表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/77

7話 医者

趣味がてらに書いてみました

戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました

楽しんで頂けたら幸いです



寺に上がり信蕃を横たえると住職と1人の男が現れた


「どれ?怪我人はどなたかな?」


「こちらです。恐らく骨折したのだと思われます」


「ほう。あなたは医学の知識がお有りかな?」


と住職とは別の男が信蕃を診察し始めた


「あなたは?」

と大河が聞いた


「これは申し遅れました永田 徳本と申します」


永田 徳本

「甲斐の徳本」などとも呼ばれ、また「十六文先生」や「医聖」とも称された。諸国を巡り、安価で医療活動を行ったといわれる放浪の医者である

しかも、この時代としては驚異的な長生きをした人物でもある

徳本は1513年生まれであるから、この時点で52歳である。しかし、ここから更に60年以上も生きるのである


「これはご丁寧に。私は岩崎大河と申します。こちらは真田昌幸、寝ているのが依田信蕃です」


「なんと!もしや新しく国主となられた大河様?」

と住職が言った


「はい」


大河は、これまでの経緯を手短に話した


「なるほど。それならば暫くこちらでお休みくだされ」


「かたじけない」


診察を終えた徳本は見解を大河に言った


「骨折ですな。しかも少し骨がずれておりまする」


「どうすれば良いのです?」


「骨を戻します。痛みますのでこれを口に」

と布を信蕃を渡した


「それならば、局所麻酔を打ちましょう」

と大河が言った


「局所麻酔とは何ですかな?」


大河は徳本に麻酔の説明をした


「そんなものがあるとは!知りませんでしたぞ」


大河は局所麻酔キットを懐に出し、説明書を注意深く読みながら麻酔を信蕃に打った

そして、大河は信蕃の足をつつき麻酔がしっかり効いていることを確認した


「信蕃、足に感触があるか?」


「いえ、何も感じませぬし、動かせませぬ」


「効いてるな。徳本先生。どうぞ」


「承知致した」

と徳本は神業ともいえる手つきで足を元の位置に戻した


「ぐうっ」


と少し痛そうな声を一言漏らしただけで作業が終わった

その後、足を木と包帯で動かないよう固定して処置は終わった


疲労により寝付いた信蕃を残し、大河、昌幸、徳本は寺の外に出た


「大河様。あなたは何者でしょうか? その医学知識はとてもこの世のものとは思えませぬぞ」


「私は450年後から来た者です」


「な、なんと! まさか、その知識は450年後の物となりましょうか?」


「その通りです」


と突然徳本が土下座しだした


「大河様。その知識を教えて下さらぬか?」


徳本は自分の持つ知識だけでは救えない患者が沢山いることに忸怩たる思いでいた


「徳本先生。私とてそれほど詳しい知識はありません。その代わり本を差し上げます」


大河は内科、外科など重要な項目の医学書を数冊出した

それといつでも大河と会えるように書状を書いて渡した


「もし、分からないことがあれば会いに来てください」


「おお~。大河様、これほど嬉しいことはありませぬぞ」


それから徳本は夢中になって医学書を読んでは、分からないことを大河に聞いていた

大河は、信蕃がある程度回復するまで徳本に付き合うことにした


――その頃


北条高広は焦っていた

大河がどこを探しても見つからないからだ


「どこにおる?」


「色々探しておりますが、見つかりませぬ」


「歩きではそう遠くへは行っておるまい。探せ! しらみつぶしに探すのだ!」


北条高広は直江津の町をしらみつぶしに探し回っていた

北条高広は大河のことをまだ良く知らなかった

まさか、自動車で柏崎の先まで行っているとは思わなかったのだ

大河は追ってくることも想定し車の轍が残らないように走っていた

その甲斐もあって追っ手は迷走していた


そして5日後

通信が取れない春日山城に何かあったとの報が武田家に流れた


「大河は無事か?」

と信玄が言った


「まだ行方が分かっておりませぬ」

と千代女が答えた


「打ち取られたという情報は?」


「それはありませぬ」


「なら、大丈夫であろう。これくらいでくたばる奴ではない」

と信玄は自分を安心させるように言った


「引き続き捜索を続けよ」


「ははっ」

と千代女が答え姿を消した


