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18話 箕輪城攻略

趣味がてらに書いてみました

戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました

楽しんで頂けたら幸いです



大した被害もなく3つの城を落とした武田軍は、箕輪城に進軍した


箕輪城は、河岸の段になっている丘に曲輪が配された大型の平山城である

城の西には榛名白川、南には榛名沼があり、両者が天然の堀を形成していた


長野業盛は遠くに見え始めた武田軍を睨み付けた


連絡兵

「お知らせ致します。松井田城、安中城、倉賀野城が落城致しました」


業盛

「馬鹿な、早すぎる」


業盛は武田軍出陣の報を受けていたが、それからまだ10日程しか経っていない


重臣

「しかし、武田軍がここまで進軍しておるということは、恐らく事実かと」


業盛

「ここを死守せねば、あの世で父に会わせる顔がない。全軍配置に付け!なんとしても城を守るのじゃ」


「ははっ」


箕輪城付近に到着した武田軍は陣を張り、物見を送って評定を行った


武田兵

「物見からの報告では、箕輪城の総兵数は1500程度とのことでございます」


「箕輪城は堅城、1500と言えど落とすのは至難だ。どうやって攻めようか」

と信玄が言った


「力で攻めるしかありませぬ」

と幸隆が言った


200名の盾兵は今回はお役御免となった

間口の広い箕輪城は、盾があまり意味がないからである


「全軍、箕輪城を攻め立てよ」

と信玄の号令が発せられた


力攻めを始めた武田軍であったが、長野兵は精強だった

上泉信綱を始めとする長野16槍が奮戦し武田兵を寄せ付けなかった


信玄

「むう。流石に一筋縄ではいかぬな」


幸隆

「お館様。そろそろ退きましょう」


「分かった。全軍退け」


ーー5日目


5日目が終わり武田軍の被害が目立ち始めた

敵方は被害が少なく、まだまだ意気軒昂である


連絡兵

「お館様。上杉謙信がどうやら援軍の準備をしている模様です」


幸隆

「まずいですぞ。謙信めがここへやってきたら勝ち目はありませぬ」


信玄

「春日山からここまで、雪が残る三国峠を越えなければならぬ。猶予は10日ほどか」


信玄は暫く思案し

「大河をここへ呼べ」

と言った


「ははっ」


連絡兵が懐からトランシーバーを取り出すと10㎞離れた連絡兵に通信を始めた

そう、信玄はトランシーバーを甲府までの連絡網として使用することを思い付いていたのだ

ここからだと甲府まで早馬でも3日は掛かる距離である

それが、2時間ほどで甲府の大河まで連絡が行った


「大河どの。お館様がお呼びです」

と連絡兵が大網屋に居た大河に呼びかけた


「お館様はもう甲府にお帰りですか。早いですね」


「いえ、現在は箕輪城前におわします」


「えっ?まさか、箕輪城に来いということですか?」


「はっ。そうするようにという下知でございます」


「な、なんてこった」

大河は頭を抱えた


丁度そこに、大河を連れてくるようにと命令を受けた山県昌景が現れた

「大河よ。箕輪城に行くぞ」


大河は、逃げ道を塞がれ、断ることができない状況だということを悟った


「わ、分かりましたよ。行きます」

{仕方がない。これが戦国の世だ。覚悟を決めろ大河!}

大河は戦に行く覚悟を決めたのだった


「早馬を使い4日の間に来るようにとのご命令でございます」

と連絡兵が言った


「明朝、出立するぞ」

と昌景が言った


明朝、昌景の屋敷に大河は到着した


「大河よ。また、奇妙な恰好よな」

と全身武者鎧姿の昌景が言った


大河の姿はというと、ヘルメットにライダースーツ姿であった

そう、大河はまだちゃんと馬に乗れないのである

そのため、馬ではなくバイクで行くことにしたのだった


「昌景どの。今回は馬ではなくバイクで行きましょう」

と大河は言った


「バイクとは何だ?」


「これです」

と大河はホ〇ダの250ccオフロードバイクを出した


