11話 街道の建設2
趣味がてらに書いてみました
戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました
楽しんで頂けたら幸いです
――1566年2月
雪が解ける2月終わりに巴を連れて越後に帰った
そして新婚生活が始まったのではあるが、大河は巴の美貌と色気にやられ、完全に腑抜けていた
想像してみて欲しい、アイドル並みに可愛い子と毎日一緒に過ごすのである
いくら精神年齢が40を過ぎた男でも腑抜けるのは仕方がなかった
「大河様。顔がにやけておりますぞ」
と信蕃が言った
「むっ。いかん、いかん」
正気に戻った大河は、大河組の連中と今後の道路建設の方針について話し合うのだった
大河は、大河組の連中に海津城まで道路ができたら追加で報酬を支払うことを約束した
人参をぶら下げてブーストさせる作戦である
「追加報酬を貰ったら、俺も大河様と同じように嫁を貰いたいです」
と銀次郎
「俺も」
「俺も」
と大河組の男達が言った
大河のだらけきった顔を見て羨ましくなったのだろう。大河組の男達が嫁を貰う決意をしていた
「早く嫁を貰え。良いぞ嫁は」
と生意気にも新婚1年目の大河が先輩風を吹かせていた
そう、子供を増やしてもらわないと国が強くならないので、大河は大河組にも結婚を奨励しているのである
そのための給料も米を3倍の収穫量にしたことで確保済である
市井の民も米の収穫量が増えたことで、子供が増えても大丈夫なはずだった
大河も昌幸から、早くお世継ぎをとせっつかれていた
菊姫は幼いため、世継ぎを作るのはまだ無理だ。昌幸の言う世継ぎとは巴との子だ
大河も巴も共に19歳となっていた。大河の感覚ではまだ早いと思うのだが、この時代であれば世継ぎを作り始めて当然の歳である
大河は、道路建設に慣れてきた大河組を2つに分けることにした
重機を扱える人数が増えたため、遊んでいる人が多くなったからであった
石を切り出す組は2つの組に石を供給する必要があり人数が必要だ
そのため、500名を追加で増やした
300名の2組で道路を作り、900名で石を切り出し運ぶ組とした
そして、それぞれ追加で重機を出した
これで2倍の速度で道路を建設できることになる
300名の1組は海津城から新井へ、2組は現在完成している新井から海津城へ向かう予定だ
また、既に完成している直江津、新井間の道路だが民達を含め使用を開始していた
それは大変好評で、直江津の文物が新井まで浸透し始めていた
それに新しいことに目敏い商人たちが新井に新しい宿を作り始めていた
年貢の納付もこの道路のお陰で、搬送が楽になり効率が良くなっていた
大河は、大河組には金を心配せず、全力で道路を作れと言ってあった
佐渡の金山、港の通行税で懐が潤ったからだった
「予定より早くできたら更に上乗せして払ってやる。但し、手は抜くなよ?」
「分かっていますよ。おっし、やる気が出てきた。やるぞ!」
「「おお~!」」
海津城から直江津へ向けて道路の建設を始めた所、海津城城主の高坂昌信が協力を申し出てくれた
その数1000人
そこで大河は、半分の500人に砕石の供給をお願いし、残りの500人に道路作りを手伝ってもらった
それに、アスファルトなどの材料を保管する場所を提供してもらった
やはり、米の生産量が3倍になったことで、食料事情に余裕が生まれていた
そのため、昌信も工作部隊を組織するようにしたのだった
しかし、道路の作り方が分からないため、大河組に協力しノウハウを習得しようとしていた
他の城主達も道路作りを始めれば、7,8年で武田家領内の道路が完成する目算になる
大河は喜んでノウハウを教えた
こうして、スピードを上げて道路の建設を進めるのであった
丁度その頃、甲斐、信濃に忍びを潜ませていた大名達は、忍びからの報告に訝しんでいた
今川氏真
「甲斐、信濃で豊作じゃと?それは真でおじゃるか?」
忍びの者
「真にございます。通常の3倍とのことでございまする」
「なんじゃと?3倍とな?どうなっておじゃる?」
「詳しくは分かりませぬが、米が違うとの噂でございまする」
「米が違うとな?然らば、調べるでおじゃる。そして、その米を奪ってくるでおじゃる」
「ははっ」
北条氏政
「甲斐、信濃で3倍もの豊作だと?」
忍びの者
「ははっ」
氏康
「あり得ぬ。豊作と言えど3倍はあり得ぬわ」
氏政
「何かカラクリがあるはずだ。調べよ」
「ははっ」
徳川家康
「甲斐、信濃で豊作だと?あり得ぬ。あそこは山岳地帯よ。米が大量に取れる場所ではない」
「しかし、あの地域で米の値段が大きく下がっておりまする」
「何かあるはずだ。調べよ」
「ははっ」
こうして、武田家領地の豊作を訝しんだ周辺の大名達が武田領内の米を調べ始めたのだった
大河は、この米が拡散するのは仕方がないと考えていた。特許の考えも無い戦国時代で完全に制限するのは無理がある
また、他の大名達が米のカラクリに気付き、追従するのに4,5年と見積もっていた
それは、コシヒカリの主な入手方法が商人からの購入に限られており、大量に入手することができないからだ
そのため、この米を商人が他国に売るのを制限した
他国に売れば罰を与えるとお触れを出したのだ
この制限を設けたことで、他国の導入が遅れるはずだ
その時間的猶予期間で国としての優位性を確保するつもりだった
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください
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