当たりが強くなっていることに心を痛めていた

その理由に世の中が荒れ、仏の力が全く感じられないこと

民にとって僧は役立たずと感じるようになっていたからだった

そのため、民から敬意を得られず、自暴自棄となり破戒僧になる者も多くいた

大河は、それを解決するのに僧職の医療技術の向上を提示したのだった


「医療拠点ができたら沙汰を出す。それまで修行に励むように」


「はは~」


とこうして大河は一向衆を傘下に組み入れ、越中、越後を現代医療の拠点とする準備を整えるのであった



初めて投稿致します

拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います

誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします

しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします

また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください


お気に入り登録、評価などをしていただけたら幸いです

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― 新着の感想 ―
[一言] 武田の日本中吸血虫対策したのかな?
[良い点] (僧侶の)いい使い方だ! [一言] 毎回の更新楽しみにしてる。
[気になる点] うーん僧たちは強いものに媚びているだけのような…
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