9話 米と金山
趣味がてらに書いてみました
戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました
楽しんで頂けたら幸いです
――1565年の秋
今年も収穫の時期がやってきた
今年は去年とは違う光景が至る所で見られた
そう、米の収穫量が半端ないからであった
大河は謙信と田んぼの視察へ行っていた
領民はどこもかしこも浮かれ踊っていた
「大河様は仏様じゃ。ありがたや~」
そう、大河に無理矢理植えさせられた米のことであった
最初は農民からの反発もあったが、大河が甲斐ではこの米で3倍の収穫量が得られたと宣伝しなんとか植えさせることができたのである
その結果がこれだ
越後 40万石 > 80万石
米の入れ替えをやっていない地域があるため倍にしかなっていないが大幅増である
農民も半分取られても1.5石残ることから大喜びであった
謙信
「お主らも大河様に付いて行けば豊かになるぞ」
民
「「「はは~」」」
この結果から上杉家諸将は心から大河に忠誠を誓うのであった
「大河様。我らは心を入れ替え忠誠を誓いまする」
と要求もしていないのに誓約書まで提出してきた
大河もこれにはドン引きで
「い、いや~、これからも忠誠を頼む」
とだけ言った
大河は、大量に運び込まれた米を見て、これなら兵農分離も可能かもしれないと思った
来年辺りから実施していくかと考えていた
甲斐、信濃でも豊作に沸き返っていた
甲斐、信濃ではほぼ全ての耕作地でコシヒカリが植えられていた
今年の正月、信玄が各地にコシヒカリの種籾を配ったからだった
その威力もあり、国人衆、譜代の臣達の武田家に対する忠誠心が高まりを見せていた
高遠城
秋山虎繁
「凄まじき米の量よ。これが大河どのがもたらした米の威力か」
武田勝頼が上野国の国主となったため
秋山虎繁が高遠城の城主に任命されていた
「とんでもない量でございまする。蔵に入り切らぬなど聞いたことがありませぬ」
と重臣が言った
「余った米はどうしておる?」
「ははっ。今はまだ蔵の前に置いておりまする。早急に蔵を作っておりますれば、直ぐに蔵に納めることができるかと」
「分かった。早急に対処致せ」
「ははっ」
海津城
高坂昌信
「なんと!蔵が足りぬだと?」
重臣
「ははっ。只今早急に蔵を作らせておりまする」
「蔵が足りなくなるほどの米が取れるとは、恐ろしきは未来の米よ」
「真にございますな。米が足りぬことは多くあれど、蔵が足りぬは初めてでございまする」
それはそうだろう。通常の3倍もの米が取れれば、当然年貢も3倍となる
その3倍の米を今までと同じ大きさの蔵に入れられるだろうか?
まあ、無理だろう
甲斐、信濃の城主達は皆、大量に取れた米の収納に四苦八苦していた
嬉しい悲鳴というやつである
そして、既に兵農分離で工作部隊と化していた銀次郎率いる大河組はというと
直江津から約20km、現在の妙高市新井まで来ていた
最初は1月に1kmのペースであったが、今では1月に3kmの道路を敷くことができるようになっていた
7か月で20kmである
これなら後2年くらいで海津城まで到達できそうだった
しかし、金が足りなくなっていた
10km道路を作るのに3億ポイント必要なのである
交易の税金を全て道路に投入する訳にもいかず、アスファルトなどの材料の購入費が足りないのだ
「そういえば佐渡の本間氏はどうなった?」
大河はすっかり忘れていた本間氏の状況を聞いた
「返答を引き延ばされておりますな」
と直江景綱が言った
「恐らく引き伸ばして援軍を集めようという魂胆かと思われまする」
と昌幸が言った
「それならば最後通牒を出せ」
「ははっ」
とその後、本間氏からの返答は服従せぬとのことであった
大河は諸将を集めて本間氏攻めのための評定を行った
「従わぬなら排除するしかあるまい」
と謙信が言った
大河は佐渡に渡るため船を集め始めた
結果、北国船4艘、安宅船4艘、関船20艘、小早20艘が集まり佐渡へ出港した
兵数は4000である
大河も安宅船に乗り込み出陣した
佐渡ヶ島が見えてくると、にわかに慌ただしく船に乗り込む本間兵たちがいた
本間海軍は総勢500
安宅船は1艘、他は全て小早である
大河も初となる海戦である
海戦が始まると双方とも小早が動き始めた
弓での応酬を始めるが、ポリカーボネートの盾を持つ上杉軍は被害が少ない
しかし、本間軍はそうではない
そこで本間軍は火矢を放ち始めた
そうなると上杉軍も船が焼け、被害が出始めた
しかし、多勢に無勢、本間軍は包囲され次第に追い詰められていった
本間軍の兵が矢でバタバタと倒れ始めた所で、本間軍は撤退を開始
戦は大河軍の圧勝であった
上陸した上杉軍は陣を張った
そこに佐渡ヶ島で情報収集を行っていた軒猿から連絡が入った
「どうやら、本間氏は蘆名、最上と結んだようです」
「なるほどな。それならば従属はしまい」
と謙信が言った
「最上が援軍の準備を進めておりまする」
「援軍が来る前に叩かねばな」
雑太城、河原田城、羽茂城を順に攻め立てた
流石に多勢に無勢、戦闘経験の違い、将の違い、装備の違いによりあっさり勝負は着いた
こうして、最上の援軍が出陣する間もなく佐渡ヶ島は武田家の手に落ちたのだった
そして、大河はまだ発見されていないはずの相川金銀山の場所を山師に教えた
その結果、すぐに金銀山が発見された
大河は、金山奉行に謙信の信頼厚い河田 長親を当て、金銀山の開発を進めるよう指示した
そして、佐渡には金山の他に金のなる木があることが判明する
それは、京から東北へ向かう船の通行税である
東北へ向かう船は、どの船も補給のため佐渡の港に寄っていたのであった
本間氏が武田家に従うのを良しとしなかった理由の一つにこの港の通行税があった
この通行税を武田家に持っていかれると本間氏は立ち行かなくなるのである
それは金山よりも重要な財源であった
これらを物にした大河は、やっと金の心配なく道路が作れると思った
しかし、大河にまたもや試練が訪れる
金銀山収益、港の収益の半分を納めよと信玄に言われるのであった
だが、ここで反発したりすれば、謀反を疑われる
大河は、平然と収益の半分を信玄に差し出した
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください
お気に入り登録、評価などをしていただけたら幸いです




