2話 上杉家内情
趣味がてらに書いてみました
戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました
楽しんで頂けたら幸いです
謙信との交換で謙信の養子となっていた景勝が人質として海津城に到着した
「不甲斐ない父を許せ」
と謙信は景勝に言った
「これも戦国の世のならいであれば是非もありませぬ」
と景勝は言った
謙信、大河、昌幸、信蕃とその配下200名が越後の春日山城へ出立した
春日山城の前には上杉重臣たちが待ち構えていた
春日山城は新潟県上越市にある春日山の山頂に築かれた山城で、山の周りを天然の要害に囲まれた難攻不落の城である
重臣たちは武田家に下ったとことは承知済みではあるが、納得はしていないようであった
「殿。お帰りなさいませ」
と直江景綱が言った
「そこに居るのが武田の間者ですかな?」
本庄繁長が言った
「本庄どの。控えよ」
斎藤朝信が嗜めた
「繁長よ。この方は仏の化身だ。不遜なことを申すと仏罰が下るぞ」
「はは。馬鹿な」
「本当ぞ。弥太郎が何もできずに斬り捨てられておる」
謙信は弥太郎が仏を害そうとしたため仏罰に遭ったと思っていた
諸将
「「な!なんと!」」
「強そうには見えぬが・・・」
と繁長
そう、大河は実際には強くないのである
あの時は、丸裸にされたことによる驚きと、何が起こっているのか分からない恐怖により硬直していたから勝てただけである
出迎えの後、全員が大広間に入った
そこで、大河はいつものように末席へと動いた
それを見た上杉将らは、何をしているんだとハテナを浮かべた
「大河様。こちらにございまする」
と昌幸が言った
「え?」
「国主となられましたので、こちらにお座りくだされ」
と上段にある上座を指さした
「そうだった。つい」
大河は武田家での評定でいつも最後の方に座っていた
その癖が出たのである
大河は、上段に上がり上座に座った
「仏の化身と言われておる岩崎大河と申す。よしなに頼む」
「信じられませぬ。仏の化身は殿ことでありましょう?」
北条高広が言った
諸将もそうだそうだという雰囲気である
「ならば、これを見よ」
と大河は言い、大量のまぶたが一斉に見開かれるいつものパフォーマンスを披露した
「ほ、本物じゃ!」
と直江景綱が言った
「ははは。これは勝てぬ訳じゃ」
と柿崎景家が言った
「あの時の煙と雷も御身のお力でございますか?」
と甘糟景持が聞いた
「そうだ」
と大河は答えた
「ははは。なんと我らは仏の化身と戦っておったのか」
と甘糟景持が乾いた笑い声で言った
一部の将を除いて疑いが解けたらしく
「我ら一同、御身にお仕え致します」
との言葉を引き出せた
こうして、上杉諸将を見事丸め込んだ大河はホッと安堵するのだった
評定が終わり
「馬鹿な!何かカラクリがあるに違いない!」
「そうじゃ。信じられぬ」
「儂が化けの皮を剥がしてくれよう」
と一方で不穏な相談をする者たちも居た
――次の日
大河は、春日山城で今後の方針を決めようと、越後の収入と状況を確認していた
「大河様。これが越後の収入の資料でございます」
と直江景綱が資料を渡してきた
「感謝致しますぞ。景綱どの」
「大河様の配下でありますれば、景綱とお呼び下され」
「景綱。大儀であった」
「ははっ」
と資料を貰ったものの、文字が現代とは違うため読めないので、昌幸に読んでもらう
「とこのようになっておりまする」
大河
「なるほど。分かった」
大河は、もう1つのスキルであるネット接続で、既に越後の歴史を学んでいた
ネット接続は、202Xのインターネットを見るスキルである
去年の暮、原虎胤の病気を見た時に使い方が分かったのである
しかし、これをやっていると目線がウロウロしていてとても怪しく見えるらしく、巴からは「不気味」という大変貴重なお言葉を頂いた
それ以来、誰もいない方向を向いて瞑想の姿勢で行うことにしている
大河は、今年の農閑期は戦には行かずに、越後と信濃の間に大きな街道を敷くつもりだった
越後には、直江津と柏崎の港があるため、この地域は交易が盛んだ
その交易ルートを信濃まで広げることが当面の目標となる
信濃も山国であるため、人が移動するには細い山道を越えなくてはならない
それではいつまでも発展しない
また、米の収穫が去年と同じと仮定すると、道路建設のための人足用食料が足りなくなると思われる
その対策のため、ジャガイモの栽培は必須となる
しかし、この地域は全国でも有数の豪雪地帯
農閑期でも12月~2月くらいまでは雪でなにもできない
逆にこの期間は敵に攻められることも無いが、作業可能期間も短くなるのも難点である
後、信濃との交易を盛んにするためには、わざわざ信濃に行く理由を作らねばならない
