40.ミュラー家
翌日、サブリナたちは、ルーシアの町に向かって旅立った。
俺は、ひとりでダンジョンにもぐったりしていた。
サブリナの誕生日の前々日、リヴェルの町を後にし、乗合馬車でルーシアの町へ向かう。
誕生日前日の昼すぎに、ルーシアの町に着く。
さっそくギルドで安宿を紹介してもらう。
また、ミュラー家の場所も聞いた。
ひときわ大きな家がそのようだ。
代々剣豪を輩出している家で、アンティラ王国では有名らしい。
- 服装は、これでいいだろうか。
- ちゃんとした服を買うべきだったんじゃないか。
少し不安になったが、今更仕方がない。
- 普段どおりの格好で行こう。
今さらサブリナ相手に気取っても仕方がない。
俺は開き直っていつもの格好で行くことにした。
クリーンの魔法だけは忘れない。
俺は、宿に荷物を置き、ミュラー家の下見に行くことにした。
ミュラー家は、豪邸だった。
敷地も広い。
敷地を1周しようとして歩いていると、裏口にメイド姿の女性がたっている。
「こんにちは。」
「よくぞいらっしゃいました。さあこちらへ。」
なかに案内しようとする。
聞くと今日は、前夜祭のような感じで親しいものだけでの集まりがあるらしい。
俺は、ただの友人ですというが、なかに通された。
部屋に案内されるとすでに10人ほどの先客がいた。
ほとんどの人が年配で、俺とよく似た普段着だ。
俺は、末席に着くと隣の老人が話しかけてきた。
「ずいぶんお若い方ですな。」
「はい。ただの友人だといってお断りしようとしたんですが」
「いや。ご友人とは、失礼した。」
「セフィーと申します。」
「ジークフリードじゃ。よろしくな。」
「おぬしも双剣を使うのか。」
「はい。ジークフリードさんも双剣使いですか。」
「そうじゃ。仲良くしよう。」
しばらくして、ミュラー家の当主(サブリナの父)とディーン(サブリナの兄)が入ってきた。
「みなさん。ようこそいらっしゃいました。」
当主があいさつする。
ディーンが、ひとりひとりに挨拶にまわる。
「遠いところ、ようこそお越しいただきまして、ありがとうございます。」
「おお。立派になられて、将来が楽しみですな。これはつまらないものだが。」
「おお、これはミスリルの大剣じゃありませんか。素晴らしいものをありがとうございます。」
- これは、間違えた。当主の知人の集まりだ。
俺は、プレゼントを持っていない。
そうだ。クリティカル無効の指輪を渡そう。
俺は、急いで指輪を外すとこっそりクリーンの魔法をかけ、紙に包んだ。
ディーンが俺のところに来る。
「遠いところ、ようこそお越しいただきまして、ありがとうございます。」
「これはつまらないものですが。」
「この指輪はなんですか。」
「クリティカル無効の指輪です。」
場がざわめく。
- しまった。価値が低すぎたか。
「それはそれは、ありがとうございます。これでマーフィックも恐るるに足らずですな。」
クリティカル無効の指輪は、相当珍しいもののようだ。
俺は、ほっとした。
一通りディーンがあいさつを終え、会食になった。
ジークフリードさんに話しかけられる。
「セフィーさんは、珍しいものをプレゼントされましたな。」
「ダンジョンでたまたま拾ったものです。」
「ほう。その年でマーフィックを倒せるのですか。」
「マーフィックなら何とか倒せますが、まだまだ修練中の身です。」
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