表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/77

20話 塩座

趣味がてらに書いてみました

戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました

楽しんで頂けたら幸いです



4月になってジャガイモを植える時期となった

大河は信玄にお願いし、以前とは別の畑を借りた。ジャガイモには連作障害があるからだ

以前使用した畑には枝豆を植えて、輪作で畑の状態を整えることにした

そして、新たな畑には石灰によるPHの調整と肥料を撒いておき、ジャガイモを植える準備を整えた


さて、問題は半分以上は使ったとはいえ、まだまだ残っているジャガイモの処分をどうするかであった

種芋に使うのは100tもあれば十分だろう


そこで大河は、ジャガイモを領民に配ろうと思いついた

というのも、この時期は米が足りなくなって死亡する民が増え始める時期だからだ


そこまで考えた所で、ふと大河は気付いた

そうジャガイモを食べる時には、塩が必要であると

塩が取れないこの国で600tものジャガイモを一気に放出したら、間違いなく塩が足りなくなる

その対策のため、大河は塩座に出向いた


「すみません。大網屋の大河と申します。塩座の座長へのお取次ぎをお願いできますか?」


小姓

「お待ちください」

と座長を呼びに行った


暫く待つと塩座の座長が現れた

「塩の管理を任されておる清兵衛と申す」


「大網屋の大河と申します」


「それで、”武田家のお抱え商人である大網屋”がうちに何の御用ですかな?」


「儲け話があります」


「ほう、ここ十年ほど塩の需要がほぼ一定のこの国で儲け話があると?」


「はい、あと10日もすれば塩の需要が大幅に増えます。ですから塩の輸入を増やしてもらえないかと」


「大河どのと言いましたかな?」


「はい」


「余計なお世話ですな。何故、私がそのような博打を打たねばならぬのです?」


「・・・」


「それでは、お帰り下さい」


「清兵衛どの。それでは、塩座の塩が全て無くなった時には、大網屋で塩を売ることを許可して頂きたい」


「分かりました。それは承諾しましょう。そんなことにはならぬでしょうからな」


大河は清兵衛と”塩座で塩が無くなった時のみ塩の商売をしても良い”という証文を取り交わした


それから5日後、ジャガイモを畑に植え終えた大河は、蔵に残った全てのジャガイモを民に放出した

そうなると、ジャガイモを貰った人は当然塩を使うため、次第に塩が欲しくなっていく

当時は塩1升で4文とそれほど高くないため、皆が購入しに行った

その数3万人以上

10日後、清兵衛の店の前には人だかりが出来ていた


農民

「何だと?塩が無い?」


店の番頭

「すみません。もう在庫がないのです。別の店にお回りください」


「あのな~、俺は別の店からここならあると聞いて来たんだぞ!」


「残念ながら、もう蔵にもないのです」


別の農民

「おい、大網屋という店には塩があるってよ」


清兵衛

「!?」


農民たち

「おお~、大網屋だな。よし行くぞ」


清兵衛は農民たちに紛れて大網屋に向かった

そこには想像を絶する人だかりが出来ていた


大河

「塩は沢山ありますから、押さないで順番に!」


清兵衛は、大河の助言に耳を貸さなかった自分に苛立ちを覚えた

とそこで逆転の案が閃いた


清兵衛は大河に近寄って話しかけた

「大河どの。私が御店の塩を全て買い取りましょう。塩は我ら塩座が売るべき物と決まっております故」


「ほ~。清兵衛どのは証文のことを忘れておられるのですかな?」


「証文とは何の事ですかな?私は知りませぬぞ」


「ほ~。では私を騙したと?」


「なんの事か分かりませんな」


「ほ~。これは信玄様に話さねばなりませんなぁ。塩座の座長は詐欺を働く輩であると」


「はっ。何を、馬鹿馬鹿しい。お主に何の力があると言うのだ。お抱え商人風情が調子に乗りおって」


清兵衛は、お抱え商人と武田家の繋がりよりも、塩座と武田家の繋がりの方が大きく強いということが分かっていた

これまで何人ものお抱え商人を座の力で潰してきたため、大河も同様に潰せると思っていたのだ


「これは申し遅れました。私、武田軍の”2大軍師の1人、仏の化身”の大河と申します」


「はっ?」

清兵衛があんぐりと口を開けた

清兵衛は噂に聞いていた

武田軍に仏の化身と呼ばれる凄腕の軍師がおり、その軍師が箕輪城を1人の犠牲も出さずに落としたという話を

そして、信玄の信頼が厚い人物であるとも

ただそれが、目の前の男だとは思ってもみなかったのである


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


因みに仏の化身と名乗れと言ったのは信玄である


「上杉謙信が己を毘沙門天の化身とうたっておることは知っていよう」


「はっ」


「あれは、自分を戦いの神、毘沙門天の生まれ変わりと喧伝しておる。それが戦場での才と相まって、奴の求心力となっておる。ならば、お主もその才をより効果的に利用すべきと思わぬか?」


「それが仏の化身ということでしょうか?」


「そうだ。その能力を仏の力と言えば、お主を仏と見てもらえ易くなろう」


「それで、名声と求心力を高めるということでございますね?」


「そうだ」


という経緯である


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「塩座の座長が私利私欲に塗れた詐欺師となれば、塩座は潰さねばなりませんなぁ。丁度良い、これを切っ掛けに座を全て廃しますかね」

大河は、川越のこともあって座に良い印象がなかった


「お待ちください。それは何卒、何卒ご勘弁を」

と清兵衛は顔を真っ青にして言った


「ならば、この塩の販売は問題ないということで?」


「はっ、はい。問題ありません」


「良し」


「すみませんでした。この度のことは何卒ご容赦を」


と僅かな諍いは起こったものの、大量の塩を販売したことで大河は大儲けをしたのであった


塩の販売による儲け560貫



所持金

2154万ポイント、695貫500文



初めて投稿致します

拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います

誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします

しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします

また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください


お気に入り登録、評価などをしていただけたら幸いです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] とりあえず突如始まる台本形式風は微妙だから止めたほうが良いです。
[一言] ジャガイモに当然塩がいる、とは何百年後の感覚で博打してるのか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