27話 上杉謙信の恭順
趣味がてらに書いてみました
戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました
楽しんで頂けたら幸いです
これで2章まで完了です。
あまり戦いの描写には自信がありませんが、お楽しみ頂けたらと思います。
3章はこれから書き始めますので、お時間を頂きたくお願い致します。
上杉軍が逃げ始めた頃、落とし穴に落ちた謙信は自分の境遇を把握し始めた
「落とし穴に落ちたか。我もこれまでか」
と脇差住人広光を抜いて逆手に持ち替えた
「ふん」
という掛け声と供に脇差を自分の腹目掛けて振り下ろした
とそこにまたあの声が聞こえた
「査定」と
すると自分の手にあった脇差が消え去った
「何!?」
すぐ脇に落ちている愛刀:山鳥毛を取ろうとするも
またあの声が聞こえた途端愛刀までも消え去った
「何が起きておる?」
「引っ立てよ」
と信玄言った
抵抗は無駄だと悟った謙信は素直にお縄に掛った
信玄の前に引っ立てられた謙信は信玄を睨み付け
「何の用だ。殺せ」
と言った
信玄は
「何故負けたか分かるか?」
と言った
「分からぬ。我の勝ちは見えていた」
「そうよな。我が軍に仏の化身がおらねば、お主の勝ちであったろう。後ろを見てみよ」
謙信が後ろを振り向くと、煙と地面が抉れた跡が所狭しとあった
「何だあれは?」
「あれは、仏の雷の跡よ」
「馬鹿な!何故仏の怒りが我に向かうのだ」
「それは、お主の戦っている相手が仏の化身だからよ」
と信玄は言い大河に顔を向けた
謙信が大河に目を向ける
両名将に目を向けられた大河はたじろいだ
「そこに居るのが仏の化身よ」
謙信は思い出した。信玄の横にいた取り立てて特徴のない男を
とその時、大河の後ろから太刀を持ち突入してくる将がいた
鬼小島弥太郎だった
謙信を助けに来たのだ
「殿、助けに参りましたぞ。ずおりゃ~~~」
その刀は大河の頭上に煌めき、振り下ろされた
「なっ!」
突然の出来事に大河の体は硬直した
そして大河は、死を覚悟し目を閉じた
ズバッ
と血しぶきが噴き出した
自分の体に何事も起きていないことを不思議に思いながら大河は目を開けると
「大河どの。ご無事か?」
そこには原虎胤が大河をかばう姿が映った
虎胤は肩口から腹に掛けて切り裂かれていた
「なんのこれしき」
と刀を杖代わりにし、なおも敵に向かおうとする虎胤
「虎胤どの・・・」
「邪魔だ。どけ!」
と太刀を上段に構え、振り下ろした
そして虎胤は地面に倒れた
それを見た大河は怒りに頭が沸騰した
「よくも虎胤どのを!」
大河は弥太郎の太刀を睨み付けると
「査定」
と呟いた
そして、消える太刀
「なっ!」
「許可、査定、許可、査定、許可、査定、許可、査定、許可!」
兜、鎧、籠手、服が次々に消えていく
丸裸にされた弥太郎は恐怖を顔に浮かべていた
「査定」「拒否」
と虎胤の刀を査定で消してから、キャンセルし自らの手に取った大河は、恐怖に駆られた弥太郎にその刀を振り下ろした
弥太郎は、驚愕と恐怖の入り混じった表情を浮かべながら事切れた
弥太郎を斬った所で、我に返った大河は虎胤の死に涙した
「良くやったぞ大河。虎胤もお主を救えて満足していよう」
と信玄が大河の方に手を乗せ言った
それを見ていた謙信の目が最大限に見開かれていた
「ば、馬鹿な」
謙信は、自分の刀を消したのはこの男の仕業だと理解した。
そして、こんな御技ができるのは高位の仏しかあり得ない。謙信は、大河を仏の化身だと確信した
「だが、何故だ。何故、我の所でなく信玄の所に居るのだ」
謙信は自身の仏に対する信仰心には自信があった
そこに何かを覚悟した大河が
「謙信公。貴方は義に厚く、盟友の危機を救いながらも対価を求めない。それは立派な行動です。しかし、それは同盟している大名から見た評価でしかありません」
と言った
「では、民から見たらどうでしょう?成果のない関東への出兵や対価のない盟友への援軍。それはいつまでも暮らしが豊かにならず負担が増えるばかり。そのような男に仏の加護が来るとお思いですか?」
「むぅ」
「翻って信玄公は、領土を広げ、開墾、治水、街道の開発、貨幣制度の制定など民のために尽力されております」
