13話 新年の挨拶
ひぃ~~~~~~~~
なんと日間歴史〔文芸〕ランキングで1位になってる~~~
こんなことってある?まさか、ここは別世界とか?
評価、応援して下さる皆さまには感謝でいっぱいです
1562年の元旦、大河の家
大河、巴、静
「「「明けましておめでとうございます」」」
「「「本年もよろしくお願いしま~す」」」
「新年と言えばおせち料理だ」
と大河が宣う
「「おせち料理?」」
「おせち料理というのはこれだ」
ババーンという効果音と共に出したのは
楽市楽座で買った2万ポイントのおせち料理である
エビやら黒豆、伊達巻などが入ったあれだ
これは大きい箱にわんさか入っている高級タイプだ
「「すご~い、何これ?」」
「簡単に言うと、新しい1年を迎えることが出来たお祝いの料理だ」
「縁起の良い物を食べて邪気を払うという意味もある」
「「で、これ食べて良いの?」」
どうやら2人とも意味などどうでも良いらしい
「・・・・・。良いぞ」
「「頂きま~す」」
モグモグ
「大河お兄ちゃん、これなんて言うの?」
「伊達巻だ」
「とっても美味しい~」
「フワフワでおいし~ね~」
次に巴と静がエビを取ってひょいっと口に入れる
バリバリ
ボリボリ
「なんかこれ食べにくいね」
「そうね・・・」
「おっと、それは殻を取って食べるんだ」
「そうなんだ~」
「そういうことは早く言いなさいよ」と巴が言う
「言う暇もなく口に入れてただろうが・・・」
巴、静は殻を取って食べ始めた
「殻を取ると美味しい」
「このプリプリ感が堪らないね~」
「参戦しないと無くなりそうだ」
元旦の3人は202X版おせち料理を堪能し、神社にお参りして過ごすのであった
残り4万ポイント、73貫500文
元旦から数日後
大河と権蔵爺さんは、城へ新年の挨拶へ向かった
お城から新年の挨拶に招待されたのである
去年の活躍が認められた証である
端的に言えば、新年のお祝いとしてあんころ餅を持参しろとのメッセージだろうと思われる
大河も招待されており、おそらく奥方様から何か持って来いとのメッセージなのだろうと予想していた
大河は、新年とのことで手桶サイズのお祝い酒と奥方様が気に入りそうなちょっとした物を持参することにした
お城の門に着くと新年の飾りつけで、華やかな装いとなっていた。
大河達は、城の門を通り城の大広間へ向かった。
大広間では、商人や地主などの有力者たちで溢れていた。
見たことのない人達ばかりで、流石新年といった所であった。
権蔵爺さんが周りを見渡して言った
「おお~。これは豪華な顔ぶれじゃ」
「あそこに居るのは?」
と大河が指さして言った
そこには大勢の人に囲まれた、町の有力者である豪商の葵屋嘉平や福屋茂平が居た
「この町の有力者の葵屋と福屋じゃ。葵屋が呉服屋、福屋が米問屋を営んでおる。この町の座の長たちじゃ」
「あれが・・・」
「どれ、挨拶をしておこうかの。顔を通しておくべきじゃ」
「分かりました」
権蔵爺さんと大河が2人に近づいていくと福屋茂平が声を掛けてきた
「おっ、権蔵さんじゃないか」
「福屋さん、新年おめでとうございます。本年もよろしくお願い致しますぞ」
「これは権蔵さん、昨年の活躍は聞いておりますぞ」
と葵屋喜平が微笑みを浮かべて話しかけてきた
「葵屋さんもおめでとうございます。たまたま運が良かっただけですじゃ」
「こちらは?」
「これは大河と申す者で、なんでも屋を営んでおりますじゃ」
「大河と申します。よろしくお願い致します」
「こちらこそ」と葵屋が答える
「もしかして、年末座に入った新人かい?」
福屋が思い出したように聞いてきた
「はい、年末から座に入れて頂きました」
「やはりそうか。それで屋号は決めたのかい?」
大河は、座に入ってはいたが、まだ屋号を申請していなかった
名前を決めかねていたのである
「大網屋にしようと思います」
「面白い名前だ。何か理由があるのかい?」
「大網のように大きく商いを広げたいという思いを込めて付けました」
と大層なことを言っているが、ネットを漢字にしただけである
「なるほどな」
「それは良い名前だ」
町の有力者と話ていると突然パンパンと手を打つ音がした
「殿のおなりである」
部屋に居る全員がとっさにひれ伏した
大股で大道寺資親が入ってきて、どかりと上座に座った
「皆の者、面を上げい」
皆が顔を上げた、大河も真似て顔を上げる
資親は全員の顔を見回すと満足気に話始めた
「皆の者、去年はご苦労だった、この町も戦の爪痕からだいぶ復旧した。皆の協力、感謝致す。今年は、町の発展に力を入れようと思うておる。それにはお主らの力が必要じゃ。今年も主らの力を儂に貸してくれ」
皆
「はは~」
「お供致しまする」
年初の定型挨拶を終え、お祝い品を手渡す段になった
序列が決まっており、座の長たちから資親に挨拶をしていく
最後の方、権蔵爺さんの番になり資親の前に出る
「餅屋権蔵、今年もよろしく頼む」
「はは~。こちらが献上品にございまする」
あんころ餅を脇にいる小姓に渡した
「すまぬな、これが我が家臣や小姓に好評でな」
「勿体なきお言葉」
「これからも頼むぞ」
「はは~」
そして大河の番になった
「大河、お主のことは妻から聞いておる。色々珍しい物を持っておるようじゃな。妻が気に入っておったぞ」
「ありがたきお言葉にございます」
