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4話 勝頼

趣味がてらに書いてみました

戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました

楽しんで頂けたら幸いです


最近、お読みくださる方が増えてきて、それに伴い感想を頂くことが増えてきておりますが

それに対応する時間があまりありません

申し訳ありませんが、少しずつ対応していきますのでお時間を頂きたく存じます


次の日の朝


「さて、出立だ」

と昌景が言った


今度は賊に襲われることもなく、順調に行程を進んでいた

難所の和田峠も無事通過し、下諏訪宿に到着した


そこで昌景が、今日は高島城に行くと言った


「(長坂)虎房様に挨拶をせねば、後で何を言われるか分かったものではない」

とのことのようだ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


長坂虎房は甲斐武田氏の家臣で譜代家老衆である

出家名は釣閑斎、武田晴信の乳兄弟ともいわれる人物である


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「分かりました、では、私たちは」

と大河が別行動をしたいと言いかけた時


「大河は高島城に付いてきてくれぬか?虎房どのに紹介したい。虎房どのは珍しい物がお好きでな。大河の品を見たがると思うのだ」


「分かりました、それならばお供します」


「それなら、私たちは上諏訪宿の観光に行くわ」

と巴が言う。今後は、甲州街道で甲府に行くため、上諏訪宿まで移動し、一番大きな旅籠で合流することにした


「分かった。それなら護衛に佐吉を連れていってくれ」


「分かったわ」


佐吉も巴と静の2人と居られるということで、喜んで付いていくようだ


高島城は、下諏訪宿とは諏訪湖を挟んで反対に位置する茶臼山にある平山城である

そこに昌景と大河は訪れていた


門番に昌景が名乗ると、門番は急いで虎房に取り次いだ


門番から許可が出たとのことで、表座敷に通された

そこには、城主の長坂虎房と話している武田勝頼が居た


勝頼が昌景を見ると

「昌景か、久しいな」

と言った


「これは勝頼様、お久しぶりにございます。どうしてこちらへ?」


「高遠城の城主となったのでな、虎房どのに支援を頼みにきたのよ」


「それは、誠におめでたき事にございます」


「それはそうと昌景よ、何しに来られたのじゃ?」

と虎房は言った


「甲府へ帰る前に、虎房様にご挨拶をと思いまして」


「そうか、それは大儀であった。それでそこに居る者は?」

と大河を指さして虎房は聞いた


「大河と申す、珍しい品を扱う商人でございます」


「大河と申します。宜しくお願い致します」


「ほう、珍しい品とな?どんな品じゃ?」

と興味を惹かれた様子で虎房は言った


早速大河は、みかんを10個ほど取り出した

「これはみかんと申す、甘い実でございます」


「ほう、これは見たこともない実じゃ」


「紀州産にございます。少し酸味がありますが、甘くて美味しゅうございます」


「どうやって食べるのじゃ?」


「このように周りの皮と薄皮を剥き食べます。薄皮は面倒であれば剥かずとも宜しいでしょう」

と大河は実演してみせた


「ほう、どれ食べてみようぞ」

と虎房が興味津々でみかんを手に取り、皮を剝き始めた

皮を剥いた時に出る強い柑橘系の香りを嗅いだ虎房が

「なんとも良い香りよ」

と言った


虎房はみかんの皮を完全に剥き終わると1房を口に入れた

「う~む、これは美味い。甘さが体に染み渡るようじゃ。ささ、勝頼様もお食べくだされ」


城主の許可をもらった勝頼も同じように皮を剥いて1房口に入れた

「なんと!これは美味じゃ」

と言った


「みかんは疲労回復に効果がございます。夏の疲れには丁度良いでしょう」


「昌景も食べてみよ」

と虎房が言った


「ありがたき幸せ」

と昌景が言い、同じようにみかんを食べた


「なんという美味ぞ。大河よ、こんな素晴らしいものを持っておったのか」


「なかなか貴重な品ですので、ここぞという時に取っておいた品でございます」


「ハハハ、このような珍しい品を貰えるとは思ってもみなかったぞ。大河よ、大儀であった」

ここぞという時が、自分だったということが嬉しかったのだろう。虎房は上機嫌であった。


「はは~。勿体なきお言葉にございます」


暫く、みかんを堪能した所で、勝頼が大河に話しかけてきた。