「高坂昌信に春日山城を攻めよと伝達せよ」


「ははっ」


また、大河の甲斐の家

「離して! 大河を探しに行く!」

巴が旅装束で大河を探しに行こうとしていた


連絡兵

「お待ち下さい。巴様が捕まったら、そちらの方が大変です」


「嫌、離して!」


「巴よ。落ち着け」

と昌景が現れ言った


「今、高坂昌信どのが軍を率いて春日山城に向かっておる。見つかり次第保護する所存だ。それに打ち取られたという情報もない。恐らく逃げたのだ」


「真にございますか?」


「大河のことだ。儂らにも想像の付かぬ方法で逃げたのだろう。だから信じて待て」


「はい」

と少し落ち着いた様子でペタンと座った


それから3日後


まだ直江津を探していた北条高広に緊急の知らせが入った


「なんだと?武田軍8000が海津城を出立し春日山城に向かっておるだと?」


更に悪い知らせが高広に届く


「謙信の軍勢12000も蘆名を蹴散らし、戻って来ているだと?!」


連絡兵

「ははっ」


「神保はどうしておる?」


「出立したようですが、松倉城(魚津)で待機中とのことでございます」


「間抜けめ! さっさと春日山まで来れば良いものを! それではこの策は破綻してしまうではないか!」



そう、誰が立てたかは不明だが、その策は蘆名が謙信を引き付け、その間に北条高広が謀反を起こし春日山城を占拠する

そして、神保が8000の兵でその後詰めに来て春日山城一帯を支配するというものであった

大河はあまり戦場に出たがらないと噂で聞いた策士が、あわよくば、大河を打ち取り武田家に打撃を与えようと練った策であった

失敗しても春日山城を占拠できれば大河の評判を落とせると計算していた


しかし、高広は手柄欲しさに春日山城を占拠せず、大河を追ってしまい無駄な時間を浪費した

その時間の浪費が全てを台無しにしたのであるが、高広はそれを認められなかった

今更、春日山城に戻り20000の軍勢相手に援軍の当てもなく籠城するのは自殺行為である


そこで、高広は許しを請う書状を謙信に出すことにした

これは誰かの策に惑わされたことであり本心ではないと

そういう趣旨の書状を出した


しかし、帰ってきた言葉は一言だけであった


「許さぬ」と


これを見た高広は絶望し富山へ落ち延びて行くのだった



それから4日後

謙信の軍勢が大河の滞在している寺に到達した


「あれは謙信どのの軍でございます」

と昌幸が言った


「おお~い」


「大河様。ご無事でしたか。この謙信、生きた心地がしませんでしたぞ」

と謙信が言った


「悪い。連絡手段が無くてな」


そう、トランシーバーのチャンネル設定も全部軒猿任せにしていたため、大河はその設定が分からなかったのだ

そのため、トランシーバーは出せても連絡ができなかったという落ちである

しかも、脱出時に信蕃が足を折ってしまって、あまり動かすことができなかったという事情もあった


「面目次第もございませぬ」

と信蕃が言った


大河達を見送りに住職と徳本が来ていた


「徳本先生。ありがとうございました」

と大河が言った


「大河様。こちらこそですぞ。この知識を有効に使わせてもらいますぞ」


そして大河は、そのうち直江津に医学図書館を作る旨を徳本に話した


「それはありがたい。是非ともお願いしたい」

と徳本は言った


そして大河達は、謙信と合流し春日山城へ帰り始めた

謙信は物見を出し、春日山城を探らせたが北条高広は既に逃げたとのことであった


帰り際、昌幸と信蕃と謙信とでジ〇ニーで軍勢の先頭に立ちゆっくり帰ったが、当然のことながら自動車について質問責めにあう大河だった

こうして大河達は無事春日山城に戻ってこれたのであった


そして、大河の無事を聞いた信玄と巴は安堵するのであった

初めて投稿致します

拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います

誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします

しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします

また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください


お気に入り登録、評価などをしていただけたら幸いです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