17話 西上野侵攻
趣味がてらに書いてみました
戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました
楽しんで頂けたら幸いです
1563年2月、信玄率いる8千の軍が長野業盛の支配下にある安中、松井田城へ進軍した
大将:武田信玄
軍師:真田幸隆
将:小山田虎満、小山田昌成
松井田城へは中山道を通り片道約8日、その先の安中城へは2時間程の距離にある
「進軍せよ」
と信玄が言った
大河は戦に付いて行くつもりが無かった
そう、怖かったからである
当然である。まだ初陣すら済ませていない
「行ってらっしゃい」
と大河はどこか安心した様子で手を振って見送るのだった
「さ~て、今日は何をしようかな」
と気楽な大河だった
8日後
武田軍は松井田城に到着した
早速、陣を張り戦に備えた
松井田城は、碓氷峠の東にあり、東西に郭を連ねた連郭式の山城で、規模は300m以上の城である
本丸に続く道には全て空堀が何重にも掘ってあり、安易に軍が進めない構造になっていた
幸隆は物見を放ち敵情視察を行った
敵の数は500ほどだが、山城ということもあり道が狭い
過去に何度も攻めているが攻略はできていない
「今回は、どうする積りだ」
と信玄が幸隆に聞いた
「基本的には正面、東の道からの力攻めでございます。山城ゆえ道が狭い構造でございます故」
「西の山道から1部隊を回り込ませよう。そして囮として正面、東の道から攻め入り敵兵をくぎ付けにするのだ」
と信玄が言った
「しかし、西の部隊との連携は難し・・・・・・。流石お館様」
「そうだ。トランシーバーを使うのだ」
大河から軍の訓練の時に、連携がとりやすいようにとトランシーバーという道具を受け取っていた
充電式で強力な電波を発生し約10kmの範囲まで連絡が可能な道具だ
充電できるようにソーラーパネル付きポータブル電源も持参していた
、
「それならば、こういう策はどうでしょう?」
「ほう、それは面白い策だ」
幸隆は、あるものを小山田虎満、小山田昌成に配った
虎満、昌成
「これは何じゃ?」
「これはかくかくしかじかで」
と幸隆は作戦を伝えた
虎満、昌成
「相分かった」
「それではご武運を」
全ての兵が準備を整えた
「攻め掛かれ!」
と信玄が号令を出した
小山田昌成が正面の大手道から、小山田虎満が東の登城路から攻め入った
とそこで大量の石礫が降ってきた
敵将:安中忠政
「ふふ、バカどもが、石礫の餌食となれぃ」
兵が一斉に下に居る武田兵に向かって石を投げつけた
ガゴッ、ドゴッ、バコッと聞きなれない音がした
「弓で前衛部隊を倒すのじゃ」
ヒュン、ヒュン、ヒュンと空を埋め尽くすほどの矢が放たれた
ガンッ、ドッ、バコッと聞きなれない音がした上、悲鳴が1つも上がらなかった
「どうなっておる?」
安中忠政が敵兵を目を凝らして見た
「何じゃあれは?」
そこには200人ほどの武田兵が、体ほどの大きさの透明な盾を両手で持ち、矢を防御している姿が見えた
その透明の盾はポリカーボネート製の盾だ
その強度は銃弾すら跳ね返す
また、その大きさに対して軽量で150cmの大きさでも6kgほどしかない
しかも、透明であるため視認性も抜群に良い
そのため、攻撃を見ながら盾の位置を調整できる上、体全体を隠せるので防御が強固なのだ
「忠政様、弓が効きませぬ」
「もっと射るのじゃ。もっと射てあの盾を壊すのじゃ」
「はっ」
またもや空を埋め尽くすほどの矢が放たれた
ヒュン、ヒュン、ヒュン
ガンッ、ドッ、バコッ
それが5回ほど繰り返された後、
「忠政様、壊せませぬ」
「何じゃと。ならば、敵兵が掘に入った所で弓を射よ」
昌成
「敵の弓が止んだぞ。弓を射よ」
盾を避けると武田軍の弓兵が出てきて弓を射た
ヒュン、ヒュン、ヒュン
「「「ぐあ~~」」」
敵兵が慌てて隠れる
昌成
「良し、敵兵が隠れたぞ。進軍せよ」
武田兵が進軍すると、空堀が8つ見えた
1つの空堀は幅が5mほどである
昌成
「空堀を渡るのじゃ」
武田兵が空堀を渡り始めた
その直後、矢が降ってきた
ガンッ、ドッ、バコッ。 ドスッ 「ぐああっ」
数名の味方兵がやられた
代わりの兵が盾を拾い前に出る
そして、空堀を渡るとまた防御態勢になる
安中兵
「ま、まずいぞ。堀が渡られたぞ」
安中忠政
「もっと矢を射よ。渡らすな」
そして、夕刻になり、鐘がなり始めた
武田軍の撤退の合図である
昌成
「撤退せよ」
安中忠政
「良し、凌いだぞ」
次の日
信玄がトランシーバーで話しかける
「幸隆よ。どこにおる?」
幸隆
「はっ。あと少しで天守閣という所におりまする」
幸隆の部隊は木を体に括り付けて静かに天守近くで待機していた
「良し、ならば盛大にやるとしよう。虎満、昌成、盛大に攻め入るのだ」
虎満、昌成
「ははっ」
武田軍の攻勢が始まった
盛大に太鼓を叩き、攻勢に入ったことを敵兵にも知らせた
安中忠政
「来るぞ。防御を固めよ」
武田軍の先鋒部隊は、ポリカーボネートの盾を左腕に取り付けて進軍した
安中兵
「あの透明な盾を括り付けて攻めてきたぞ」
安中忠政
「矢を射るのじゃ」
ヒュン、ヒュン、ヒュン
ガンッ、ドッ、バコッ
安中忠政
「くっ。効かぬか。大きい石を投げよ」
ヒュン、ヒュン、ヒュン
ドンッ、ドッ、バコッ
安中忠政
「怯ませたぞ。もっと多くの石を集めるのじゃ」
安中兵が透明な盾を装備した武田兵に夢中になっている中、幸隆が天守閣にたどり着いた
幸隆
「突撃せよ!」
安中忠政は透明な盾の武田兵の対処に夢中で、脇から登ってくる幸隆に気付かなかった
そしてあっという間に、本丸へ武田兵がなだれ込む
忠政
「な!武田兵!」
幸隆
「敵将、ひっ捕らえたり」
忠政
「む、無念」
こうして松井田城攻めはあっけなく終わった
時間にして2日ほどであった
「幸隆よ。お主が、功第一位だ。大儀であった」
と信玄が言った
「はは~。ありがたき幸せ」
その後、松井田城の落城を知った安中城の安中忠成は信玄に降伏を申し出た
こうして、安中城まで攻略した武田軍は、2日後、倉賀野城を攻めた
弓が効かないポリカーボネートの盾と8000の兵で進軍してくる武田軍に倉賀野直行は恐れをなし、すぐに開城した
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
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