ドスン


「な、何だこれは?」


「未来の馬みたいな物です。俺の後ろに乗ってください」


大河はバイクに跨って言った

昌景は装備を整えると大河の後ろに乗った


「しっかり掴まっていて下さいよ」

というと大河はバイクを走らせた


バイクが町中を疾走する


「馬の駈足より早いぞ!」


「なんの、こんなの序の口です」


甲府の町を出た大河はバイクのスピードを上げる

時速60kmで街道を走っていくと


「馬など比べ物ならぬほど早い!」

と昌景が言った


「しかも疲れませんしね」


「なんと!疲れぬのか!?」


2時間ほどで下諏訪まで来た


「少し疲れました。休みにしましょう」

と大河が言った


「何という早さだ。まだ1刻だというのに下諏訪だと?あり得ぬ」

と昌景は驚き慄くのであった


15分ほど休憩すると大河達はまたバイクで移動を開始した


「ここからは山道なので、さらに時間が掛かります」


4時間ほど走った所で軽井沢宿に到着した


「山道はやはり疲れますね」

と大河はさも疲労困憊という風で言った


昌景はというと、何がどうなっているのか混乱しているようであった

「馬鹿な。未来の馬は、全力疾走を3刻続けても疲れぬとでも言うのか?」


「全力疾走ではないですけどね。全力の1/3くらいです」


「何!あれで速歩だと?」

と昌景は考え込むのであった


「4日以内とのことなので、今日は休みましょう。明日の朝四つには到着しますよ」


大河達は宿に泊まり夜を過ごすのであった

念のため、盗まれないよう査定でバイクを隠しておいたということを追記しておく


翌朝


「さあ、行きましょう」


大河と昌景はバイクに跨り箕輪城に向けて移動を開始した


大河の予言通り、朝四つ頃箕輪城前の武田軍の陣に到着した


「お館様。只今参上致しました」

と大河は言った

昌景も一緒だ


「早いな。何をした?」

と信玄が面白そうに聞いた


「はっ。未来の馬にて移動してございます」


「ほう。未来の馬か。委細は後程聞くとして、今はこちらだ」

と依然として進展がない箕輪城攻めを指し示した


「この城を攻略せねばならん。しかも後7日の内にだ」

と信玄が言った


「なぜ7日以内なのですか?」

大河が聞いた


「謙信が援軍に来るからだ」


「なるほど・・・」


「大河よ。お主ならどう攻略する?」


大河

「・・・・・・」


武田軍が攻撃している所を見ても、塀と堀が邪魔で有効な攻撃ができていない

武田兵が塀を登っても、すぐにはたき落とされるといったことを繰り返している

また、門への攻撃でもなんとか門にたどり着いても直ぐに弓矢や石で蹴散らされる


期待に満ちた視線を送る信玄と幸隆

そう期待されてもと大河は視線を泳がせた

直ぐに城を攻略する案を出せと言われても、何も浮かばないぞと大河は内心冷や汗をかいていた


「謙信に天守閣が燃えているという偽情報でも送るかの~。万が一撤退してくれるやもしれぬ」

と何気なく幸隆が言った


「疑問に思ったのですが、戦の時、なぜ天守を燃すのですか?」

ふと大河が聞いた


「それは、天守を燃やすことで敵兵の士気を下げ、抵抗を諦めさせることが目的よ」

信玄が答えた


「それならば、天守を燃やし、2の丸を燃やして、降伏を勧告しましょう」

と大河が言った


「しかし、どうやって天守を燃やすのじゃ?」

幸隆が言った


「それは、こうします」


「ほ~、なるほどのう。それならば、こうしてはどうじゃ?」


「流石は幸隆どの。そうすれば効果は倍増しましょう」

と幸隆と大河が策を話し合うのであった


評定が終わった後、幸隆が箕輪城の前に出て降伏を勧告した

「降伏せよ!業盛が切腹し、城を明け渡すのであれば、残りの者は解放しよう」


業盛

「ハハハ、馬鹿な事を。箕輪城は堅城、お主らでは落とせぬわ!」


「お主らは、仏の怒りを買ったのじゃ。直ぐにでも仏罰が降りかかろう」


「戯言を申すな、だれかあやつを射よ」


「ハハハ、降伏しなかったことを後悔するのじゃな」

