15.べらぼうめ
「セフィー、金を貸してくれ。」
「断る。」
俺は、即答した。
「10万ギルでいいんだ。」
「断る。」
俺は、即答した。
「なあ、聞いてくれよ。」
ユージンは、ことの経緯を話す。
先日、ハイドが大けがを負った際に、教会で治癒してもらい、まだ、教会で治療を受けているものの事なきを得た。
その治療代が、40万ギルだそうだ。
今4人の金を集めても30万ギルにしかならない。
残りの10万ギルを貸してほしい。
と言った内容だ。
「それで、なぜ俺が金を貸さなきゃならないんだ。」
「金を払わないと、教会に追放されるんだ。」
「俺には関係ないことだ。」
「頼むよ、セフィー。この町にほかに伝手はないんだ。」
俺は、だんだん腹が立ってきた。
「俺に頼むくらいなら、赤の他人に頼んだ方が、まだ可能性があるだろう。大体なんだ。ハイドが助かったのは、ソニアのハイヒールのおかげだろう。まず、ソニアに礼も言わず、俺のところに来るなんて、何を考えているんだ。」
そう言うと、ハイド、アリス、レイナは、ソニアのところに行き、礼を述べてまた戻ってくる。
「頼むよ、セフィー。俺たちのパーティには、ヒーラーがいないからこんなことになってしまったんだ。前まで一緒にやっていた仲間じゃないか。」
カチンときた。
「仲間だと、そんな風に言われる筋合いはない。」
「以前のことは、謝るよ。それにヒーラーのいないパーティでダンジョンにもぐったのは悪かったと反省している。」
また、カチンときた。
助言をしてやるつもりもなかったが、あんまり頭に来たので、言ってしまった。
「金がなければ、ダンジョンにもぐって作ればいいだろう。2Fの魔物なら500ギルになる。100匹狩れば5万ギルだ。100匹狩るのに20回も戦えばいいだろう。一日もぐればもっと稼げるはずだ。2日くらい協会も待ってくれるだろう。」
「2Fは、ワーウルフがいる。ヒーラーがいないからまた事故る可能性があるんだ。」
「ばかか。じゃ1Fで稼げばいい。2日が3日になるだけだ。」
「俺たちの宿代や食費もかかる。無理なんだよ。」
さらにカチンときた。
「なんて甘えていること言ってんだ。宿代がなければ野宿すればいいし、食費も最低限に落とせばいい。それにお前の大剣を売れば10ギルぐらいにはなるだろう。」
「大剣を売ったら、戦えなくなる。」
「中古の武器を買えばいいだろう。」
「無理なんだよ。ヒーラーがいないんだ。」
さらにカチンとくる。
もういい、全部言ってやろう。
「ヒーラー、ヒーラーって、自分のパーティに何が足りないのかわかっているのか。」
「ヒーラーだよ。」
「ばか、あほ、まぬけ!じゃあ真っ先にヒーラーがやられたらどうするんだ。お前たちは、俺と一緒にいた時に俺が何をやっていたのか知らねえわけがない。お前たちのパーティでかけているのは、前衛の心構えだ。前衛が、後衛に敵の攻撃をさらすことが悪いんだ。前衛がまぬけなため、後衛が瀕死になるんだ。後衛は、強力な魔法を放つからターゲットになりやすい。
だから、タンクが苦労してタゲをとりに行くんだ、わかったか、べらぼうめ。」
「うちのパーティには、タンクもいないんだ。入ってくれる者もいない。」
「どこまで馬鹿なんだ。タンクが必要なら、ユージンお前がやればいいだろう。大剣を売って、中古の盾と中古の片手剣を買って、ギルドの初心者講座で、盾の使い方を学べ。金も入るし、一石二鳥だ。それにヒーラーが必要ならラグラスを呼び戻せ。お前たちのことだ、修道院に交渉すらしてないんだろう。ただ、あの聖騎士はやめておけ、レイナとアリスが許さないだろう。わかったら、とっとと出ていけ。」
レイナとアリスは泣いていた。
ユージンたちは、肩を落として出て行った。
サブリナが口を開く。
「優しいのね。セフィーって。」
「うん、惚れちゃいそう。」とソニア。
「確かに。」とアスカ。
- ん。アスカが確かにといったぞ。これは惚れちゃいそうに対する答えだよな。
勝手に解釈してニタつくセフィーがいた。
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