21話 輿入れ品
趣味がてらに書いてみました
戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました
楽しんで頂けたら幸いです
1563年5月
大河は、三条の方から呼び出された
「大河、参上致しました」
「よう来た。この度、3女の真理姫が木曾義昌どのに輿入れすることになっての。その輿入れの品として何か特別な品を用意できぬかと思うて、そちに来てもらったのじゃ」
「どのような品がよろしいでしょうか?」
「未来の化粧道具が良いと思っておるが、どのような物があるのか聞かせてもらいたのじゃ」
と興味津々で聞いてきた
「はっ。俺も男ですので、詳しくは知りませんが、概要だけでしたらお話し致します。まず、鏡のある場所に移動し、かくかくしかじか」
「ほう、未来ではファンデーションなるものを使っておるのかえ?白粉は使わぬのかえ?」
「はっ。白粉は鉛という毒が使われておりますので、禁止となり使われておりません。尤も全く使われていない訳ではありません。一部の芸人が毒の入っていない白粉を使っております」
「なっ、なんと。白粉には毒が入っておるのか?」
「はっ。この時代の白粉には毒がございます。赤ん坊の死亡が多いのも白粉が原因のうちの1つと言われております」
「そ、それは、未来の知識かえ?」
と三条の方は自分の肌に塗られた白粉を見て震えた
「はっ。その通りでございます」
「相分かった。それならば、まずその毒の入っていない白粉を納入してたもれ」
「はっ。承知致しました」
「それと、鏡のある場所と申したか?鏡とは手鏡のことではないのかえ?」
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この時代の鏡といえば手鏡である
青銅で鋳造した板に水銀でメッキをして、鏡面を磨きピカピカにした物を鏡として使用していた
ガラスを使用した鏡は明治以降に海外から入ってくるのを待つ必要がある
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「手鏡もございますが、屋敷には大抵大きな鏡がございます」
「そ、その大きな鏡は出すことができるのかえ?」
と興奮気味に三条の方が言った
「はっ。できますが」
「代金は支払う故、出してたもれ」
「そうしましたら、真理姫の輿入れ品として良さそうな品を見つけましたので、お出ししましょう。大きい物ですので、置く場所を指定ください」
「ならば、そこの壁に置いてたもれ」
「分かりました」
大河は、いつものように適当な呪文を唱え高級な木材を使用した3面鏡ドレッサーを出した
ドスンという音がして、3面鏡ドレッサーが出現した
高さ160cm、幅80cm、奥行き40cmの洋風、椅子付きドレッサーである
「なっ、なんと。噂に聞いておったが誠であったか」
そう、大河はうっかり三条の方の前でスキルを使ってしまったが、三条の方は大河のスキルを初めて見るのだった
だが、三条の方は大河のスキルよりも3面鏡ドレッサーの方に興味があるらしかった
「これはどう使うのかえ?」
「はっ。ここら辺は全て引き出しとなっており、化粧道具を入れておく場所となっております。また、ここを開きますと3面の鏡が現れます。この椅子に座り、化粧を」
「なんと綺麗に映る鏡よ‼素晴らしい!素晴らしいぞ大河!むっ、ここに化粧ムラがある。ここもじゃ」
と三条の方は大河をそっちのけで自分の化粧具合を確認し始めてしまった
「三条の方、如何でしょうか?」
「ゴホン。大河よこれは素晴らしき品じゃ。これを真理姫の輿入れの品としよう」
「はっ。お買い上げありがとうございます」
「所で相談なのじゃが、これと同じものはまだあるのかえ?」
「ございます」
「ならば、もう1つ出してたもれ」
「はっ。承知致しました」
ドスンという音がして、3面鏡ドレッサーがまた出現した
「フフフ。素晴らしいぞ。フフフ、これはわらわの物じゃ」
とニンマリする三条の方であった
「毎度ありがとうございます」
と大河は新たな商売のネタを得られてニンマリするのであった
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
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