これは後に海津城、高島城、高遠城、深志城の城主と相談する必要がある
「昌幸、信濃の特産は何があるんだ?」
「大豆と味噌と長芋でございましょう」
「他にはないの?」
「信濃に蕎麦がきというのはございますが、あまり一般的ではございません」
「それだ!蕎麦にしよう!」
蕎麦は現代でも人気の食べ物だ
戦国時代は主に蕎麦がきとして食べられており、なんと伊那地方の一部では既に蕎麦切りとして食べられていたとのことだ
江戸時代には蕎麦は人気食となるくらいだ、良い特産品になるはず
交易といえば、越後の地は青苧が取れる
これが京などで越後産の麻布として人気であった
謙信は、直江津、柏崎の港で行われる交易に税を掛けており、その額はなんと年間で4万貫だ
これだけあれば色々できる
後は、田んぼの開墾についてだ
現在の越後の収穫量は約40万石となっている
これが1604年になると45万石となる
最盛期の1831年になると114万石になる
越後はここまで増やせるということだ
だがそれには、信濃川流域の治水と湿地帯の排水が必要になる
現在の新潟市付近は戦国時代では湿地帯となっており、米を作るのにも大変な地域だ
戦国時代には、あまりこの地域の土地に価値を見出していない
それもそうだ、この湿地帯を田んぼに変えるには膨大な人数と年数が掛かる
これを行うにしても、平和になってからだろう
ということで、開墾は後回しにする
後は、佐渡ヶ島の金、銀山だ
本間氏を下さないといけないが、これがあれば相当裕福になる
なにせ、この時代にまだ発見されていない金山がある
本間氏はどう出るか?試してみるか
こうして考えると、謙信時代の越後は、交易の税と米で国を運営していると言って良いだろう
あれだけ戦の連続でも息切れしないのは、この交易の税のお陰である
信玄が欲しがる訳だ
越後は202Xでは穀倉地帯として有名だが、それは明治以降に信濃川流域の治水と湿地帯の排水で農耕可能な地域が増えたからだ
戦国時代は見る影もない
大河
「良し、方針は決まった。評定を開く。諸将を呼べ」
一刻後、諸将が大広間に集まった
大河
「今後の方針を伝える」
諸将が何を言い出すのか固唾を飲んで聞き耳を立てた
「越後は田んぼの更なる開墾が難しい。故に交易を増やすことで豊かにする」
「交易は既に行っておりまするが」
と景綱が言った
「交易は信濃と行うつもりだ。そのために街道を建設する」
「なんと!」
「信濃、甲斐と交易を増やし、その特産品を京などで売れば、更に豊かになろう」
「承知仕りました」
「後、佐渡ヶ島の本間氏に降伏勧告の使者を出せ」
「は?」
「武田家が越後を支配したのだ。武田家に服従するか、そうでないかを確認せよ」
「ははっ」
「後は、ジャガイモを植える」
「ジャガイモとは何でございましょう?」
「ジャガイモとはこのような食べ物だ」
と大河はジャガイモを出した
「見たことがございませぬ」
「それでは、馳走しよう」
と大河は言い。焼きジャガイモを諸将にご馳走した
「なんと美味い」
「これは美味しゅうございますな」
「これを田畑に植えよ」
景綱にやり方を書いた紙と種芋を渡し、後を任せた
内政官がいると楽ができるなと思った大河であった
――これと同時期、武田周辺の大名達に衝撃が走っていた
織田信長
「なんと!武田が上杉を下したと申すか!」
「ははっ。間違いございませぬ。仏の化身と称する軍師が下したとのこと」
「何奴じゃ?」
「今、調べておりまする」
「分かり次第、知らせよ」
「ははっ」
北条氏政・氏康
「なんと!上杉が下った?!」
「ははっ。大河という軍師が上杉を下したとのことでございます」
「大河じゃと?何者じゃ?」
「仏の化身と言われておりまする」
「そ奴の事を調べよ」
「ははっ」
江馬時盛
「上杉が下ったと?真か?」
「真にございます」
「良し、武田家に使者を出せ。援軍を頼むとな」
信玄は江馬時盛の要請で飛騨に援軍を出したが、謙信が川中島に進軍したことで直ぐに援軍を取りやめたのだった
そのため飛騨は膠着状態となっていた
江馬輝盛
「上杉が下った?!真であるか?」
「真にございます」
「これは不味いぞ。誰かある?直ぐに武田家に使者を出せ」
また、越中では謙信が下った後、椎名康胤と神保長職の抗争が激しくなっていた
しかし、一向一揆の支援を受けた神保長職が椎名康胤を倒したことで形勢が一気に傾き
神保長職が越中を手中に収めることになったのである
こうして周辺諸国の動きが激しくなるのであった
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください
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