7話 武田包囲網
趣味がてらに書いてみました
戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました
楽しんで頂けたら幸いです
躑躅ケ崎の館に使者が来ていた
小姓
「お館様。飛騨の江馬時盛どのから使者が来ております」
「父親の方だな? 分かった。会おう」
信玄は執務室に使者を招いた
使者は江馬時盛からの書状を持ってきていた
それは以前要請した出兵を促す内容だった
ここで一気に片を付けてしまおうという魂胆だろうと推測できた
信玄は評定に掛ける故、返答は少し待てと言い使者を帰らせた
そして、時盛の使者が帰った後、今度は江馬輝盛の使者が来た
小姓
「お館様。飛騨の江馬輝盛どのから使者が来ております」
「息子の方か。分かった。会おう」
信玄は執務室に使者を招いた
使者は江馬輝盛からの書状を持ってきていた
それは武田家に従属するという内容だった
信玄
「ふふ。これで飛騨も武田の物よ。時盛の使者を呼べ」
信玄は時盛の使者に武田に従属せよ、さもなくば従属した輝盛に加担するという内容の書状を渡した
それを受け取った時盛は武田に従属することを承諾するのであった
丁度その頃、武田家周辺の大名達は武田家の膨張に危機感を募らせていた
富山城の神保長職、会津にある黒川城の蘆名盛氏、小田原城の北条氏政、駿府今川館の今川氏真である
誰が暗躍したのかは分からないが、この4大名が中心となり武田包囲網が始まろうとしていた
1565年9月
大河の下に緊急の知らせが入ってきた
信玄の長男、義信の傅役である飯富虎昌、側近・長坂源五郎・曽根周防守らが信玄暗殺の計画を立て、それを飯富昌景が密書で信玄に知らせ発覚した義信事件である
「なんてことだ」
そう大河は、直江津を得たことで駿河方面への信玄の野望は一先ず延期されると思っていた
しかし、周りはそういう風には解釈しなかったのである
「義信様、なんて愚かなことを。あと10年もすれば後を継げただろうに。焦れている所を今川にそののかされたか」
事の始まりは東美濃地域で接した信長と信玄が同盟を結んだことにある
これはあくまで織田氏と武田氏の勢力圏が接して紛争が起こり始め、これが発展し全面戦争になるのを避けるために締結されたものである
その同盟を今川領への侵攻の前準備と捉えた今川氏と義信が危機を感じ計画したものだった
その計画が飯富虎昌の弟、飯富昌景にバレたことで頓挫したのであった
すでに飯富虎昌以下は謀反の首謀者として処刑され、80騎の家臣団は武田家から追放処分となった
飯富昌景は、この功績により虎昌の赤備え部隊を引き継ぐとともに、飯富の姓から山県氏を与えられて山県昌景と名を改めた
そして、信玄により武田家の家督相続は4男の勝頼に定められた
この事件の後、義信は正室である嶺松院と離縁となり、東光寺へ幽閉、嶺松院は今川家に返送された
しかし、これをきっかけに今川家が武田との同盟の破棄を通告
これに呼応したかの如く北条も同盟の破棄を通告してきた
そして、今川氏、北条氏、蘆名氏、神保氏による武田包囲網が成立した
連絡兵
「殿、大変にございます!蘆名盛氏が北越後に侵入してきておりまする」
「なんだって?」
と大河が言った
大河はこの事態に謙信を活用した
「謙信、申し訳ないが蘆名盛氏を退けてくれ」
「ははっ。承知仕った」
これにより謙信は蘆名盛氏の討伐に派遣された
「謙信どのならば大丈夫でございましょう」
と昌幸が言った
謙信が蘆名盛氏の討伐に向かったその5日後
春日山城が手薄となっている所を襲った部隊がいた
昌幸
「殿、謀反にございます」
大河
「なんだって?!」
昌幸
「既に囲まれておりまする」
「謀反人は誰だ?」
「あの旗は北条高広でございましょう」
春日山城の周りを北条高広率いる1000の兵が囲っていた
現在春日山城の守りは200しかいない
囲っている兵を突破しての脱出は不可能であった