「お主の持っているのは酒か?」
「はっ、我が故郷の酒にございます」
「ほほ~。見せてみよ」
「こちらにございます」
小江戸〇山酒造の〇山の一升瓶をを角樽(1.8L用)に入れ替えた物である
大河は樽を開け中身を資親に見せた
その瞬間、資親は目を見開いた
「こ、これは、清酒か?」
「その通りにございます」
「清酒を飲んだのは小田原に行った時、1度だけじゃ。主家(北条家)くらいでないと入手できぬ品と思っておったが。水ではあるまいな?」
「試されてはいかがでしょう」
「う、うむ」
資親は杯を持ってこさせると酒を掬って口を付けた
「なっ」
資親は絶句した
「な・な・な・なんという酒じゃ!このように風味優れたうまい酒は飲んだことがない!」
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この時代の酒と言えばどぶろくである
酒精も低く、不純物も多いため味に雑味が多い
現代の酒のようにふわっと広がる香りや、きりっとした飲み口は味わえない
清酒も存在はするが、大変貴重な物で大名といえど簡単には飲めぬ物であった
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しかも大河が持ってきた酒は、大〇郎に代表される安い酒ではない
現代でも大変良い酒である
それを飲んだとあれば天下人と言えど驚愕しよう
「これを貰って良いのか?」
「はい、そのためにお持ちしましたので」
「妻の言う通りじゃな。今日はまっこと良い日じゃ。大河よ、礼を言うぞ」
「勿体なきお言葉」
大河と権蔵爺さんは、こうして新年の挨拶をこなした
「ふ~緊張したわい」
権蔵爺さんはぷしゅ~と言いそうなくらいの勢いで崩れた
「まだもう一つ残ってますよ」
そう、奥方様である
大河と権蔵爺さんは御殿に向かった
御殿入り口で言伝を頼むとお花が出迎えにやってきた
「大河、権蔵、今年もよろしくお願いしますね」
「お花さん、今年もよろしくお願いします」
「お花さま、本年もよろしくお願い致しますじゃ」
「こちらへどうぞ」
とお花に案内されたのは薪ストーブを取り付けた大部屋だった
部屋に入った所
「なんと暖かい。こんな大きな部屋が、こんなにも暖かいなぞ信じられん」
と権蔵爺さんはびっくり仰天
「これはこの薪ストーブのおかげです。大河が持ってきた物ですよ」
「大河が?」
「はい、大河は大変良い品を持ってきてくれます」
「大河がの~」
「ですが、最近、この部屋の乾燥が気になっています」
とちょっと悩んでいるようにお花が言った
「それでしたら、薪ストーブの上にヤカンを置いたら良いですよ」
「薬缶ですか?」
「そうですヤカンに水を満たして、薪ストーブの上に置いておくと、蒸気が出て室内を加湿してくれます。それで部屋の乾燥対策が可能です」
「なるほど。大河、お勧めの薬缶を納めてくれますか?」
「分かりました。後程持参します」
そうこうしているうちに、奥方様と2人の小さな女の子が現れ上座に座った
「権蔵、大河よ」
「これは奥方様方、明けましておめでとうございます」
「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願い致します」
「うむ、双方ともよろしく頼むぞ。それとここにおる親族の子らが同席したいと言って聞かぬのじゃ、許せ」
「ははっ。問題ありませぬ」
「奥方様こちらをお納めくだされ。新年のお祝い品でございます」
と権蔵爺さんは小箱に入ったあんころ餅をお花に渡した
お花は小箱のふたを開け、奥方様の前に置いた
「これはありがたい。あんころ餅はこの子達にも好評なのじゃ」
「わ~、あんころ餅だ~」
「やった~」
と女の子達も大喜びだ
「私からはこちらを」
大河は10cmくらいの小箱をお花に渡した
お花は小箱のふたを開け、奥方様の前に置いた
「これはなんじゃ?」
「南蛮菓子の金平糖にございます。口に入れ舐めて食べる物にございます」
「ほう。南蛮菓子か、初めて見るぞ。流石は大河じゃ、珍しい物を持っておるの」
女の子達がキラキラした目で金平糖を見ていた
「食べた~い」
と女の子達がおねだりする
「どうぞ」
女の子達がヒョイと金平糖を1つ取り口に入れた
「わっ甘~い」
「おいし~」
コロコロと口の中で金平糖を転がして味わっている
「大河よ、あっぱれじゃ。とても美味いのじゃ」
と女の子達が大人の真似をして褒め言葉を言った
「勿体なきお言葉」
と大河も返す
こうして新年の挨拶周りを無事終え、大河達は帰路についたのだった
そして、後日、大河は縦長のオシャレな銅製ヤカンをお花に渡し、乾燥の問題を解決したのであった
ご指摘頂いた薪ストーブは乾燥するという件のエピソードを挿入してみました
このような話は安易だったかなと思いましたが、他に思いつかず
もっと良い話を思いついたら書き直そうと思います
初めて投稿致します
拙い所もあると思いますが、広い心でお読みいただければと思います
誤字脱字、歴史考証の不備など歓迎いたします
しかし、物語優先で時代考証は完璧にしようとは思っておりませんのでどうぞよろしくお願いいたします
また、告知なしでの変更等がありますことをご了承ください
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