42.サブリナの誕生日
翌日、再びミュラー家を訪れる。
正門は、ディーンの誕生祝に来た長蛇の列ができていた。
俺も列に並ぶ。
- 今度は失敗しないぞ。
俺の番に来た。
使用人らしき人が無言で、右へ案内する。
「サブリナお嬢様のお祝いに来たのですが。」
使用人は、少し驚きの表情を浮かべ、左に案内する。
そこにいたメイド服を着た女性が、部屋まで案内してくれた。
部屋には、サブリナやアスカ、ソニアのほかに女友達らしき人が数人いた。
みんなドレスを着ている。
俺だけ普段の革の服だ。
「サブリナお嬢様、17歳のお誕生日おめでとうございます。」
「プレゼントはないの。兄には、クリティカル無効の指輪を送ったくせに。」
― しまった。先日お土産を渡したばかりで忘れていた。
- それに昨日のことがバレている。
「サブリナとどういう関係?」
「彼氏?」
女友達たちが聞いてきた。
「彼氏のセフィーです。」
紳士的に答える。
「誰が彼氏なのよ。いい加減なこと言わないで。」
「せっかく人が、見栄を張らしてやろうとしているのに。」
「相当、仲がよさそうね。」
女友達たちがざわついている。
そんな話をしていると、サブリナのお母様がやってきた。
「ずいぶん楽しそうね。あら、男性もいらしたの。」
「そう。昨日迷い込んだバカよ。」
「誰がバカだよ。セフィーです。よろしくお願いします。」
「こちらこそ。昨日は、ディーンにまでプレゼントをくれてありがとう。とても喜んでいたわ。」
「お母様も魔剣士ですよね。こんなにお美しいのに。」
「あら、じょうずね。ゆっくりしていってちょうだい。」
そう言うと、部屋を出て行った。
「サブリナお嬢様が、お美しいのは、お母様似だからですね。」
「もう、知らない。」
いつもやられてばっかりなので、ここぞと言ってやった。
女友達たちは、いいとこの令嬢ばかりだった。
サブリナが、こんな付き合いもできるとは、驚きだ。
とても俺が知り合える面々ではない。
「それで、プレゼントは。まさか兄にだけで私にはないんじゃないでしょうね。」
- やばい。どうしよう。俺の持っている指輪は、すべてサブリナも持っている。
「いや、サブリナに俺の髪留めをあげようと思ったんだが、水色の髪に色が合わないからどうしようと思っていたんだ。」
「あら、色なんてどうでもいいのよ。」
仕方なく髪留めを渡す。
サブリナは、受け取るとすぐにつけた。
「これなら、兄へのプレゼントとつり合うわ。」
そう言うと俺の頬にキスをする。
女友達たちが騒ぎ出した。
俺もついつい、ニヤけてしまう。
「セフィーがニヤけているわ。」
「仕方がない奴だ。」
ソニアとアスカがあきれていた。
その後、サブリナと攻略したダンジョンの話をした。
すると、女友達たちは、興味津々だ。
サブリナは、そんな話はするなと言うが、みんな聞きたがった。
小1時間ほど話をして、帰ることにした。
「サブリナたちはリヴェルの町にいつごろ戻るの。」
「1週間ほど後になると思うわ。」
「じゃあ待っているよ。」
俺は、皆にあいさつし、ミュラー家を後にした。
「面白かった!」
「続きが気になる!」
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