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なろうラジオ大賞参加作品

夏祭りに行く前に

作者: 田尾風香
掲載日:2022/12/01

自作品のスピンオフですが、これだけで問題なく読めますので、どうぞ!

「凪沙ちゃん、今度の夏祭りさ、一緒に行かない?」

「夏祭り? 今度の?」


 同じクラスの男子の言葉に、凪沙が思い出しつつ問い返すと、相手はうんうんと頷く。


「みんなも一緒に行くからさ、どう?」


 あげられた名前は、男子だけではなく女子も入っている。友達の名前もあって、だったら誘ってくれればいいのに、と心の中で友達に文句を言いながら、相手に頷いた。


「うん、行きたい」

「よっしゃ決まり。約束だからな、凪沙ちゃん」

「もちろん! 楽しみだね……」

「俺も行く」


 凪沙の言葉を遮るように他の声が被る。同時に後ろから手が伸びて、凪沙の肩を掴んだ。

 男子生徒が苦々しい顔をして、凪沙は慌てることなく後ろを振り返る。


「泰基も行くの? 人混みキライって言うくせに」

「行きたい気分なんだよ」

「ふーん?」


 不思議そうにしながらも凪沙はそれ以上は聞かずに、男子生徒に笑いかけた。


「じゃあ泰基と一緒に参加するね! 誘ってくれてありがとう!」

「あ、ああ……」

「帰るぞ、凪沙」

「ちょっと泰基、押さないでよ!」


 肩を押されて文句を言っても、力は緩まない。

 しょうがなく挨拶も程々に歩き始めた凪沙だが、その後方で泰基と男子生徒が火花を散らしていることには、気付いていなかった。



※ ※ ※



「ねえ、夏祭りっていったら、やっぱり浴衣だよね。買った方がいいと思う?」


 帰り道。

 凪沙の問いかけに、泰基はムスッとした。


「必要ない。いつも着てるヨレヨレのTシャツで十分だ」

「えー? あれは家でしか着ないって」

「俺の前では、あればかりじゃないか」

「今さら泰基の前で取り繕ったって、しょうがないじゃない」


 ゲーム好きの二人は、大体どちらかの部屋で会う。家が隣同士の幼なじみだから、色々もう今さらだ。だが、さすがに外に出かけるときにヨレヨレシャツを着るのは、女子高生として問題だということくらいは分かる。


 だが、泰基の表情は不機嫌なままだった。


「あれでいいんだよ。浴衣は禁止」

「なんで? 絶対みんなオシャレしてくるのに」

「お前オシャレなんて興味ないだろ」

「それでも少しは気にするの!」

「駄目」


 むぅっと頬を膨らませた凪沙を横目に、泰基は頑なだった。


「……浴衣姿なんか見せたら、また虫がつくだけだ」

「え、なに?」

「なんでもない」


 モテてる自覚のない女を彼女にした時点で覚悟はしていたが、(邪魔な男ども)を追い払う作業は、なかなか大変なことなのであった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 彼女の浴衣姿を見せたくなくて大変(*´艸`*) でも、自分も見れないけど、そこはいいのかな~~ モテてる自覚のない女の子ってカワイイですよね 泰基くんガンバレー♪ 素敵なお話を読ませてい…
[良い点]  誰にも渡したくない!!  そういう気持ちがとても印象に残るラスト。  青春まっただ中!! という感じがして凄く読み心地爽やかな感じでした。 [一言]  夏祭りといえば……?  屋台や、…
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