と幸隆が踵を返した


そしてその日、武田軍は早々に兵を引き上げた


次の日の夜明け前、

ブーンと言う音が天守閣付近からした

そして、バシャ、バシャという音がした後、火の手があがった


モクモクと煙が上がり、それに気づいた業盛が

「火事じゃ、だれかある!火を消すのじゃ!」

と言った


しかし、火の手はどんどん大きくなっていき、手の付けられないほど大きくなっていた

そして、天守閣は炎に包まれた


なんとか逃げおおせた業盛は近習に聞いた

「なぜ火事が起きた!敵兵か?」


「いえ、敵兵は見ておりませぬ」


「誰か火を使ったか⁈」


「いえ、誰も使ってはおりませぬ」


箕輪城内部で揉めていると朝日が昇り、そして幸隆が現れた


「城を明け渡さぬから、仏罰が起きたのじゃ。さっさと降伏せい」

と言った


業盛

「ざ、戯言を」


長野兵

「ま、まさか・・・」


その次の日の夜明け前


大河からドローンの飛行訓練を受けた20名の兵が、白灯油が入れられたビニール袋をドローンに括り付けていた

そして、そのドローンを2の丸へと発進させる

闇夜に紛れて発進したドローンは、ブーンという音をさせながら2の丸の壁へと突進した

ドローンが壁にぶつかり、括り付けられたビニール袋の白灯油が壁に掛かる

それが18回続き、最後に火炎瓶を持ったドローンが壁にぶつかって白灯油に引火した

もうもうと上がる炎

その後、少し経ってから打ち上げ花火の花火玉を持ったドローンが炎の中に突っ込んだ

そして、爆発が起きた


ド~~~ン


業盛

「なっ何事じゃ!」


長野兵

「分かりませぬ。か、火事じゃ」


「何じゃと?早く火を消すのじゃ!」


「水を掛けても火が消えませぬ」


「馬鹿な・・・」


業盛は呆然と燃え続ける2の丸を眺めていた


長野兵

「儂は鬼火が二の丸へ突っ込むのを見たぞ。鬼火が二の丸に当たると、二の丸はすぐさま燃え上がったのじゃ」


「鬼火じゃと?仏罰じゃ。仏罰しかあり得ぬ」


恐怖に駆られた長野兵が逃げ始めた

そして、箕輪城には業盛とわずか100の兵だけが残された


「もはやこれまでじゃ。だが儂は武田には降伏せぬ」

と言い残し業盛は切腹して果てたのだった



こうして、武田軍は箕輪城を落としたのだった。史実より3年早い1563年のことである

そして、この世界の歴史が変わり始めたことを意味していた


その後、上杉謙信も箕輪城落城の報を聞いたのか春日山城へ帰還していった

信玄は、小山田虎満、小山田昌成親子をこの地域の抑えとして残し、自身は甲府へ帰還することにした

その帰還する途中で、大河は信玄と昌景にバイクのことを根掘り葉掘り聞かれるのであった


そして、甲府に帰った後、信玄に呼び出された


「此度の戦、誠に大儀であった」


「ははっ」


「これだけ被害が少ない城攻めは初よ。よって褒美に金50貫を与える」


「はは~。ありがたき幸せ」


と大河は戦働き(?)による褒美をもらうのだった


こうして戦いの場に出もしなかった大河の初陣が終わった

初めて投稿致します

拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います

誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします

しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします

また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください


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― 新着の感想 ―
[一言]  未来において発掘されたドローンの残骸・・・しかしそれは神の使徒としてある宗教に大切に保管されて日の目を見ることはなかった、やったね大河!未来人のことはばれてないよ!
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