2話 出立
趣味がてら試しに書いてみました
戦国時代にネットショッピングを持っていたら、こうするだろうなと思って書きました
楽しんで頂けたら幸いです
時代考証をやり過ぎて、物語があまり進んでおりません。
そのため、ここからはほどほどにしようと思います
問題があるようでしたらご指摘下さい
物語にとって都合の悪いことはスルーするかもしれません、その時はご容赦ください
朝、旅装束となった大河達3人が、待ち合わせの茶屋に到着した
そこでは、既に昌景が待っていた
「山県様、遅くなり申し訳ございません」
「なに儂も今さっき来た所よ」
まだ残暑が厳しい季節である
更に、川越から甲府まで歩いて行くことを考えると、装備はしっかり揃えておかなければならないと大河は考えていた
外見は怪しまれないよう普通の旅装束である
但し、中身は違う
吸汗速乾のインナーに加え冷却ベストを仕込んでいた
これでだいぶ違うはずである
巴と静には、男のような恰好をさせていた
この時代は物騒であるため、女の恰好では襲われる可能性を考えてのことだ
撃退グッズの催涙スプレーも渡してある
万が一襲われたらスプレーを、顔に向けて噴射しろとやり方を教えておいた
大河自身は、念のためクロスボウを購入した
昌景が守ってくれるとは思うが、多勢に無勢となった場合、参戦するためである
クロスボウの練習は旅路の最中に行う予定だ
「大河よ、甲府まで行く道のりだが、大体30日ほどだ。川越から高崎、そして碓氷峠を超え、諏訪へと入る。そして、南下して甲府だ」
ルートは中山道である、とは言っても江戸時代に整備される前の街道である
熊谷>高崎>碓氷峠>諏訪>甲府と行く全行程30日程の行脚だ
現代と比べると難易度が高い旅といえる
しかし、街道沿いには宿場があり、金さえ払えば宿泊と食事が取れる
宿泊代は朝夕食付きで1泊60文、なので宿場から宿場へ移動すれば良いということになるため、命懸けというほどでもない
費用は宿泊代(昌景を除く)のみで60文x30日x3人=5400文、それ以外に難所で馬や人を雇うなどの金が掛かる
合計で6000文ほどであろうか
「大河、お主、荷物が少ないが良いのか?」
と商人としては、あまりに少ない持ち物に疑問を持っているようだ
「はい、大丈夫です。信玄様に持っていくお土産も持参しております」
「そうか、ならば出立する」
一行は、甲府へ出立するのであった
10日間歩き、旅にも慣れ始めた頃
「今日は碓氷峠を抜ける。峠道だ用心せよ」
急な峠道を歩いていると突然10人ほどの賊が道を塞いだ
「金目の物を置いていけ」
と頭目と思われる大柄な男が言った
周りの男達も古びた刀を手に持ち威圧してきた
「ほう、お主ら命が要らぬと見えるな」
昌景はゆっくりと刀を抜いて、賊の方へ歩いて行く
あまりの迫力に賊達が後ずさった
大河は背袋からクロスボウを取り出すと、賊に狙いを定めようとした
すると、横から1人の賊が飛び出してきた
どうやら、前方の10人で護衛を引き付ける作戦のようだ
「うおっ」
何とか賊の刀を避けると、態勢を立て直して賊を見ると、賊が古びた刀を両手で持ち、振り上げて向かって来ていた
賊が刀を振り下ろす
ドッ
大河は、咄嗟にクロスボウで受けた、とその際にクロスボウの弦が切れた
「くそっ、使い物にならなくなった」
「覚悟しろ」
賊が悲壮な顔をしながら刀に力を入れる
刀が大河の顔に近づいてくる
大河は力を込めそれを何とか止めた
{どうにかしないと。でもどうしたら}
大河は、焦っていた
と、そこで突然閃いた
そして、賊の刀を見つめると、とある言葉を言った
「査定」
すると突然刀が消えた
賊は、突然反発する力が無くなったことで、顔からクロスボウに突っ込んだ
「ぶべっ」
賊は鼻をクロスボウに思いっ切りぶつけて、痛みでうずくまった
「なんだ?どうなってやがる」
痛みを堪えながら顔を上げると、そこには自分の刀を手に持った大河が、自分に刀を突き付けていた
奇襲が失敗したのを見た10人の賊は、一斉に逃げだした
奇襲をした1人の賊は、ただの使い捨ての駒だったのだろう
昌景が戻って来ると
「煮るでも焼くでも好きにしろ」
と賊が観念したのか言った
「大河よ斬れ。そやつにもう戻る場所はない。戻ったところで斬られるだけだ」
と昌景が言った
「お前、名は?なぜ賊をやっている?」
「名前は佐吉。親から口減らしのため、捨てられた。それで彷徨っているところを賊に拾われた」
大河は賊を見て思案した
年は同じくらいか少し上、体は165cmくらい、畑仕事していたのか体は筋肉質で頭も悪くなさそうだ
「死ぬくらいなら、俺の部下にならないか?」
と大河は佐吉を勧誘してみた。男手が欲しかったという事情もあった
佐吉は、大河が付いていくに足るか人物か判断を迷っているのだろう、すぐにうんとは言わなかった。
「部下になるなら、手付としてこれをやる」
そう言って、楽市楽座でおはぎを買い、誰にも見えないようにして、手に出現させた
佐吉は、何をくれるのかと大河を見ていた。とその時、おはぎが何もない所から突然出現したのが偶然見えた。
それを見た佐吉は、目を大きく見開いた。そして呟いた。
「仏様・・・」
そう佐吉は、大河のスキルを見て、仏菩薩が衆生救済のために、種々に身を変えてこの世に現われる話を思い出した
刀を突然消すことができるのも、食べ物を突然出現させることができるのも、仏の御業としか考えられない。
すなわち大河は仏の化身、その仏の化身が自分を救済してくるのだと勘違いしたのだった
「俺に救済を手伝えということですね?光栄です。お供します」
と佐吉は感極まったという風な顔で、土下座しながら答えた
大河は、佐吉が突然殊勝な態度で仏とか救済とか言いだしたので、頭に?を浮かべるのだった
佐吉の誤解は、後で解消されるのだが、それは暫く後の話である
ともあれ、佐吉を仲間に加えた一行は無事碓氷峠を抜け軽井沢宿へたどり着いたのだった
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください
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