「領土を広げず負担を増やすばかりの謙信公と領土を広げ民へも尽力をする信玄公。どちらが多くの人を救おうとする仏の御心に沿っているでしょうか?」
と大河は言葉を一旦止め、語気を強めて言った
「領土を広げ、天下を統一し太平の世を作る。これが民の最も望むことでございましょう。それを為すのが真の救済ではありませんか!」
謙信は、小義に囚われ大義を為さずにいるから仏の加護がないのだと言われ、ぐうの音も出なかった
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史実を見ると謙信は普通の戦国大名だったようなので、この指摘は当てはまらない気はしますが
これは物語なのでスルーください
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「ですが、まだ間に合います。貴方には太平の世を作る力があります。その力を私にお貸しください」
と大河は謙信を勧誘した
だが、謙信はうんとは言わなかった
その後、謙信は海津城に運ばれ監禁された
数日後
夜も更けてきた所に、謙信がいる監禁部屋の外に軒猿の忍びが現れた
「殿。ご無事でしたか」
「この状態を無事と言うのならばな」
「ここを抜け出し、春日山へ参りましょう。我らがご案内致しまする」
「だが、ここを抜け出した所で、また仏と戦わねばならぬ」
「仏?」
「そうだ。武田軍には仏の化身が居る」
「そんな馬鹿な」
「実際に見て確信したのだ。お主も見たのだろう?仏の雷を」
「あの破裂は仏の化身の力だと?」
「そうだ」
「では、どうするのでございますか?」
「仏の化身に下ろうと思う」
「されど、関東管領として関東に号令を掛ける殿の夢はどうするので?」
「そうなのだ。上杉憲政どのとの約定を違える訳にもいかぬ」
それから暫く後
謙信から大河に会いたいとの依頼があった
大河は謙信の居る場所に向かった
「仏の化身どの。ご労足痛み入る」
「大河で構いませんよ」
「大河どの。御身と供に行きたいのは山々なれど、上杉憲政どのとの約定を反古にすることもできぬ」
「約定とはどのようなことでしょう?」
「関東管領として関東に復帰し号令を掛けることよ」
「な~んだ。そんなことですか」
「そんなこととは?!」
「それならば、信玄様の下で関東管領として働けば良いじゃないですか」
「はぁ?」
と謙信はあっけにとられた
「どちらにしても、今の現状では関東管領は有名無実。関東に勢力を保持しなければ意味がありません。ですから、信玄公の下で働き関東に領地を得た時、そちらに転封させてもらえば良いのではありませんか?」
「まさか、そんなことができるのか?」
「ですから、信玄様に恭順の条件を出すのです。恭順するから関東に領地を得たら、そちらに移転したいと」
「な、なるほど」
こ、これが仏の化身の考え方かと驚くのであった
大河がこう考えたのも、織田家がそうだったからである
戦線が拡大し、自分の領地から遠く離れた場所が最前線となれば、戦線の近くに本拠を変えざるを得なくなるのだ
今はまだ領地が広くないから、本拠地を変える必要がないだけである
だが、大河は失念していた
関東管領の方が甲斐守護よりも室町幕府上の地位が高いということに
だが、そこは実利を重要視する信玄、あまり問題は起きなかったのであった
その後、謙信は信玄に恭順する旨を言った
「だが、条件がある。我らの将兵が養えるだけの関東の地を得たならばそこに移転させてもらおう」
と謙信は言った
「ふむ。良かろう」
「まだだ。もう1つある」
「なんだ?」
「我も我が将兵もお主の下には降れぬ。だが、大河どの下であれば可能だ」
「ほう。そういうことか。良かろう。許す」
信玄は、労もなく越後1国を得れるならばと承諾した
こうして、上杉謙信と越後1国を得るのであった
2章完
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください
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