「かくなる上は潔く戦って討ち死に致そう」
と信蕃が言った
「信蕃、早まるな。悪いが守備兵に半刻だけ抵抗して、その後は降伏するようにと申し付けてくれ」
と大河は連絡兵に言った
「ははっ」
と連絡兵は走り去って行った
「さて、脱出するぞ」
と大河が言った
「如何して脱出するのでございますか?」
と昌幸が言った
「城は囲まれている。空を飛ぶしかないだろう。城の屋根に上るぞ」
「大河様。人は空を飛べませぬぞ?」
「大丈夫なはずだ」
昌幸と信蕃は、この絶体絶命の危機に頭が狂ったかと思いながら大河に付いて行った
3人は春日山城の屋根に登った
そこで大河はモーターパラグライダーを3つ出した
モーターパラグライダーとはスポーツ用に開発された滑空性能をもつパラシュートで空に浮かび上がり、動力となるプロペラ付きのエンジンで空を飛ぶスカイスポーツである
「これを取り付けてくれ」
と大河はモーターパラグライダーの取り付け方を見せながら教えた
「大河様。これは?」
と昌幸
「モーターパラグライダーという空を飛ぶ道具だ」
「なんと!未来では人が空を飛べまするか!」
昌幸と信蕃は驚きながらも大河を見ながらモーターパラグライダーを取り付けた
そして、大河は昌幸と信蕃の取り付けを確認した後、モーターパラグライダーの飛び立ち方と扱い方を説明した
その後、3人は天守閣の屋根の頂上から向かい風を捕まえ、風に乗ってモーターパラグライダーで飛び立った
「おお~。こえ~」
と大河
「ほほ~。これは楽しいですな」
と昌幸
「お待ち下され~」
と信蕃
モーターパラグライダーで3人が飛び立った後、言付け通りに守備兵たちは降伏した
北条高広
「どけ!大河を打ち取るのだ!」
北条高広は部下を連れ天守閣へたどり着いた
しかし、そこは既にもぬけの殻になっていた
「大河を探せ!」
「どこにもおりません」
「そんな馬鹿な!空でも飛んでいったとでも申すか!」
「あ、あれを!」
と高広の部下が空を指さした
そこには直江津の海岸に向かって大河達3人のモーターパラグライダーが滑空していた
「なんじゃあれは?」
「分かりませぬ。しかし、あれが大河なのではありませぬか?」
その時、高広の脳裏に仏の化身と仏罰という言葉が浮かんだ
その悪寒を振り払い高広は言った
「逃すな!追え!追え!」
高広率いる1000の兵が一斉に春日山から直江津へ向かっていった
直江津の海岸に到着した大河達3人はモーターパラグライダーの速度を緩めて砂浜に着地した
「良し、逃げるぞ」
「ははっ」
「某を置いて逃げて下され」
「どうした?」
と大河が信蕃に駆け寄る
そこには信蕃が左足を抱える姿があった
大河が信蕃の足を見ると、どうやら着地に失敗したらしく左足が折れていた
「この足では逃げられませぬ。某を置いてお逃げ下され」
「馬鹿野郎! 置いていける訳ないだろう!」
3つのモーターパラグライダーを査定で回収し、大河はオフロード自動車ジ〇ニーを出した
ドンという音を立てて自動車が現れた
「昌幸、信蕃を後ろに乗せるぞ」
「ははっ」
信蕃をジ〇ニーの後部座席に乗せ、大河は運転席、昌幸は助手席に乗り込み急いで出発した
大河は謙信と合流した方が安全だろうと考え、進路は東に向け海岸線を移動していた
暫く走り柏崎を抜けた所で寺を見つけた
流石にこれだけ走れば追いつくのは難しいだろうと寺で停車
寺の住職に休ませて欲しいとお願いをした
住職
「そちらは御怪我をなされておるのですかな?」
大河
「そうだ」
「それならばこちらでお休みください。丁度お医者様もいらっしゃっておりますれば」
と3人は寺で一息つくのであった
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください
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