若く見えるので話掛け易かったのかもしれない。


「大河よ、お主、年は幾つじゃ?何処の出か?」


「はっ。齢16にございます。出は、武蔵国川越にございます」


「ほう、お主、16か。実は儂も同じじゃ」


「勝頼様も同じにございますか?」


「そうじゃ」

と2人は同い年ということもあり、気軽に話しを始めた

勝頼は上の立場の人間ということで、気軽に話ができる者がいないようだ


「大河は、南蛮の事を知っておるか?」


「はっ、ある程度は知っております」


「南蛮というのは何処のことじゃ?」


「はっ、南蛮と言いますのは海を越えずっと西に行った所にあります国のことでございます」


「それは天竺よりも遠いということか?」


「はっ、天竺より先にオスマン帝国というのがございます。この国は強大にして中央ヨーロッパ、北アフリカまで領土がございます。さらにその先には神聖ローマ帝国というのがございます。この国も強大で中央ヨーロッパにございます。その先にありますのが、イギリス、フランス、スペイン、ポルトガルでございます。この内、ポルトガルの事を一般的に南蛮と言っております」


「ほう、大河は、良く知っておるの~」


虎房と昌景の2人は聞き耳を立てていた。南蛮の事をほとんど知らなかったからだ。

日本の外にこんな国々があるということも初めて聞いたのだった


「それでヨーロッパとアフリカというのはどこじゃ?」


「はっ、それでは地図を書きましょう」

と大河は、簡単な世界地図を書いた

聞き耳を立てていた虎房と昌景もスススと地図を見に来た


この時代、地図は軍事機密であった。地形、道などを敵に知られると自分達の優位性が無くなるためである


「これが日本にございます」


「な、なんと小さい。本当にこれが日本なのか?」


「はい、これが日本でございます。この隣にありますのが、明でございます。そして、その先にあるこの尖った場所が天竺にございます。天竺の先にありますのがオスマン帝国でございます」

大河は地図を指さしながら説明していった

「そして、この大きな大陸がアフリカでございます。ヨーロッパというのはアフリカの北に位置する地域のことでございます。そして、ポルトガルはヨーロッパの端、ここにございます」


「なんと、世界の大きい事よ」

と勝頼が感嘆し言った


「日本など世界の中では小さき国でございます」


虎房と昌景も驚いているようだった


「大河よ、面白き話、大儀である。また、話を聞きたいものじゃ」


「勝頼様のご依頼であれば、いつでも参上致します」


「ハハハ。その時は頼むぞ」


「はは~」


時は過ぎ、大河と昌景は帰り支度を始めた

巴達と合流するため上諏訪宿に行くためだ


「それでは、失礼いたします」

と大河と昌景が言う


「大河、また会おうぞ」


「はっ、勝頼様もお達者で」


大河達は上諏訪宿に出立するのであった


お昼過ぎに上諏訪宿に到着した2人は旅籠で巴達と合流した

そして、今日の出来事を話し合うのであった


「今日は上諏訪の温泉に入ったのよ。大河のお風呂も良いけど、ここの温泉は別格ね」


「お肌もツルツルになったよ~」


佐吉も眼福だったのだろう顔が緩みきっていた


そこへ、昌景が佐吉に言った

「佐吉よ、今日の修練がまだぞ」


「へ?」


「へ?ではない、これから修練に参るぞ」


「ちょっと、昌景様、それはぁ~」


佐吉は、引きずられるように連れて行かれるのであった

初めて投稿致します

拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います

誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします

しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします

また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください


お気に入り登録、評価などをしていただけたら幸いです

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― 新着の感想 ―
[良い点] なかなか良い話である。 励むがよい。 (現代語訳 めちゃくちゃおもしろいです!一気読みしました! 続きが楽しみです!!)
[一言]  地図かぁ~世界地図なら無問題なのかな?でも日本も書いてあるしなぁ伊能忠敬がこぶしを握って走ってこないかな?
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